“色の白いは七難隠す”という言葉があるように、白い肌は美肌の象徴。でも、美容目的で、日焼け止めを毎日のように使っていると、骨粗鬆症のリスクが高まるかもしれません。

1年じゅう日焼け止めを塗るのは女子の常識?

「紫外線は肌の大敵」、「美肌をキープするためには紫外線を徹底カット」など、紫外線はシミやシワを作るのは周知の事実。たくさんの基礎化粧品やコスメに紫外線カット効果が含まれています。実際に、紫外線を浴びすぎると、シミやシワのほか、皮膚ガンや白内障など病気のリスクもあります。以前より、オゾン層が減少しているので地球に降り注ぐ紫外線量が年々増えているのも事実。

1年のうちで紫外線が強いのは4〜9月で、この期間に1年間の70〜80%が降り注いでいます。そのため、春から夏にかけて日焼け止めを使う人が増えますが、秋・冬も「美肌のために」と日焼け止めを塗っている人も多いのではないでしょうか。

食事より日光によって作られるビタミンDの方が多い

ビタミンDは、カルシウムの吸収を2〜5倍にする作用があります。ビタミンDが不足すると、食事でカルシウムを摂っていても体に吸収されず、カルシウム不足に。血液中のカルシウム濃度が低下すると、けいれんなどの症状が起こるほか、体が血中のカルシウム濃度を上げようと骨からカルシウムを溶かします。これにより、骨密度が低下し、骨が弱くなります。

1日のビタミンDの必要量は10-25マイクログラム。ビタミンDはサケ、イワシ、ニシン、サンマなど、脂の多い魚に含まれるほか、きのこ類も豊富。でも、ビタミンDを含む食品は限られており、必要量を食事だけで摂取するのは不可能。そのため、必要量の半分以上を私たちは紫外線からの作用で産生しています。なので、骨のためには、日差しにあたることが必要なのです。

日光を避けすぎるとビタミンDが欠乏状態に

いつもベールで全身をすっぽり覆っているムスリムの女性は骨粗しょう症になりやすいという研究が、世界中で発表されています。これは日光に当たらないことでビタミンDの産生量が少なくなっているためと考えられています。一年中、日焼け止めを塗っているということは、ベールを着用しているようなもの。骨密度は成長期から30代までがピークで、その後は徐々に低下していき増えることはありません。この時期にビタミンDが常に欠乏していると骨密度のピークの値が低いため、高齢になった際に骨粗しょう症になるリスクが高くなるといえます。すぐに骨粗しょう症になるわけではありませんが、将来を見据えて今から対策が大切です。

シミ・シワを予防しながらビタミンDを産生するには

ビタミンDをつくる紫外線の波長は、日焼けをする紫外線の波長とほぼ同じで、SPF30の日焼け止めを塗っていると、体で作られるビタミンDは5%以下になってしまいます。
そこで気になるのが、「では、何分紫外線を浴びればいいの?」という疑問。環境省は、以下のように回答しています。

“地域や季節、時刻、天候、服装、皮膚色など多くの要因で左右されるため、一律◯分と表現できることはできません。これらを踏まえた上で、10マイクログラムのビタミンDを産生するのに必要な時間は、標準的な日本人が皮膚の25%(両腕と顔に相当)を露出して、東京都心で8月1日の昼ごろ、雲が少しある晴れた日に外出するとして3分間。同様に、1月1日の昼ごろに12%(顔と手程度に相当)を露出して外出すると約50分などと計算されます。”

例えば、顔や腕、デコルテは徹底的に紫外線をカット。でも、足には塗らないという選択もあります。また、体の中で手のひらには、メラニン色素がありません。そのため、手のひらにはいくら日光を浴びても、日焼けしないということ。日焼け止めを塗ったら手を洗い、外出時は積極的に手のひらを日差しに当てるというのも、ビタミンD欠乏症の予防につながります。

執筆:月刊『からだにいいこと』編集 -株式会社からだにいいこと

出典:環境省『紫外線環境保健マニュアル2015』
https://www.env.go.jp/chemi/matsigaisen2015/full.pdf