10月17日都内で開かれた「核のごみ」処分地に関する意見交換会(記者撮影)

高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分地に関する住民意見交換会で、参加者らへの金品提供が常態化していた疑いが持ち上がっている。

さいたま市内で11月6日に開催された、原子力発電環境整備機構(NUMO)主催による意見交換会。参加した学生から、「おカネをもらわなければ、平日の昼間にこんなところには来ない」「自分たちのようなサクラを使ってまで進めるのはよくないのではないか」との発言が飛び出した。

NUMOでは11月14日に記者会見を開催。再委託先である学生向けマーケティング会社のオーシャナイズが、参加の学生に1万円の謝礼を約束していたと明らかにした。東京や大阪、愛知、兵庫の4会場では、同社が学生サークルに5000円相当の物品提供を約束していたとも説明した。

NUMOによれば、オーシャナイズが集めた学生は5会場で39人(うち、さいたま市の会場では12人)。NUMOは「金品提供の約束は慎むようにと厳命にしていたにもかかわらず、このような事態が起きたことは遺憾だ」と釈明している。

学生は「おカネをもらって出席」と明言

NUMOの事業は核のごみの最終処分を行うこと。その候補地選定を目指し、毎年、全国で対話活動を進めてきた。

NUMOは「実際には金品の提供はなかった」と会見で説明した。だが、実際には学生への聞き取りをせず、オーシャナイズへの聴取だけで判断していた。さいたま市の会場で学生の発言を間近で聞いた参加者は、「学生は『おカネをもらって出席した』と明言していた」と打ち明ける。


さらにNUMOは、オーシャナイズの話として、昨年8月のさいたまの集会でも、学生4人に各5000円程度の謝礼が支払われていたと明らかにしている。

「元請け」となった地域力活性化研究室との関係にも疑念の目が向けられている。同社の郴目(えのめ)清一朗代表は、NUMOの「広聴・広報アドバイザリー委員会」の委員を2014年まで務め、広報戦略のあり方を提言してきた。その一方で、広報活動業務を2013年から電通の下請けなどの形で受注していたようだ。

こうした関係に利益相反はないのか。NUMOによれば、「一般競争入札を妨害するような取引の情報が同委員会に提供されていなければ、特段問題にはならない」との意見を顧問弁護士から得ていたという。

地方新聞社に大きな影響力


当記事は「週刊東洋経済」12月2日号 <11月27日発売>からの転載記事です

郴目氏は北国新聞社に勤務し、全国地方新聞社連合会で主任研究員を務め、「地方新聞社に大きな影響力を持つ人物」(NUMO関係者)。NUMOは郴目氏の人脈や、電通から紹介を受けたというオーシャナイズの学生動員能力に頼った。

『原発プロパガンダ』などを著し、原子力の広報・広告業務に詳しい文筆家の本間龍氏は、「NUMOに広報の専門能力がない以上、外部に頼らざるをえない。形を変えて不祥事は繰り返される」と語る。NUMOの今後の活動に打撃となるのは間違いない。