プレーオフ準決勝で東京Vを撃破。冨安(中央)の貢献度は高かった。(C)SOCCRR DIGEST

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[J1昇格プレーオフ]福岡1-0東京V/11月26日/えがおS
 
 J2ナンバーワンの堅守。その実力を余すことなく発揮したアビスパ福岡が、プレーオフ決勝進出を決めた。その中心にいたのは今シーズン初めて3バックの真ん中を任された冨安健洋だった。
 
「今年1年間のJ2での経験、U-20ワールドカップの経験も踏まえて、真っ向勝負するだけではなく、ラインコントロールやポジショニングなどで駆け引きしないといけないと感じていた」
 
 まだ19歳の若者が見せたプレーは、ディフェンスリーダーとして十分すぎるもの。対峙する東京ヴェルディのエースであるドウグラス・ヴィエイラを完璧に抑え込んだ。
 
 そして、体調不良で戦列を離れて以来、21試合ぶりに復帰した實藤友紀もチームの堅守を支えた。
 
「この大事な試合に使ってもらって、守備でゼロに抑えてチームを勝たせなければいけないと思っていた。自分が休んでいた期間、練習していた選手がいる。そういう選手の分も自分がやらなければいけないという気持ちで臨んだ。一つひとつのプレーを丁寧に、そして球際の厳しさを一番意識していた。それは出せたと思う」
 
 この日の狙いは、引いて守るのではなく、前から守備を仕掛けて攻守に渡って主導権を握ること。最終ラインを積極的に押し上げてコンパクトな陣形を保ち、福岡の最大の特長である「良い守備からの良い攻撃」を展開した。
 
 特に前半は東京Vをほぼ完璧に抑え、許したシュートはわずかに1本だけだった。そして、狙い通りに高い位置からの守備でチャンスを作り、それが山瀬功治のゴールにつながった。リーグ終盤戦に勝ち切れない試合が続いて自動昇格を逃した福岡だったが、大事なプレーオフ準決勝で自分たちの戦い方を取り戻した。
 
 そして決勝戦に向けて、山瀬は次のように話す。
 
「チーム全体がすごく集中してやれていた。その部分を次の試合でもベースとして続けていきたい。決勝戦は、走って、球際で戦って、切り替えを速くしてというように、自分たちができることをどこまで突き詰めてやれるかだと思う。昇格は、その結果でしかない。結果がどうなるかは自分たちでは決められないし、それは誰にも分からない。だからこそ、その結果が付いてくるようにやるだけ。決勝戦だからと言っても何も変わらない。日々、自分たちにできることをコツコツと重ねていく」
 
 目標とする1年でのJ1復帰まであとひとつ。福岡は熱い想いと冷静な気持ちで決勝戦に向かう。
 
取材・文●中倉一志(フリーランス)