南麻布の住宅街に彗星の如く現れ、中華の概念を覆し続ける『茶禅華』。今や、港区女子や港区おじさんたちがそのプレミアシートを確保しようと必死!そんな大人気のレストランに、女優・長谷川京子さんが初訪問。「レストランは非日常」と語る彼女の感想は?




「シンプルで奥深い。一口食べて感じたのは引き算の美学でした」

かつては武家屋敷が立ち並び、現在はドイツやフランスなどの大使館が点在。そんな南麻布の閑静な住宅街に、「食通」と「港区女子」から支持を集める中国料理店がある。今年2月にオープンした『茶禅華』だ。

もともと大使館員の住まいだった一軒家を改装して作ったという店内はグレーを基調とし、それが、ところどころに配されている李朝の調度品や景徳鎮の器などと相まって、独特のオーラを纏っている。

「ドラマティックですよね」

そう語るのは女優の長谷川京子さん。マキシ丈の赤いワンピースを着こなす姿が、洗練された店の雰囲気とよく合っている。

「今は子育てがあるので、お洒落する機会が少なくなってしまって……。だから、たまに女友達と食事となると、ここぞとばかりにドレスアップして、非日常的な気分を満喫しようとするんです。この店なら、それが叶えられそうな予感がします」

そうこうしているうちに厨房から料理が運ばれてきた。



全15品のコースで提供される魚料理はその日の仕入れ状況により異なる。この日は「すじあらの焼き物〜香港の香り〜」。ナンプラーベースのソースは、タイ料理の印象とは異なる、優しい味わいだ。ふっくらとやわらかいすじあらに、長谷川さんも思わずため息

「すじあらの焼き物〜香港の香り〜」というひと皿が目の前にサーブされた瞬間、長谷川さんの顔には、やや驚きの色が広がったように見えた。そして、ひと口味わうと、「なんて優しい味なのかしら」とため息のような言葉が漏れた。

「素材の持ち味が丁寧に活かされている印象。今まで中華料理に対して抱いてきた概念がいい意味で崩れたような気がします」

長谷川さんがそう感じるのも、当然かもしれない。なにしろ総料理長を務める川田智也氏は異色の経歴の持ち主だ。

調理師学校を卒業後、西麻布の『麻布長江』で中華料理の基礎をみっちり仕込まれ、その後、なんと日本料理の名店『龍吟』の門戸を叩き、日本料理の精神や、食材の扱い方を学んだのである。

「実際、すごく手は込んでいるんでしょうけど、いわゆる引き算というのかしら、食材の味を引き出すための調理法を施しているせいか、くどくない」


実力があるから実現できる、「鶏とすっぽん」という組み合わせ。シェフの腕に脱帽!



「すっぽんを詰めた鶏手羽」。皮のパリッとした艷やかな鶏手羽の中には、細かく刻んだすっぽんが。山椒が味わいにアクセントを加える。「こんな中華、初めてです。どこかしら日本料理のエッセンスを味わえるし、シェフの個性を感じますね」とは長谷川さん

そう言って、今度は「すっぽんを詰めた鶏手羽」を口に運び、頬を緩ませる長谷川さん。お酒はあまり強くないとのことなので、ここにはワインペアリングのほかにティーペアリングがあることを伝えると、「お酒を飲まない人にも嬉しいですね」とさも感心した様子だ。

ところで、長谷川さんといえば、これから公開される出演映画『光』が注目を集めている。作家・三浦しをんの小説を原作とする本作は、人間の心に潜む闇を徹底的に炙り出した、苛烈な人間ドラマ。

この中で長谷川さんは、中学時代に男に犯され自分の恋人に、その男を殺させるという複雑な過去を背負った女性を演じている。劇中には、テクノの巨匠、ジェフ・ミルズによる、疾走感溢れる音楽がけたたましく鳴り響き、全編に犇元〞が充満している印象だ。



「この映画が今の世の中にどう受け止められるのか、興味があります。例えば高校生の純愛を描いたドラマが想定内だとしたら、この『光』は想定外。狒枋螻〞に人は動揺するものですが、この動揺を良しとするか、それとも理解できない映画、と片付けるか。

そこに挑戦する大森立嗣監督は素晴らしいと思います。テレビドラマじゃなくて映画なのだから、どうせなら面白いことをやらないと。 今、私ね、人の心を動かすような仕事がしたくてたまらないんです」

その気持ちは、40歳を控えて余計に高まってきたらしい。

「私のまわりの40代ってみんな活き活きしているんです。仕事に対してもアグレッシブで。でも、私はどこか自分に飽きも来ているし、だから、このままぬるっと歳を取るんじゃなくて、しっかり決めていきたい。

でも、悲しいかな、体は着実に衰えてきているので、健康管理を怠らず、美味しいものを食べて体力を付けたいと思っています」

そうして長谷川さんは『茶禅華』に予約を入れて帰った。また、来たい。そう思わせる何かをこの店から感じたのだろう。




『茶禅華』

川田智也シェフが和魂漢才を体現する。メニューは「季節のおまかせコース」(約15皿)1本のみ。多彩な酒類からなるアルコールペアリングのほか、ティーペアリング、お酒とお茶をミックスしたペアリングも楽しめる。


■プロフィール
はせがわ・きょうこ 1978年生まれ。女性ファッション誌のモデルとして活動を始め、2001年に女優デビュー。最新作は大森立嗣監督作、映画『光』(11月25日公開)

■衣装
ドレス¥406,000、ブーツ¥167,000〈すべてフェンディ/フェンディ ジャパン TEL:03-3514-6187〉、ピアス〈本人私物〉

■クレジット
Photos/Yoshitaka Mizuno@zecca、Yoichiro Kikuchi(foods),Text/Mio Amari




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