【ライターコラムfrom東京V】古巣の自動昇格に感化…梶川諒太が秘める強い決意「絶対にJ1に上がりたい」

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 2015年のV・ファーレン長崎在籍時以来、自身2度目のプレーオフを前に、いま、梶川諒太はとてつもない充実感に包まれている。

 期限付き移籍だった15年を含め2シーズンを過ごし、昨年は副主将、選手会長も務めた思い入れの強い長崎から、サッカー選手としてのさらなる成長を求め、東京ヴェルディでプレーする道を選んだ。その古巣が2位の自動昇格で、クラブ史上初のJ1昇格を果たした。当然、「羨ましいなぁ、という気持ちは、多少はあります」。だが、それ以上に、「(東京Vに)『来て良かったな』と、改めて感じています」と、目を輝かせる。

 その要因の一番は、やはり、新天地でも自分の居場所を確保できたことだ。初の外国人監督の下、リーグ戦41試合に出場。「湘南、長崎でだいぶ鍛えられてきたはず」という運動量と持ち前のテクニックを武器とするプレースタイルでレギュラーを掴めたことは、東京V、湘南、長崎と、これまで6年間積み上げてきたプロキャリアが認められたことに等しく、選手としてこの上ない喜びだろう。さらに、若い選手が多く、チームが発展途上である中で主力としてプレーできていることもまた、大きなやりがいとなっているという。

 もう1つは、「サッカーの考え方の幅が広がった」と、自分でもはっきりと成長を実感できているからである。スペイン人監督・ミゲル アンヘル・ロティーナ監督の指導はとにかく新鮮で、「ポジション1つにしても、ここまで細かく言われたり、守備のことなど、もう一度学べる、素晴らしい機会でした」。また、経験豊富な先輩チームメイトたちからも多くを学んでいる。「(永田)充さんや、ハシさん(橋本英郎)、二川(孝広)さんなどから、プレーや考え方、いろいろなことを教えてもらえています。試合に出てない時も、ベンチで橋さんと試合を見ながら話しながら、いろんな話を聞けたりする。長崎では、そこまで経験を持っている人はいなかったので、『こういう考え方があるんだな』というところに、いろいろ気付かされることが多くて、本当に良かったなという思いしかないです」。充実したシーズンを送っているからこそ、“昇格”という、目に見えた結果を勝ち取りたいとの思いは高まるばかりだ。

 その、J1昇格プレーオフの最初の相手がアビスパ福岡だというのも、何かの縁だろう。前回出場した15年に対戦した相手も、同じく福岡だった。当時を「あの時は、自動昇格した2チームと福岡がダントツに勝ち点を挙げてて、歯が立たないというか、正直、力の差を感じました。結果は0−1だったですが、得点チャンスがほぼなかった」と、振り返る。さらに、ゴールを決められたのも、湘南時代のチームメイト、ウェリントンだったことを思い返しても、まさにこれ以上ない絶好のリベンジチャンス。「内容も大事ですけど、それ以上に勝つことにだけ焦点を当てていきたい」。雪辱に燃える。

 上位アドバンテージとして、引き分けでも勝ち上がりとなる福岡は、失点しなければいいという状況だ。リーグ最少失点数を誇る相手に対する勝利へのテーマに、28歳のMFは「失点しないこと」を掲げる。「特に前半での失点は、絶対に避けなければいけない。そこでプランが崩れてしまうので」。理想の展開としては、第39節での対戦時のように、「まずは守備のバランスを崩さないようにリスクマネジメントをしながら、セカンドボールをしっかりと拾って、立て続けに攻めていくこと」。バランスを取ることも、セカンドボールを回収することも、自身が最も求められている役割だけに、「90分間運動量変わらず、しっかりやりたい」。同時に、「気持ちの部分も本当に大事。もっともっとチームをまとめるために、鼓舞する声も心がけて出していきたい」。プレーで声で、フル稼働を誓う。

「もう28の歳なので、チームを引っ張っていく存在になれるように」と、プロ生活をスタートさせた東京Vに帰ってきた。「あと2試合、自分の役割をしっかり果たして、絶対にJ1に上がりたい」。充実のシーズンを、最高の結果で締めくくってみせる。

文=上岡真里江