大原櫻子が11月14日に、東京・Zepp Tokyoで『大原櫻子 4th TOUR 2017 AUTUMN〜ACCECHERRY BOX〜』の追加公演をおこなった。7枚目のシングル「マイ フェイバリット ジュエル」にちなんで10月からおこなわれてきたもので、その「マイ フェイバリット ジュエル」をはじめ、ONE OK ROCKのカバーや最新シングル曲「さよなら」など全22曲を披露。「みなさんにとって1曲1曲が大切なジュエルのように、一生心に残るきらめきのような一夜になったら嬉しい」と、華やかな演出と共に心のこもった歌声を響かせた。【取材=榑林史章】

新しいことに挑戦したい

大原櫻子

 様々なアトラクションで来場者を楽しませるように、多彩な演出で楽しませたライブ。1曲目「ALIVE」では、歌っている彼女とは別に、紗幕にもう一人の彼女が投影され、一人の女の子の中で気持ちが揺れ動く様子を表現した。まるで3Dホログラムのようなリアルな映像で、本当に大原櫻子が2人いるような雰囲気。観客はそれを食い入るように見つめて、彼女の世界に入り込んだ。歌い手として真っ暗なステージに一人立ち、非常にエモーショナルに歌声を響かせる大原。一方投影された映像では、役者として気持ちの揺れ動きや孤独感を佇まいだけで表現した。そんな大原櫻子の2つの顔が行き来して、悩んだり葛藤したりしながらまた一つに重なり、そうしてこのステージが作られていることを感じさせる演出だった。

 中盤は「アコースティックメドレーコーナー」と題して、「のり巻きおにぎり」や「おどるポンポコリン」など楽しい楽曲を歌いながら、観客を巻き込む親近感溢れる演出で楽しませた。バンドのメンバーは、おにぎりのかぶりものをかぶって登場して大原を盛り上げる。ステージには、海外の遊園地などでお菓子や風船などを売っているようなワゴンが登場し、そこから小さな楽器を取り出しては観客に渡して一緒に演奏してもらった。曲によっては、大原自身もそこからトイピアノを取り出して演奏を披露したり、はたまたそのワゴンからはシャボン玉も飛び出す。まるでサーカスや遊園地の広場で、取り囲む観客に向けてピエロがサービスしているような雰囲気で、ステージと客席が一つの舞台になったようだ。

 このツアーでは「新しいことに挑戦したいと思った」と、カバー曲の披露にも挑戦した。SNSで歌って欲しい曲を事前に募集していて、客席からは「応募したよー」との声も。自身がライブで聴いてもっとも感動した曲としてONE OK ROCKの「Wherever you are」を選曲し、「心の底から大切な人を浮かべて聴いて欲しい」と伝えてから披露。一つひとつの言葉を丁寧に置いて行くように、感情がたっぷりと込められた歌声。その迫力のあるボーカルには、誰もが息を飲んだ。また中島みゆきの「糸」のカバーは、深みのある歌声が観客を圧倒。日々のちょっとした出会いや仕事の連なりによって今がある。音楽制作や舞台出演など多彩な活動からの実感が、彼女の体の奥底からわき上がっているような歌声だった。

今日はみなさんと歌いたい

 アンコールでは、いきものがかりの水野良樹が作詞作曲した、最新シングル曲「さよなら」や、家入レオ、藤原さくらとのビクター三人娘で歌った配信限定曲「恋のはじまり」を披露した。「さよなら」は、「私にとって生まれて初めての失恋ソングで、大きなチャレンジになりました。失恋しても、少しでもありがとうと思えるようなものにしたい。そんな前に踏み出す勇気」と話して歌った。切なさが胸に響くバラードで、悲しみを必至で抑えようとする健気な歌声が、ギュッと胸を締め付ける。少しだけ大人の女性として一歩を踏み出した姿を見せてくれた。「恋のはじまり」は、「いつもは大好きな2人と一緒に歌っていますが、今日はみなさんと歌いたいです」と話して、ふんわりとして温かい歌声で聴かせた。

 大原櫻子のライブは、デビュー当時から完成度が高く、新人とは思えない舞台度胸と観客を巻き込みながらステージを展開する構成力で、非常に高い評価を得ていた。それから様々なライブステージを重ね、ミュージカルや舞台への出演も経験。そうした積み重ねで得て来たものが、一つの舞台として開花したのがこのライブだったと思う。以前からの高い評価はそのままに、観客へのサービス精神や舞台に対する意識はますます高まっていた。またボーカリストとしての表現力も、以前とは比べものにならないほど増した。特にバラードにおける表現力は、女優としての経験があればこそだろう。日々の活動が彼女にとっての宝石であるならば、この先、どんなジュエル・ボックスを魅せてくれるのかさらに楽しみになった。

セットリスト

大原櫻子
「大原櫻子 4th TOUR 2017 AUTUMN 〜ACCECHERRY BOX〜」
11月14日 Zepp Tokyo

01. ALIVE
02. マイ フェイバリット ジュエル
03. 青い季節
04. Realize
05. トレモロレイン
06. 瞳
07. Wherever you are
08.〜12. アコースティック メドレーコーナー
のり巻きおにぎり〜うたうたいのうた〜オレンジのハッピーハロウィン〜おどるポンポコリン〜頑張ったっていいんじゃない
13. 糸
14. ちっぽけな愛のうた
15. サイン
16. 明日も
17. READY GO!
18. Jet Set Music!
19. 踊ろう
<アンコール>
20. さよなら
21. 恋のはじまり
22. サンキュー。