「お菓子の壽城」公式サイトより

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 鳥取県米子市には、年間100万人訪れるとあるテーマパークがあるのをご存知だろうか?それは、寿スピリッツが運営する「お菓子の壽城(ことぶきじょう)」である。

 「お菓子の壽城」は、1993年、米子城をモデルに築城されたお菓子のテーマパーク(入場無料)である。城内には、山陰名菓の販売コーナー、喫茶コーナー、テイクアウトコーナー、日本海と大山を望む「天守閣展示場」、和菓子の製造工程がガラス越しに見学できる「工場見学ホール」、山陰、米子城の歴史が学べる「展示コーナー」などがある。

 運営会社の寿スピリッツも、鳥取県に本社がある上場企業4社のうちの一角を占める優良企業だ。ちなみに、他の3社は、トミタ電機、日本セラミック、鳥取銀行。寿スピリッツは、1994年11月にジャスダックに上場し、現在は東証一部上場企業となっている。

◆10倍銘柄(テンバガー)だった寿スピリッツ

 実は筆者は、この「お菓子の壽城」を2013年の秋に訪れている。2013年の秋といえば、日銀の量的・質的金融緩和が始まって半年後である。その時点で、円安が進み、訪日観光客が増え、「お菓子の壽城」もその恩恵を受けるかもしれないと筆者は考えていた。しかし、当時はインバウンド需要の増加と「お菓子の壽城」=寿スピリッツの成長に相関関係がそこまで強いのかどうか、やや説得力に欠けるかもしれないと思っていたのも事実。

 なぜならば、訪日観光客は飛行機に乗ってやって来るケースが多いだろうから、航空会社の売上や機内食を作る会社の売上は確実に伸びると考えられるが、お土産のお菓子の売上が訪日観光客数と強い相関関係のもとで増えるものなのだろうか?

 しかし、筆者が抱いたこの疑問はまったく当てはまらなかった。2013年の秋の時点では、寿スピリッツの株価は400円台であったのが、今年11月27日の終値は、なんと5,230円である。寿スピリッツは、10倍株(テンバガー)をも達成しているのである。

 2017年4月〜9月の「第66期 第2四半期連結 累計期間」において、寿スピリッツの売上高は、172億円であった。前年同期の売上高は148億円であったので、+24億円(+16.3%)の売上増加である。(参照:第2四半期報告書)

◆やはり成長の原動力となったインバウンド

 上記の売上高の内、インバウンド関連の売上が、8億1700万円から15億4000万円へ、+7億2300万円と、なんと88.4%も増加している。インバウンド関連の売上は、全体売上172億円の内の15億円であるので、1割未満であるものの、伸び率は大きい。寿スピリッツは、関西国際空港や成田空港などの国際線ターミナルでの販売強化が奏功したとしている。(参照:2018年3月期 第2四半期決算説明会)

 寿スピリッツは、「インバウンド対策の強化」、「海外展開」、「首都圏でのWSR(注:World Surprising Resort(ワールド サプライジング リゾート)、“世界へ、ありえないほどの驚きの、非日常(超感動)を提供する”)化展開の推進」、「プレミアム・ギフトスイーツの創造と育成」の4つの重点施策を注力しており、インバウンドは重点施策の一つになっている。

◆2年前からインバウンドを明確に打ち出す

 しかし、同社の2014年3月期の有価証券報告書を見る限り、この時点でインバウンドという言葉は見当たらない。“出雲大社の「平成の大遷宮」行事により観光客が増加傾向にある山陰地区において主力商品「因幡の 白うさぎ」の販売強化、20周年を迎えた「お菓子の壽城」のイベント開催など地元対策の強化に努めました”とあるように、増加傾向にあった観光客には訪日外国人観光客も含まれるかもしれないが、訪日外国人観光客をターゲットとしたものではなかった。