酒が飲めないふりは若い世代の常套手段?

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 最近、趣味の魚釣りの集まりが毎週のようにあり、20歳―30歳代の若者と話す機会が多い。久しぶりに会った一人に、通っているロックバーに連れて行ってほしいとリクエストされた。

 まず食事をしようと店に入ったが、酒が飲めないはずの彼が日本酒を注文した。尋ねると「会社では酒が飲めないことになっている」そうだ。若い世代を中心に「酒が飲めるのに、飲めないふりをしている人」が相当数いるらしい。

 理由は簡単である。さしたる訳もなく、上司や先輩に酒の席に誘われるのが嫌だからだ。「実際は渋々ついて行く人が多い。仕方なく飲んでいる人と飲んで、おいしいんですか」とか。

 酒を出す店側も「飲みながらする話じゃないと思うこともたまにある。若い者が酒を飲みに行かなくなるし、営業妨害です。ほかの店でもやってもらいたくありません」。こんなぼやきを、何度か聞いた。

 連れ回したり、説教したりする方にも言い分はあるだろう。だが作家の吉田健一さんが書くように、犬が日なたぼっこをしているように気持ち良く酒は飲みたいものだ。メーカーはさまざまな酒を提案するが、見本となる“飲み方”も提案してはどうか。今のままでは酒離れは進む一方だろう。
日刊工業新聞2017年11月20日

メーカーは需要喚起に一工夫
 ビール大手が缶チューハイやハイボール商品に力を入れている。冷夏・長雨の影響で8月のビール、発泡酒、第三のビール販売数量が前年同月比6―7%減と落ち込むなか、缶チューハイやハイボール商品は好調を維持。缶チューハイは果実系や飲みごたえ系、強炭酸などと風味や香りに変化をつけるのが容易で、アルコール度数も3%から9%までさまざま。若者や女性の好み多様化も背景に、チューハイ・ハイボール人気は続きそうだ。

 キリンビールのチューハイ主力ブランド「氷結」は、8月に同17%増となった。果実感や味わいを改良した中身の刷新に加え、女性需要を狙った低アルコールの「旅する氷結」シリーズが後押しした。旅する氷結の年間売り上げは、当初目標の2・5倍となる170万ケースを見込む。氷結からはロゼスパークリング、マンゴースパークリング2品を発売した。

 アサヒビールでは、「ウィルキンソン・ハード無糖ドライ」が好調だ。「無糖なので食事と一緒に飲んでも太らない」イメージもあって、ブランド全体で1―8月の販売数量は前年同期比61%増。

 9月から新たに無糖レモンを発売、ハロウィーンの販促策とからめて上乗せを目指す。9―10月はブランドで同4倍の大増産を計画している。

 サントリースピリッツはハイボール缶の販売が、8月で前年同月比23%増と好調。1―8月の累計では29%増という。缶チューハイ「マイナス196℃」の8月販売は4%増だが、高アルコールで甘くない味が特徴のストロング系に限れば5%増になる。

 同社は26日に瓶容器のテキーラ商品「サウザクーラー」も発売。多様化需要を取り込む。

サッポロビールも多様化需要を見据えて、缶チューハイに注力する。8月の販売数量は「キレートレモンサワー」が前年同月比78%増で、「男梅サワー」も同17%増。さらに期間限定商品を相次ぎ発売し、売り上げを増やす計画だ。

日刊工業新聞2017年9月14日