アップロードされた不適切な子どもの動画を放置し、しかも、その動画に広告を掲載していたとして、YouTubeと親会社のグーグル、さらに持株会社のアルファベットに非難の声が上がっている。

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アディダスやHPなどが広告を取りやめ

 米ウォールストリート・ジャーナル、英フィナンシャル・タイムズ、英ロイター通信などの報道によると、広告主となっていた企業は、11月24日にYouTubeへの広告掲載を取りやめた。そうした企業には、スポーツ用品の独アディダス、コンピュータ大手の米HPインク、ドイツ銀行、大手飲料メーカーの英ディアジオなどがあるという。

 この問題を最初に報じた英紙タイムズによると、問題となった動画には女児が映されている。多くの場合、それらの動画は子どもが自分で撮影したもので、時折下着姿で映っている。この手の動画には、わいせつなコメントが多数寄せられるほか、児童虐待コンテンツへのリンクも貼られる。また、サイトには同様の動画へとユーザーを誘導するお薦め動画も掲載される。

 これを受け、YouTubeの広報担当者は「我々は児童を性的対象にする動画を禁止している。そうした動画には、決して広告を掲載すべきではない。我々は緊急に問題の解決にあたっている」と述べたというが、自社の動画サービスを十分に監視できていなかったとして、同社は批判を浴びているとメディアは伝えている。

今年3月にも企業が広告引き上げる

 YouTubeが、投稿動画の管理や監視をめぐって問題視されたのは今年で2度目だ。実は、今年3月に起きた1度目の問題も、きっかけはタイムズ紙だった。このとき同紙によって、ヘイトスピーチや過激な内容を含む動画に、大手企業の広告が掲載されていると報じられたのだ。

(参考・関連記事)「グーグル、YouTubeのテロ関連対策で取り組み強化」

 そして、この問題を重く見た欧州の企業は、YouTubeとグーグルから広告を引き上げた。その中には、ドイツの自動車大手アウディ、英小売大手のマークス・アンド・スペンサー、英国政府などがある。また、問題は米国にも飛び、AT&Tやジョンソン・エンド・ジョンソン、ベライゾン、スターバックス、ウォルマート・ストアーズといった米企業も広告の引き上げを表明する事態に至った。

 このとき、グーグルは謝罪の声明を出し、その対策を明らかにした。そのうちの1つは、総視聴回数が1万未満のチャンネルの動画には広告を表示しないというもの。アルファベット傘下のシンクタンクであるジグソー(Jigsaw)が考案した、反テロリズム動画に誘導する措置も取った。

 このほか、同社は、画像解析の精度向上や、第三者機関と協力する問題コンテンツの特定のための取り組みに50のNGO(非政府組織)を追加すること、問題のありそうな動画に警告を表示したり、コメント投稿を不可能にしたりするといった対策も行った。

YouTubeユーザーは15億人、無視できない存在に

 ロイター通信によると、企業はその後、YouTube広告に戻りつつあるという。当時広告を撤退したり、規模を縮小したりした企業は250社以上に上った。しかし今年10月までに、その大半は再び広告を掲載したり、広告予算を増やしたりするようになった。

 なぜ、そのようなことが起きるのか。1つの理由として、ロイター通信は、「ネットでは、テレビコマーシャルのようなスタイルの広告媒体への需要が高いが、供給はそれに追いついていない」と伝えている。こうした状況で、全世界に15億人いるYouTubeユーザーは、企業にとって無視できない存在なのだという。

筆者:小久保 重信