タッチラインギリギリまで飛び出して、選手への指示を送り続けた吉田監督。試合後には我慢強く戦ったチームに賛辞を贈った。 (C) SOCCER DIGEST

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[J1リーグ33節]大宮 0-0 甲府/11月26日(日)/NACK

 勝たなければ降格が決まる大宮アルディージャの猛攻を凌いだヴァンフォーレ甲府は、何とか首の皮一枚で残留の可能性をつなぎ留めた。試合後、吉田達磨監督は、「この状況は奇跡なんだと思う」と振り返った。
 
 降格圏の16位に沈む、まさに崖っぷちの状況下にあった甲府は、序盤から硬さが目立ち、訪れた決定機を逸する場面も見られた。しかし、そうした中でもチームを最後まで後押ししてくれたサポーターに対して、吉田監督は、「ムードを作ってくれた。今日はいつもよりもダイレクトに声援は届いていた」と、まずは感謝を述べた。
 
 試合中はピッチサイドエリアに立ち続け、戦術的な指示を与え続けた指揮官は、勝点1という結果をいかに受け止めているのか。引き締まった表情で次のように話した。
 
「一つのイージーミスが勝敗を左右するという展開で、選手たちは自分たちが持てるものを出して戦ってくれたと思う。細かなクオリティの面で小さい問題はいくつかありましたけど、シュートを打つと決めたら打つ、クリアすると決めたら弾き出す。そういう決断の部分で選手たちはよく判断してくれたと思う」
 
 自軍を称えた吉田監督は、ハーフタイム中に残留争いのライバルであるサンフレッチェ広島と清水エスパルスの戦況をチームに報告し、士気を高めていたことも明かしている。
 
 結果、清水がアルビレックス新潟に逆転負けを喫したため、最終節のベガルタ仙台戦に希望を繋いだ甲府。吉田監督は、この状況を「奇跡」と表現し、かつて指揮を執った新潟の面々からの“後押し”を受けていたと言葉を詰まらせながらコメントした。
 
「去年戦った仲間から先週末から昨日にかけて、『必ず勝つから』、『絶対勝って下さい』というようなメッセージや電話をもらった。本当に彼らが僕たちの命を一週間、延ばしてくれたということに……言葉は選べないですけど、感動的です。勝てなかったので約束を破る形にはなってしまいましたけど、新潟がアウェーで逆転勝ちをしてくれたことを活かしきりたいですね」
 
 古巣からの援護射撃を受けた吉田監督率いる甲府は、いよいよ12月2日の最終節にクラブの命運を懸けた一大決戦に臨む。
 
「僕らは勝つしかない。皆さん(サポーター)の前で運命を待てるような結果を残したい」と必勝を誓った指揮官のもと、甲府はJ1残留の想いを結実させられるだろうか。
 
取材・文●羽澄凜太郎(サッカーダイジェストWeb編集部)