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もくじ

どんなクルマ?
ー ミドル級SUVのなかで同社最強
ー サス/ステア/ギア/音も調整可

どんな感じ?
ー 「まず驚かされるのは、そのサウンド」
ー 動きはライバルに及ばず 実用性も

「買い」か?
ー スタイルと加速性能重視ならば…

スペック
ー メルセデス-AMG GLC63 Sクーペのスペック

どんなクルマ?

ミドル級SUVのなかで同社最強

メルセデス-AMG GLC63 Sは、同社の放つ、ミドル・サイズ・パフォーマンスSUVで最もパワフルなクルマだ。

モデル・ラインナップ上、メルセデス-AMG GLC43の上位に位置し、ポルシェ・マカン・ターボやBMW X3 M40iの直接的なライバルとなる。さらに、2018年にはジャガーやアルファ・ロメオからも同クラスの競合車種が導入されることになっている。

現在オーダーを受け付けている来春デリバリー予定の、初期ロットかつ右ハンドルのイギリス仕様車は、ふたつのボディ・スタイルとふたつの仕様から選ぶことができる。

標準ボディに2500ポンド(37万円)を追加することで、クーペ・スタイルを選択することができるといった価格関係。双方のボディ・スタイルに6750ポンド(100万円)を追加することで、よりパフォーマンスの高いSモデルを選択することができる。

GLC63の全てのモデルは、メルセデス-AMG E63で導入された、9速オートマティック変速機と最新の4MATIC 4輪駆動システムを搭載する。この新しいシステムは、電子制御のクラッチを前輪と後輪の間に配し、路面のグリップとトラクションに応じて、適量のパワーを駆動輪に配分する。

サスペンションは、定評のあるAMGモデル達から移植され、フロントにはC63譲りの4リンクを、リアにはE63と同じマルチ・リンクを採用する。

さらにメカニカル・ハイライトがある。

サス/ステア/ギア/音も調整可

他のメカニカル・ハイライトは、コンフォート、スポーツ、そして、スポーツ・プラスの3つのモードが選択できるAMGチューンの3層チャンバーを持つエア・ボディ・コントロール・システムである。

加えて、ダイナミック・セレクト・システムからは、サスペンション、ステアリング、ギアシフト、そして排気音を好みによって変更できる、ドライビング・モードを提供する。選択できるモードは、コンフォート、エコ、スポーツ、スポーツ・プラス、そして、レースであり、最後のモードは、GLC63 Sモデルのために特別に設定されたものである。

V8パフォーマンスカーに、エコ・モードが設定されることを意外に思うかもしれないが、60km/hから160km/hの速度域において、アクセルを緩めた際に、コースティング・ファンクションが介入し、エンジンを停止し、少なくとも燃費を向上させる努力をみせている。再度、アクセルを踏み込めば、瞬時にエンジンは目覚める。

GLC63 Sモデルには、他にも、標準の19インチAMG 10スポーク・デザインのホイールに代わって、20インチが装着され、アップグレードされたAMGパフォーマンス・シートが備わる。また標準では機械式のデフに代わって、電子制御式のLSDが付く。

ここまでくれば、ハイ・パフォーマンス・セラミック・ブレーキ(4285ポンド、65万円)やAMGパフォーマンス・エグゾースト(1000ポンド、15万円)を追加するのも悪くないだろう。

2755ポンド(41万円)のドライバーズ・パッケージは、250km/hで介入するスピード・リミッターを、267km/hまで許容する。このパッケージは、Sモデルでは標準で備わり、最高時速は278km/hまで許容される。仕様書上では十分な速さであると思われる。

どんな感じ?

「まず驚かされるのは、そのサウンド」

4つの派生モデルの中から、メルセデス-AMG GLC63 Sクーペをわれわれのテスト車に選んだ。そして、まず驚かされるのは、そのサウンドである。

コンフォート・モードを選択し、始動した時は、いたって普通であるが、アグレッシブなスポーツ・プラス・モードを、センター・コンソールに位置するダイナミック・セレクトのスイッチから選択し、オプションで選択できるスポーツ・エグゾーストのバルブが全開になった時、古典的な鋳鉄V8が醸し出す爆音は、GLC63 SクーペをNASCARのマシンに変身させる。

オートマティックに任せるにしても、ステアリングに装着されたパドルを使って変速を行うにしても、シフトダウンの際は、エンジンの咆哮と、アフターファイアによる破裂音が伴う。

