「膣」に便がたまって便秘に(depositphotos.com)

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 便秘の人の排便には、「強くイキまないと出ない」「排便後も便が残っている感じがする」「便意があるのに出ない」などいろいろ。中でも、成人女性が注意したいのが「便意があるのにイキんでも出ない」タイプだ。

 イキんでも排便されないのは、肛門から出るべき便が膣の側にたまっていることも考えられる。便が軟らかければスムーズに排便されるが、便が固いと、便が直腸の壁を押し広げて溜まってしまうのだ。これを「直腸瘤」といい、直腸がポケット状に膨らむことから「直腸ポケット」とも呼ばれる。

 直腸の後ろ側には、「仙骨」という骨盤を支える骨があるため後ろ側に直腸が広がることはない。男性の場合、前側は前立腺やその周囲組織が強い壁となっているが、女性の場合、膣で空間であることに加え、膣壁が弱く広がりやすい。

 そのため、女性は「直腸瘤」になりやすい。女性の便秘のおよそ7割はこのような状態であるという統計もある。イキんでも便が出てこない、出てもコロコロの固い便が少しだけで常に残便感がある、膣や会陰部に違和感があるという場合は直腸瘤を疑ったほうがいい。

 直腸瘤の便は自分で出すこともできる。「用指排便」といって、膣に親指を入れて、膨らんだ部分をグッと肛門に向けて押すと、肛門から便が出やすくなる。ただし重症化したときには手術の必要な場合もあるので、医療機関で受診したほうがいい。

会陰マッサージで直腸瘤が改善

 編集者の原田純さんは自身の著書『膣のトリセツ』(径書房)の中で、会陰マッサージで直腸瘤によるスーパー便秘を改善したと告白している。

 会陰とは、膣口の下から肛門にかけての部分をいうが、会陰マッサージでは、会陰だけでなく、大陰唇・小陰唇などの外性器と膣の中にもオイルやジェルを塗ってマッサージを行う。

 もともとは安産になる確率が高くなるということから、妊婦にすすめられていたもので、海外ではオックスフォード大学病院群やケンブリッジ大学病院群、日本でも聖路加産科クリニックなどがすすめている。

 会陰マッサージを行うと、膣や会陰の筋肉が柔軟になるだけでなく、血行がよくなるのでうるおいも増す。そのため、女性器の黒ずみや性交痛の改善など、膣の機能をアップして膣の若返りが期待できる「膣のセルフケア」として一般の女性たちからも注目されている。

 欧米では女性一般に会陰マッサージや膣ケアをすすめている国が多く、会陰マッサージ用のオイルや膣専用保湿剤がドラッグストアーやスーパーで手軽に購入できる。日本では店先で手軽に購入とまではいかないが、通販で女性専用クリームやジェルを購入できる。

 ただし、このようなものは外性器専用のものが多く、膣内に注入しても大丈夫か確認する必要がある。膣内注入ジェルとしては『インクリア』という商品が薬局で購入できる。保湿効果もあるのでおすすめだ。

<会陰マッサージ>は健やかな体を保つセルフケア

 会陰マッサージで直腸瘤を探すときには、膣に親指を入れて肛門側の膣壁をさわり、固い出っぱりがあったらそれが直腸瘤だ。便が入っていないときにはブヨブヨと柔らかく、押すとへこむ。

 原田純さんは、会陰マッサージで膣に親指を初めて入れたときに、自身の直腸瘤に気づいた。以来、親指の腹で膣壁のポケット状に伸びた部分を丁寧にオイルマッサージして膣壁の状態をほぼ正常に戻したそうだ。

 会陰マッサージを行うときには、爪を切った清潔な手で、やさしくゆっくりマッサージすることが大切だ。膣に指を入れることに抵抗がある場合は無理をせず、最初は会陰部だけ、次に大陰唇、そして小陰唇というように、少しずつ慣らしていくと抵抗感が薄れることが多い。

 慣れてきて人差し指が膣に入るようになったら親指を入れてみるといい。入浴時や入浴直後など、リラックスした状態で行ったほうが指が入りやすい。

 日本人女性の多くは、女性器にふれたり膣に指を入れることに抵抗がある。しかし膣も体の一部であり、顔や頭皮、体の皮膚と同じように手入れが必要であることに変わりない。会陰マッサージも健やかな体を保つための〈セルフケア〉と考えてみてはどうだろう。
(文=編集部)