アルビレックス新潟公式フェイスブックページより

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 サッカー・アルビレックス新潟のJリーグ2部(J2)降格が決まった。新潟は大企業を母体としないクラブでありながら14年間、J1で戦い、地域活性化の象徴となった。しかしフロント(運営会社)は、リーグ屈指の観客動員力を経営力強化につなげられなかった。初の降格ショックから立ち直るために「よそ者」よる経営改革を求めたい。

 新潟がJ1に昇格した04年からの通算観客数は702万人(19日現在)で、同じ期間であれば浦和レッズ(925万人)に次ぐ2位。1試合平均も2位の2万9875人。大都市にあるクラブを上回り、王者・鹿島アントラーズよりも約1万2000人多い。

 さすがに4万人を集客した昇格時の熱は冷め、14年からは平均2万2000人という状況。それでも高水準だ。9月16日、上位クラブの観客が7000人台にとどまっても、最下位・新潟はホーム「ビッグスワン」に2万5000人を動員した。

 新潟は毎年、主力選手を引き抜かれ、戦力は縮小均衡を繰り返してきた。鹿島、横浜Fマリノスといった名門クラブに次ぐJ1連続残留期間は、奇跡に近い。毎年、厳しい残留争いに耐えてきたが16年オフ、主力が大量にチームを去り、17年はついに決壊した。

 主力を引きとどめることができず、補強もできなかったフロントの責任が大きい。県内企業が少しずつ出資して設立したクラブだから財政事情が厳しいのは理解できる。

 それでも、集客力という貴重な”資産”をスポンサー集めに生かせなかったのか。得た資金を有力選手の獲得につなげて勝利を重ね、さらなる観客増員というサイクルを回せなかったのか。弱くてもスタジアムに足を運ぶファンに甘え、「ゆでガエル」になっていたとしか思えない。

 負けてもチケットが売れるので、経営的には及第点なのかもしれない。だが、いつまでもサポーターのアルビレックス愛に頼るばかりでは、持続可能なクラブ経営はできない。

 バスケットボール「Bリーグ」で集客トップの千葉ジェッツも、地元企業が”広く薄く”広告支援するという点で境遇は同じ。しかし島田慎二社長(新潟県出身)は、ホームでの負け試合は観客に不良品を売りつけているようなものと語り、有力選手を補強した(『千葉ジェッツの奇跡』)。

 日本海側に唯一のJ1クラブを根付かせた新潟のフロントの功績は大きい。ただ、成功体験に縛られ、硬直化してはいけない。地方創生という世論の追い風が吹き、地域に目が向いている今が変革の機会だ。

 地方創生の議論で、地域を変えられるのは「若者、よそ者、ばか者」と言われる。よそ者は地域へのしがらみがなく、外部から新しい知見を持ち込むことができる。まだまだ地元は豊かだと勘違いしている「ゆでガエル」には、外からの目が刺激になる。

 新潟のフロントはクラブ経営のプロを招いたり、県外の大企業から経営参画してもらったりと、外からの改革を考えてほしい。よそ者にも集客力は魅力だ。県内企業にはないブランディング、マーケティング手法を導入できれば、クラブの魅力が高まる。地域再生の象徴として、さらに愛されるクラブになってほしい。

(文=松木喬)