醤油の醸造業で栄えた町並み/和歌山・湯浅

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湯浅の醤油醸造業は紀州藩の特別の保護のもとで繁栄を続け、文化年間(1804〜1818年)の最盛期には90を超える醤油醸造業者が軒をつらねた。そんな時代のおもかげを色濃く残すのが湯浅の「重要伝統的建造物群保存地区」。醤油造りの歴史が学べる資料館や、その起源となった味噌も味わえるカフェなど、見どころも多い。日本の食文化に欠かせない醤油が生まれた町を歩いてみよう。<※情報は関西ウォーカー(2017年11月21日発売号)より>

金山寺味噌の蔵元前/重要伝統的建造物群保存地区

醤油の醸造業で栄えた町並み。重厚な瓦葺(かわらぶき)の屋根に漆喰(しっくい)で塗り固められた2階の壁、雨よけの幕板など特徴的な町家や土蔵が立ち並ぶ。

■ <11:00>【日本遺産】重要伝統的建造物群保存地区

醤油発祥の地と言われる湯浅。その町の一角には、今でも白壁の土蔵や格子戸、虫籠窓など、近世から近代にかけての伝統的な建造物が数多く残る。醤油の香りが漂う町を散策し、日本の伝統美を楽しもう。

醤油のルーツと深いかかわり合いを持つ金山寺味噌の蔵元前でひと休み。この店も、江戸末期ごろからそのまま残る歴史ある建物の一つだ。

昭和末期まで営業していた銭湯を復元した「甚風呂(じんぶろ)」。

格子戸に飾られた小さなギャラリー。

■重要伝統的建造物群保存地区<住所:和歌山県有田郡湯浅町湯浅 電話:0737-63-2525(湯浅町観光協会) 時間:見学自由 休み:なし 料金:無料 駐車場:周辺の無料駐車場を利用>

■ <12:00>【日本遺産】角長醤油資料館職人蔵

鎌倉時代より受け継がれてきた伝統の醸造法を現在に伝える、湯浅で唯一の手造り醤油を販売する「角長」の資料館。昭和初期まで実際に使われていた醤油造りの道具を、製造工程に沿って見学できる。

仕込樽や、てこを応用した巨大な圧搾機など、使い込まれた器具が並ぶ。解説文があり、重労働だった当時の醤油造りの苦労を実感。

1866(慶応2)年に建てられた仕込蔵を利用。天井の梁(はり)などに、今ももろみが残っている。

足踏み式の小麦割砕機。組み立てられた状態で現存するものとしては、日本唯一の貴重なものだ。

資料館の新館。ここではおもに家庭で使われていた道具などが展示されている。

■角長醤油資料館職人蔵<住所:和歌山県有田郡湯浅町湯浅7 電話:0737-62-2035(角長) 時間:9:00〜17:00 休み:日曜 ※土曜のみ開館。その他の曜日は電話予約で見学可能 料金:見学無料 駐車場:10台(無料)>

■ <13:00>北町茶屋 いっぷく

座敷でのんびり食事が楽しめる古民家カフェ。自家製カレーやスイーツのほか、地元の鮮魚店で売られている焼魚や刺身などを持ち込むこともできる。紀州名物が添えられた、ごはんセットと一緒に食べよう。

味噌汁に金山寺味噌、南高梅、広川町産有精卵などが付いた「たまごごはんセット」(550円)。ご飯はお代わり自由。

焼餅が入った「抹茶ぜんざい」(500円)。抹茶の風味で小豆の甘さもまろやかに。白玉入りの冷たいぜんざいもあり。

席はすべて座敷スタイル。格子戸越しに旧家の町並みを見ながら、のんびりとした時間が過ごせる。

江戸時代から続いた民家を、外観をあまり変えずにリノベート。おかずが買える鮮魚店「楠山商店」の2軒西にある。

■北町茶屋 いっぷく<住所:和歌山県有田郡湯浅町湯浅23 電話:0737-62-3300 時間:11:00〜18:00(LO) 休み:月曜(祝日の場合翌日) 席数:約20席 タバコ:喫煙可 駐車場:周辺の無料駐車場を利用>

■ <14:20>湯浅温泉 湯浅城

紀州湯浅城跡の北側に立つ、全国的にも珍しい城の形をした宿泊施設。天守閣1階にある温泉は日帰り利用可能で、浴場からは湯浅の町並みや湯浅湾が一望。夕暮れ時には島陰に沈む真っ赤な夕日も楽しめる。

湯浅温泉の湯は、美肌効果も期待できるph値の高いアルカリ泉。肌の老廃物を除去し、新陳代謝を促進する。

天守閣の5階「望楼」からの眺望は抜群。

■湯浅温泉 湯浅城<住所:和歌山県有田郡湯浅町青木75 電話:0737-63-6688 時間:日帰り利用12:00〜23:00(最終受付22:00) 休み:なし 料金:入浴料(500円) 駐車場:30台(無料)>

■ 【日本遺産】「最初の一滴」醤油醸造の発祥の地 紀州湯浅 の物語

醤油の起源ははるか中世、中国に渡り修行を積んだ禅僧が伝えた特別な味噌に始まる。金山寺味噌の祖でもあるこの味噌を盛んに造っていた湯浅の人々が、ふと桶にたまった汁をなめてみると、なんとも言えない芳醇な味がすることに気が付いた。この汁をもっと作ろうと工夫を重ね、生まれたのが現在の醤油であると言われる。

味噌を造る過程で、野菜から染み出た水分が桶にたまる。それまでは捨てられていた無用の滴から始まった醤油の歴史。湯浅の町で、その芳醇な味に魅せられ、工夫を重ねた職人たちの軌跡を知る。

醤油造りの歴史と伝統が、今も暮らしの中に生き続ける。

■ 大阪から和歌山・湯浅へのアクセス

阪神高速湊町入口から阪和自動車道有田ICまで、所要時間約80分、走行距離約95km、高速料金2940円(ETC割引2350円)。

有田ICから重要伝統的建造物群保存地区へは、国道42号線を南西へ、県道23号線を西へ。約3km・約10分。【関西ウォーカー編集部】(関西ウォーカー・編集部)