「唯一の想定外でした」 浦和GK西川が告白、ACL決勝で驚嘆した意外な出来事とは?

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ACL決勝第2戦1-0勝利、シュートをほとんど打たせず「久しぶりにこういう試合できた」

 浦和レッズの日本代表GK西川周作は、25日のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の決勝第2戦、アル・ヒラル(サウジアラビア)との決戦を無失点に抑え、チームの1-0勝利と10年ぶりのアジア王者を導いた。

 それまで、全てを“想定内”にしてきた守護神には意外な“想定外”があったのだという。

「何が起こっても、想定内と言えるようにする」「良い準備をして、究極の余裕というものを作りたい」と語ってきた守護神は、この決勝第2戦でも「第1戦で、相手の力量を把握できた」と冷静にゲームに入っていた。押し込まれているように見えたチームだが、西川が手でボールを処理したのは前半28分が初めてというほど。西川がビッグセーブを見せることが必要になるような場面はなく試合が流れた。

 それもこれも、初戦から第2戦までの間に綿密に守備組織を作り上げてきた準備があったからこそだ。シュートを止めるのがGKの役目ではあるが、そもそも枠内シュートを打たれなければ失点するわけがない。「久しぶりにこういう試合ができましたね。ホームで勝って優勝っていうイメージ通りでしたよ」と、トレードマークの笑顔を弾けさせた。

 そんな西川の想定外は、試合前に訪れていた。浦和の選手バスが決戦の埼玉スタジアムに入ろうとするところで、大勢の浦和サポーターに出迎えられた。大きな旗が振られ、大声量の浦和レッズコールが巻き起こった。そして、試合直前にはスタジアム全体を覆う芸術的なビジュアルが目に飛び込んだ。

西川も驚き「予想を上回っていた」

「本当に、唯一の想定外でしたよね。スタジアムへの入りのところから旗を振ってくれて、ああいうスタジアムの光景もやってくれるとは思っていたんですけど、『どんなのかな?』って思って行ったら、予想をはるかに上回っていました。3年間、こういうサポーターの前で勝ち切れなかった悔しさが多かったですから。だから、ACLに賭けていたんです」

 今季は、春先からパフォーマンスを厳しく評価され、日本代表から落選という悔しさを味わった。7月にミハイロ・ペトロヴィッチ監督が契約解除となり、堀孝史コーチが監督に昇格。サンフレッチェ広島時代からの恩師がチームを去ることに責任を感じた西川は、「まだしっかりお礼は言えていない」という。それでも、11月の欧州遠征では日本代表に復帰し、上昇気流に乗って迎えた決勝戦だった。

「チームとしても、良い時も悪い時もありますけど、バラバラにならずにやってこられたと思います。ずっと、同じ方向に向かっていけているという思いはありました。もちろん、今季は悔しい気持ちが大きかったですよ。シーズン途中までミシャ監督とやってきたわけですし、その感謝の気持ちはあります」

「頭が真っ白」 盟友と歓喜の抱擁で笑顔

 西川はこの大会を優勝したからこそ得られたFIFAクラブワールドカップの舞台にも思いを馳せる。何より「海外、UAEでの大会にACL王者として出られるのはなかなかないし、価値がありますよね。アジアを代表して勝ち抜きたいです」と、日本のクラブとしては初めて日本以外の開催での同大会に参加することの意義も語った。

 試合終了の笛を聞くと、守護神はピッチに突っ伏した。「頭が真っ白で、現実のことなのか」と思ったが、男泣きのキャプテン阿部勇樹や、大分トリニータユースからの盟友のMF梅崎司と抱き合うと最高の笑顔を弾けさせた。苦境を乗り込んでつかんだアジアチャンピオンの座は、西川にとって最高の勲章になった。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images