(写真提供=SPORTS KOREA)

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11月16日から19日まで東京ドームで開催されたアジアプロ野球チャンピオンシップで韓国は、日本に選手層の違いを見せつけられ2位になったものの、10年近くほとんど動かなかった韓国野球の時計が、ようやく動き始めたことを感じさせた。

野球の韓国代表は、2006年の第1回、2009年の第2回、そして今年の第4回WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)で、ベテランの金寅植(キム・インシク)が監督を務めていた。

金は選手としてはプロ経験がなく、1982年に始まる韓国のプロ野球において、指導者の第1世代である。そして、選手の第1世代である宣銅烈らがコーチとして金を補佐していた。

今回は「野球国宝」と呼ばれ、韓国のプロ野球草創期の大スターで、中日でも活躍した宣銅烈(ソン・ドンヨル)が満を持して監督に就任し、現役を引退してからそれほど経っていない陳甲龍(チン・ガビョン)や、中日でもプレーした李鍾範(イ・ジョンボム)ら、選手時代にWBCなどを経験した若手の指導者がコーチになり、コーチングスタッフが大幅に若返った。

「U-24」が好都合だった理由

今回の大会規定は、24歳以下か、入団3年以内の選手となっている。

これは韓国にとって、好都合であった。

韓国はここ10年近く、代表チームの中心メンバーがほとんど変わらず、世代交代が遅れている。

そうした中、来年はジャカルタでアジア大会が開催される。

日本はアマチュアの選手を中心にメンバーを構成し、さほど重視していないが、韓国は優勝すれば、兵役が免除になるだけに、非常に重要な大会である。

といって、兵役問題が解決していない若手だけで露骨にメンバーを組むと、批判を浴びる。

そういった意味で今回は、若手が国際試合の経験を積み、実績を残す絶好の機会であった。

露呈した投手層の薄さ

今年も韓国のプロ野球は極端な打高投低であったが、投手陣で光ったのは、台湾を8回途中まで被安打3の無失点に抑えた林起映(イム・ギヨン、KIA)だ。
(参考記事:今年も極端な打高投低の韓国プロ野球。その原因と日韓の共通課題

サイドから力のある球を投げる、ヤクルトでもプレーした林昌勇(イム・チャンヨン、KIA)らに通ずる、韓国のお家芸といった感じの投手だ。台湾が苦手とするタイプで、起用が見事に当たった。

2012年のU-18韓国代表のメンバーでもある張現植(チャン・ヒョンシク、NC)も、シーズンは9勝9敗、防御率5.29という成績ながら、初戦の日本戦で好投し、可能性を感じさせた。

その一方で、今シーズン12勝を挙げ、エースとして決勝戦の日本戦に先発した朴世雄(パク・セウン、ロッテ)は、4回途中で降板。交代で登板した投手もことごとく結果を残せず、投手陣の層の薄さを露呈した。

U-18のW杯やアジア選手権を見ていても、韓国の投手には上半身の強さに対して下半身が不安定で、ボールのリリースポイントが定まっていない投手が目につく。その傾向は、プロに入った後もさほど変わっていない。

何人が代表に残れるか?

打者で光ったのは李政厚(イ・ジョンフ)と金ハソン(いずれもネクセン)だ。

今年、ルーキー最多安打を記録した李政厚は、今回コーチである李鍾範の息子。

ボールをバットに載せる技術に優れ、台湾戦では、決勝の三塁打を放った。李は、昨年U-18のアジア選手権に出場しており、打撃センスでは、韓国代表の中で抜きん出ていた。

広島の薮田和樹から本塁打を放った金ハソンは、2013年のU-18韓国代表。

ネクセンの正遊撃手であった姜正浩(カン・ジョンホ)がメジャーに進出したために空いた穴を見事に埋めて、今回の代表の中ではただ1人、今年のWBCにも出場している。

今シーズン打率0.363で3位になった朴萊宇(パク・ミンウ、NC)は、決勝戦こそ安打はなかったが、予選リーグの日本戦、台湾戦では2安打ずつ記録。1番打者らしく、投手に多くの球を投げさせる、相手にとって嫌なタイプの打者だった。

この3人は目立っていたが、他の選手は物足りなかった。

馴染みのない投手と対戦する国際試合は、そうそう打てるものではない。

とはいえ、初戦の日本戦の10安打はともかく、台湾戦は4安打、決勝戦は3安打と、打てなさ過ぎた。シーズンとのギャップはあまりに大きい。

今回選ばれた若手のメンバーから、どれだけ来年のアジア大会のメンバーに残れるか。

今回結果を残せなかった選手は、来シーズンはよほど頑張らないと厳しいだろう。

兵役は大きな問題であるだけに、2020年の東京五輪の前に、そこが韓国プロ野球に重要な課題となってくる。

(文=大島 裕史)