白鵬(写真:日刊スポーツ/アフロ)

写真拡大

 横綱・日馬富士の暴行問題で揺れた大相撲九州場所は26日、千秋楽を迎え、日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)は千秋楽恒例の相撲協会あいさつで、「多大なるご心配、ご迷惑をお掛けしたことを心よりおわび致します」と、ときおり声を詰まらせて謝罪した。理事長がこのあいさつで謝罪するのは異例のことである。

 一方、40度目の優勝を決めた横綱・白鵬は、土俵下でインタビューを受け、「力士代表としてお詫びしたい」とした上で、「場所後に真実を話し、膿を出し切って、日馬富士関と貴ノ岩関が再び、この土俵に上げてあげたいと思います」と語り、「来年もよろしくお願いいたします」と自ら音頭を取って万歳三唱までやってのけた。

「白鵬の発言はモンゴル向けのパフォーマンスだ。同胞の日馬富士と被害者の貴ノ岩をかばってみせた。モンゴル出身の力士は、引退後に故郷に帰り事業家になっている人が多い。地元で成功するためには同胞の支援が欠かせない。日本人の大相撲ファン向けのアピールだと考えたら甘い。来場者は拍手をしていたが、白鵬の発言は立場をわきまえないものだ」(相撲協会関係者)

 白鵬は優勝パレードに向かう前にも「2人とも帰ってきてもらえたらいい」と語り、インタビューで突発的に出た発言ではないことを裏付けた。

「暴行現場に居合わせた人間が、万歳三唱を率先してやるなど信じられない」(親方筋)

 白鵬の発言を聞いた八角理事長は、「(調査は)危機管理委員会に任せている」と白鵬の発言が一人歩きしないようブレーキをかけた。

 翌27日、東京都内で横綱審議委員会(横審)による定例会合が開かれたが、八角理事長からの途中経過の報告にとどまり、日馬富士への処分について結論は出なかった。

 鳥取県警は早ければ12月上旬に日馬富士を傷害容疑で書類送検する。検察の判断が次の焦点となる。

「貴ノ岩の師匠である貴乃花親方が不可解な行動を取っていると批判されているが、貴乃花親方の態度は『これは刑事事件。警察の判断に任せる』ということで一貫している。むしろ非難されるべきは、暴行現場に居合わせた白鵬、鶴竜などの横綱や他の力士ではないのか。暴行を目撃しながら、ほとんど何も話していない。傍観者の立場なのだろうが、目撃したことに沈黙していたことは看過できない」(法曹関係者)

 さらに「26日の過度のパフォーマンスで、白鵬は傍観者の立場から一歩踏み出し、暴行した側の“擁護者”“共犯者”になった」(各界関係者)という厳しい見方も出ている。

 相撲協会は2014年に公益財団法人になった。税制面などで格段の優遇を受けており、曖昧な決着は許されない。「日馬富士は有罪になる可能性が高いが、有罪になる前に相撲協会は決断を迫られる」(別の各界関係者)。

 相撲協会がどのような判断を下すのか。注目が集まる。
(文=編集部)