シュート数は23対4。果敢に柏ゴールに迫ったが、フィニッシュの精度を欠いて無得点。試合はドローに終わり、連覇と20冠はお預けとなった。写真●徳原隆元

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[J1リーグ33節]鹿島 0-0 柏/11月26日/県立カシマサッカースタジアム
 
 2000年の「三冠」を含め、リーグ優勝5回、リーグカップ4回、天皇杯2回と、鹿島で多くのタイトル獲得に貢献してきた中田浩二。常勝軍団の歴史を紡いできた男は現在、クラブ・リレーションズ・オフィサー(以下、C.R.O)の肩書で、スタッフとしてクラブを下支えしている。
 
 そんな中田C.R.Oは、勝てばリーグ連覇と節目の「20冠」が達成されたが、スコアレスドローに終わった先の柏戦をどう見ていたのか。
 
「いろんな要素が重なりましたよね。たとえば、この柏戦はアントラーズにとって3週間ぶりのゲームでした。練習試合はやっていても、(公式戦とは)真剣さが違う。プラスアルファ、優勝もかかっていて、いつもなら強引に行けるところを、少し慎重になってしまったり。
 
 今日に限っては、レイソルもすごく頑張っていたと思います。目の前で優勝されたくない、という気持ちで戦っていたように見えましたね。人数を割いて守備を固めてくる。ああなると点を取るのは難しいですよね。GKの中村航輔も“当たって”いましたし」
 
 もっとも、結果は出せなかったとはいえ、「試合の入り方や内容は良かった。人もボールも動いていた」とチームの戦いぶりを称え、「ネガティブな部分は、決められなかったことぐらい」と続けた。
 
 今回の柏戦は、鹿島にとって今季のホーム最終戦だった。しかもタイトルがかる大一番で、チケットは8年ぶりのソールドアウト。最高の舞台が整っていたが、シーズンがこれで終わるわけではない。
 
「この試合で決めなければ、というシチュエーションなら、最後はパワープレーとかに出たと思いますけど、そうではない。イニシアチブはまだ僕らが持っている。最後、ジュビロに勝てばいい。その前に、フロンターレがレッズに勝てなければ、そこで優勝が決まる(※1)。だから、無理する必要はなかった。そういう意味でも、難しかったのではないですかね」
※1=2位川崎が延期分の浦和戦で引き分け以下なら、最終節を残して首位・鹿島と川崎は勝点4〜5差となり、鹿島のリーグ優勝が決まる。
 
 当然ながら、柏戦で決着をつけたかったはずだ。ただそれがかなわなかったとしても、「(タイトルは)まだ自分たちの手の中にある」と中田C.R.Oは冷静に語った。

【鹿島 0-0 柏 PHOTO】鹿島の"20冠"は持ち越し…後半に猛攻を仕掛けるも柏の守備を崩し切れずにドロー決着。
 大観衆が集まったホームの柏戦で、優勝を決めるのが理想だったのは間違いない。それでも、「決められなくて残念だ、という気持ちは、そこまでないんじゃないかなという気がします。うちが追い込まれている状況ではないですから」(中田C.R.O)。
 
 そして、現役時代は幾多もの厳しい勝負に競り勝ち、タイトルを掴んできた男が何気ない調子で発したその言葉には、説得力と重みがあった。
 
「最終的に、上にいればいいんですから」
 
 大事なのは、最後まで集中を切らさず、しっかりと準備をして、最終節の磐田戦を迎えることだ。
 
「それを考えると、今日のレイソル戦の内容が悲観的かといえば、そうではない。うちが支配して、押し込めていた。最後のところで点は取れなかったけど、そこは修正すればいいだけだと思います」
 
 一時は2位川崎との勝点差は「8」まで離れていたが、結局は最終節までもつれこむ可能性が出てきた。この状況を中田C.R.Oはポジティブに受け止める。
 
「こういうピリピリした雰囲気の中でやることで、選手はさらに成長できる。次のジュビロ戦も当然、そうなりますよね。特に若手は確実に伸びる。それは選手にとっても、クラブにとっても財産になります」
 
 こうして鹿島は常勝軍団としての歴史を歩んできたのだろう。今季のラストマッチとなる磐田戦、チームがどんな戦いを見せるか楽しみだ。
 
取材・文●広島由寛(サッカーダイジェスト編集部)