このクルマの車重を考えると、体感できる速さは尋常ではない。GLC63は、既にパワフルなエンジンを搭載するが、Sモデルのそれは、510psと71.3kg-m(標準モデルから35psと5kg-mの向上)を発生し、2tの重量があるこのクルマを、なんと3.8秒で100km/hまで加速することができる。

ライバル達はどうだろうか。ポルシェの発表によれば、パフォーマンス・パッケージを搭載したマカン・ターボは、0-100km/h加速を4.4秒でこなすといい、BMW X3 M40iは、100km/hまでの加速に4.8秒を要する。仕様書上のメルセデスのパフォーマンスがいかに驚異的かおわかり頂けるだろう。

長い直線をみつけ、アクセルを踏み込めば、GLC63 Sクーペは、一旦腰を沈め、ドラッグ・レーサーの様に猛然と驀進するのである。

常識をものともしないパフォーマンスは、コーナーリングでも有効である。

動きはライバルに及ばず 実用性も

このクルマの重量とフロントに収まる重いV8エンジンがあるため、GLC63 Sクーペの車両コントロールは緊張を伴うが、一旦ドライビング・モードをスポーツかスポーツ・プラスを選択すれば、その動きは収束をみせる。そして、コンフォートにモードを戻しても、コーナーリング中の僅かな挙動の振れを示すに過ぎない。

これら全ては、乗り心地の犠牲の上に成り立っているわけではないというのもポイントだ。

エア・スプリングは、路面の荒れを上手くいなす立派な仕事をしているし、フラットでロールを抑制した姿勢を保っている。4輪駆動システムが路面をグリップするレベルは、期待通りに素晴らしいものである。

ただし、このクルマの絶大な能力は、純粋にドライバーの能力が映し出されているわけではない。可変ステアリングは正確だが、太くて柔らかいステアリング・ホイールは、マカン・ターボの様に、路面との対話を伝えてくれるものではない。

そこには、同じ水準の連続的な相互作用があるわけではない。このメルセデスは、各コーナーでドライバーと常にコミュニケーションを取っているわけではなく、強引にいうことをきかせている様である。

加えて、ドイツの整備の行き届いた道では、素晴らしいパフォーマンスを披露するこのクルマであるが、同じことが路面の悪いイギリスの公道では言えないかもしれない。

そのうえ(多くのGLC63クーペの購買層は、実用性をその主な購入動機として捉えていないだろうが)今日のマーケットで、これほど後方視界が悪い同サイズのクルマを見たことがない。

ワイドなトレッド、膨らんだボディ・スタイル、大径のホイール(テスト車はオプションの21インチ・アルミ・ホイールが装着されていた)を考慮すると、街中で、このGLC63クーペは、恐ろしいほどに扱いにくい。

「買い」か?

スタイルと加速性能重視ならば…

このGLC63クーペは、まともで、少しバカバカしくもある、モダンなホッドロッドである。このクルマには、プレミアム価格で発売される、最新鋭のクルマにあなたが期待する、メルセデス-AMGのクオリティや、市場で最もラグジュアリーで心地のよいキャビンや、数々のパフォーマンスを鑑みた装備や、そして、最新のコネクティビティとドライバー・アシスタンスが備わる。

しかし、このスタイリングに心を奪われてしまったというわけでなければ、このGLC63クーペを、5ドアの兄弟車を差し置いて、心から推薦することは難しい。

メルセデスが、イギリスで5ドアのGLC63に要求するよりも、2500ポンド(37万円)高い出費を払い、狭いインテリアと限定された収納性を手に入れることも問題だ。

評価をわけるのは、以下のとおり。

・ライバルに対しての0-100km/h加速の僅かなアドバンテージを重んじるか
・クルマとのより深い対話を求め、ハンドリングに関する僅かな優位性を重視するか

前者ならば「買い」。

しかし、物理の法則を無視するかの様に、2tの重量をこれほどまでの速さで走らせることのできる能力と、ミドル・サイズのパフォーマンスSUVの他のライバル達が6気筒へ移行した今でも、喚情的なV8ガソリン・エンジンを搭載するというだけでも、このクルマの存在意義と言えるかもしれない。

少なくとも、このテストによって推薦を受ける権利があるだろう。

メルセデス-AMG GLC63 Sクーペのスペック

■価格 78,560ポンド(1178万円) 
■全長×全幅×全高 - 
■最高速度 278km/h 
■0-100km/h加速 3.8秒 
■燃費 9.3km/ℓ 
■CO2排出量 244g/km 
■乾燥重量 2020kg 
■パワートレイン V型8気筒3982ccツインターボ 
■使用燃料 ガソリン 
■最高出力 510ps 
■最大トルク 71.3kg-m 
■ギアボックス 9速オートマティック