草食投資隊“隊長”の渋澤健氏。渋澤栄一の玄孫にあたる

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「草食系投資」という投資のやり方が、じわじわと広がりを見せているという。ガツガツと利益を追い求める「肉食系」の投資とは対極にある投資のことらしい。提唱者の一人であるコモンズ投信会長の渋澤健氏に話を聞いてみた。

◆長期的視点でコツコツ積み立てていくのが「草食系投資」

「草食系投資」とは、私とセゾン投信の中野晴啓さん、レオス・キャピタル・ワークス(ひふみ投信)の藤野英人さんの3人で結成した「草食投資隊」が提唱する長期投資のコンセプトです。定額かつ少額でも始められ、勝つか負けるかの一発勝負ではない、じっくりと腰を据えた、でも、楽ちんな長期信託投資のことを指します。

 私たち3人は競合他社なのですが、お互いの縄張りを食い荒らすような“競争”型ではなく、お互いフォローし合うような“共創”型の投資というのが必要ではないかという話で意気投合しました。その話をしたのはリーマンショック(2008年)の翌年です。投資が冷え込んだ時期に、「長期的な視点でコツコツと積み立てていくような投資を広めていこう」ということで3人で活動を開始、日本全国を巡ってセミナーを開催しています。

◆若手・現役世代こそ少額からの草食系投資を

 現在、多くの証券会社や銀行は、潤沢な運用資産を持っている60歳以上の年代をメインターゲットに営業をかけています。しかし未来のことを考えたら、私は若手、現役世代こそ資産形成を意識してほしいと思っています。毎月1〜3万円くらいの少額から始めてコツコツ増やしていくような投資をすることで、将来がずいぶん変わってくるからです。

 草食投資隊が活動を開始した2010〜2012年ごろに積立投資を開始した人たちは、今ホクホクしていますよ。その間、3.11などさまざまな下落要素もあったのですが、安定した実績を挙げているからです。

 定額制の積立投資だから、それが可能になります。つまり、価格が下がると口数を増やし、上がると口数を減らします。それを淡々と繰り返していけば、安い時に買いだめをし、長期的には“宝箱”ができているという算段です。

 相場が上がり続けるのであれば、一括で買いを入れてもいいかもしれません。しかし、どの辺で相場が反転するのかなどのリスクも考えると、これからの相場の行方が分からない時こそ積立投資が役に立ちます。

 来年から、積立NISAが始まります。前から株をやっている人からすると、年間40万円の税制優遇は少ないと考えるかもしれません。ですが、毎月3万3333円を積み上げれば年間40万円、それを20年積み上げると800万円の元本になります。

将来の成果は約束できないのが投資ですが、倍増している可能性もあります。それで税金がかからないのですから、将来に漠然たる不安を感じる若手世代の積立NISAはこれから必須だと思います。

◆お金よりも「時間」に投資を

 私自身に子供が生まれた時、成人した将来の姿を想像しました。留学したいとか、ショップを立ち上げたいとか、成長した時にいろんなチャレンジをしたいと言い出すのではないだろうか。だとしたら応援をしたいな、と思ったのがきっかけで、子供の口座で積立投資を始め、自分自身も始めました。

 当時は21世紀になったばかりでしたが、子供が成人になる20年後を考えて始めたんです。当初は長い時間のようにも思えたのですが、もうすぐその20年が経とうとしています。過ぎてみると、あっという間の時間でした。

 お金は、たとえ減ったとしてもいろんなところで取り戻すチャンスがあります。しかし、過ぎた時間は取り戻せません。だから、草食系投資がいいなと思ったら、すぐに始めた方がいいでしょう。時間は1日ごとに減っていく、大切な資源です。