東電の水力発電に使う丸沼ダム(群馬県片品村)

写真拡大

  電力業界で再生可能エネルギーを前面に押し出した電気のサービスが目立ち始めた。再エネを中心に使う電力プランはこれまでもあったが、発電所の種類を限定したり、実質的な二酸化炭素(CO2)排出量ゼロをうたったりすることで顧客への訴求力を高める。自由化で競争が激化する中、価格以外の特色を打ち出すことで、新たな顧客を掘り起こす。

 東京電力エナジーパートナーは6月に家庭向けに水力発電の電気だけを販売するプランを始めた。発電所の種類を限定したメニューは日本では初めて。販売地域は首都圏と静岡県の一部で、初年度は3万件、電力使用量で1億キロワット時を確保している。東電の主力の料金プランより2割ほど高いが、同社によると販売状況は「じわじわと広がってきている」という。

 先行して3月に受け付け始めた法人向けは初年度の電力供給量3億キロワット時に対して足元で「年換算で1億キロワット時まで積み上がっている」(同社)。

 新電力の中にも再エネを特徴にした電気を売る動きが出ている。これまでも太陽光や風力を中心としたプランはあったが、「夜間や風が吹かないときは発電できない。再エネの割合の面で訴求が難しい面があった」(新電力関係者)。

 自然電力は11月初旬に家庭などへの電力小売り事業に参入。日本卸電力取引所(JEPX)に創設される「非化石価値取引市場」を活用する。非化石市場で、供給電力全量分の非化石証書を購入することで実質的にCO2排出量ゼロの電気を供給できるようになる。

 非化石証書とは、再生可能エネルギーや原子力などの非化石電源によって発電された電気の環境的な価値を証書化したもの。証書を使えば、例えば、火力発電所で生み出した同じ分量の電気を「非化石」扱いで消費者に売ることができる。

 あわせて、電源構成も見直し、同社グループが設置する発電所からの電力供給の割合も太陽光発電、風力、小水力などの開発を進め、自社グループからの電気供給量の割合を現在の4割前後から引き上げる。

 みずほ情報総合研究所の電力小売り全面自由化前の調べでは、再生可能エネルギーのみを利用している電力を、電気料金が現在より高くなっても利用したい人は5%程度。ニッチ市場にも映るが、自然電力の磯野謙社長は「自由化で先行する欧州では確実に再エネ由来の電力の市場が広がっている」と語る。5年で3万世帯への供給を目指す。