今大会9ゴール目となる決勝点を叩き出し、勝利に貢献したR・シルバだが、足の痛みは相当なものだったようだ。写真:茂木あきら(サッカーダイジェスト写真部)

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[ACL決勝 第2戦]浦和 1-0 アル・ヒラル/11月25日/埼玉
 
「あのシーンははっきり覚えていないんです。武藤選手からボールを受けてうまくターンできた。強いシュートを撃てたが、ゴールできた実感がまだ湧いていません」

 
 試合後の取材エリアで、殊勲の男、ラファエル・シルバは、88分に生まれた決勝点のシーンをそう振り返った。
 
 ゴールが決まった瞬間、喜びを爆発させた。
「無邪気に走り、泣いたし、仲間とともに喜びました。本当に言葉にならない喜び」
 
 決勝点は終盤、ポジションを変更したなかで生まれた。この日はいつもの4-1-4-1ではなく、4-4-2に近いシステムを採用した浦和は、選手交代とともに多彩な配置転換を行ない、R・シルバも試合途中、興梠とポジションを替え、最前線に位置していた。
「おそらく、プレッシングの効果を考えたポジショニングだったと思う。堀監督が自分たちの特長を生かしたいという考えだったと思うが、非常にいいシステムだった」
 
 右足から放たれた強烈なシュートは、クロスバーを叩き、そのまま豪快にネットを揺らした。試合後には高ぶる感情を抑え切れず、ブラジル国旗で顔を覆った。
 
「いろんな思いが自分の頭の中を流れた瞬間だった。個人的にも本当にタイトルが欲しかった。それに、第1戦で足首を怪我してしまって、本当に出られるのかということを心配していた」
 
 敵地での第1戦では自身のゴールで先制するも、その後に追いつかれると、相手のタックルを受けて途中交代を余儀なくされた。
 
「2戦目までの1週間、トレーナーとともに治療したおかげで、しっかり試合に出ることができた。皆さんに感謝しています」
 
 痛みは相当なものだったようだ。試合後には「きつい痛みだったが、乗り越えられた。怪我を乗り越えられたのが嬉しかった」と、痛みに耐えながらのプレーだったことを吐露している。実際、前半は精彩を欠いた動きが目立ち、本人も「もう少し冷静に、ミスを少なくできればよかったと反省している」と語ったが、それでも土壇場の88分には、きっちりと決勝点を決めきってみせた。

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 そしてもうひとつ、第1戦の後にR・シルバに対して、思いも寄らぬ心無い言動が突きつけられた。自身のインスタグラムのアカウントに差別的な投稿がなされたのだ。
 
 これに対して、R・シルバは即座に「この世界にまだ差別主義者がいることを悲しんでいます。私は私の肌に誇りを持っています」とメッセージを発信したが、挑発的な言動にも、ことさら心を乱されることはなかったという。
「何が起きたとしても、自分は同じ人間でこれからもい続けたいと思うし、起きたことは起きたこととして、切り替えて自分のプレーに集中していきたい」
 
 そうした心境のなか、背番号8は決勝点という形で自身の存在価値を示したのだ。
「(この件に関して)僕からの回答として何が一番正しいのかと言えば、何かをするというより、ピッチの中で自分の仕事を見せるのみ。今日はそれができた。もう子どもじゃない。同じようなレベルで返すわけにはいかないし、自分はプロとしてピッチの中で見せることができてとても幸せに思う」
 
 そう力強く語ったR・シルバ。様々な出来事に揺れた1週間を、多くの人々の支えを実感しながら、じつにタフなメンタリティで乗り切ってみせた。