“奇跡の7連勝”の千葉がJ1昇格POを制す!? 過去5年のJ2データから大胆予測

写真拡大 (全7枚)

J1昇格POを実施した2012年以降のリーグ戦「ラスト3試合」の成績に注目

 2017年のJ2リーグは湘南ベルマーレが優勝し、1年でのJ1復帰を達成。

 2位争いは“伏兵”V・ファーレン長崎が制してJ参戦5年目で悲願のJ1昇格を果たした。

 そして例年、激しい戦いが繰り広げられる3〜6位の「J1昇格プレーオフ争い」は、名古屋グランパスとアビスパ福岡の2チームが進出を決めている状態で11月19日の最終節を迎えた。昇格を争う徳島ヴォルティスとの直接対決に勝利した東京ヴェルディが5位に滑り込む一方、波乱の主役となったのが第41節終了時点で8位のジェフユナイテッド千葉だった。本拠地での横浜FC戦、1-1で迎えた後半アディショナルタイム、DF近藤直也のヘディングシュートがゴールネットを揺らし、徳島と松本山雅FCを抜いて大逆転で6位に浮上、プレーオフ出場権を獲得した。

 怒涛の7連勝でJ1昇格に望みをつなぎ、今最も勢いのある千葉だが、歴代プレーオフのデータを見ると、土壇場で驚異の粘りを見せた彼らに“勝利の女神”は微笑むという。ポイントはリーグ戦の「ラスト3試合」にあり――。プレーオフが実施された2012年以降の5シーズンを振り返りながら、その理由に迫ってみたい。

2012年:出場全4チームが好成績を叩き出す

 大混戦となったシーズンで最後に抜け出したのは、ヴァンフォーレ甲府だった。第18節の敗戦を最後に、その後24試合連続無敗のJ2新記録を達成し、リーグ優勝と昇格を決めた。そして自動昇格のもう一枠に滑り込んだのは終盤に持ち直した湘南で、初開催のJ1昇格プレーオフには京都サンガF.C.、横浜FC、千葉、大分トリニータが参戦。終盤戦において中位チームの失速し、突き上げがなかった点も上位チームの安泰を揺るぎないものとしていた。

 プレーオフを制したのは、6位からの下剋上を果たした大分。ラスト3試合の戦績は22チーム中で5位、プレーオフ進出チームでは千葉と横浜FCの3連勝に次ぐ3番手の位置づけだったが、2勝1分0敗の4得点0失点と「無敗&無失点」で乗り切った点が、最終決戦を制した一つの要因と言えるのかもしれない。

2013年:傑出していた4位徳島の追い込み

 降格組のガンバ大阪とヴィッセル神戸が終始昇格争いをリードし、1年での復帰を勝ち取った。プレーオフ進出を巡り多くのチームが終盤まで可能性を残す大混戦となったが、まず抜け出したのは京都だった。第32節〜第38節まで7連勝を達成し、3位を確保。最終節の残し、JFLから昇格1年目のV・ファーレン長崎と千葉、徳島、コンサドーレ札幌、松本の5チームが争った。

 運命の最終節、4位長崎はホームに6位徳島を迎えて敗戦。これにより、勝てばプレーオフ進出だった7位札幌だが、ギラヴァンツ北九州に痛恨ドロー。8位松本は愛媛FCに勝利するが、5位千葉が後半アディショナルタイムに追いつく劇的な展開で幕を閉じた。

 そしてプレーオフを制したのは4位の徳島だった。プレーオフに進出した4チームの中で、ラスト3試合で勝ち点7を奪った成績は傑出。勢いそのままの昇格劇となった。

2014年:“下剋上”の山形が得失点差1上回る

 J2の洗礼を浴びたジュビロ磐田が失速するなか、湘南が序盤から圧倒。最終的に42試合で勝点101を叩き出す圧巻の成績を残し、自動昇格を決めた。前年にあと一歩でプレーオフに届かなかった松本がそれに続き、悲願のJ1初昇格。プレーオフに回ったのは千葉、磐田、山形の3チーム。北九州が5位に食い込んだものの、J2ライセンスを持たないため、参加することはできなかった。

 そしてプレーオフを制したのは6位の山形だった。準決勝ではGK山岸範宏(現・北九州)が後半アディショナルタイムに勝ち越しゴールを決めるなど、終盤戦の勢いそのままに飲み込んだ。

 ラスト3試合の成績は山形と千葉が勝ち点6で互角だったが、得失点「1」の差で上回り、そのまま明暗を分けた。

2015年:3連勝の福岡が逃げ切った格好に

 序盤戦の主役は2014年のJ3を制して昇格してきたツエーゲン金沢だった。一時は首位に立つものの、徐々に研究されて取りこぼしも目立つようになり、大宮にその座を奪われてしまう。結果的に地力を見せた大宮がそのまま自動昇格。残る1枠とプレーオフ出場権の争いは、最終節までもつれた。

 迎えた最終節、同一勝ち点で2位の磐田と3位福岡はともに勝利。得失点差わずか「3」の差で、磐田が自動昇格を勝ち取った。福岡、4位セレッソ大阪、5位愛媛がプレーオフに進出。6位長崎、7位東京V、8位千葉で争われた6位争いも、最終節に揃って敗退し、長崎が最後の枠を死守する形となった。

 プレーオフを制したのは福岡。リーグ戦ラスト3試合の成績は4チームの中で断トツの3戦3勝、9得点1失点。決勝ではC大阪と対戦し、1点をリードされる苦しい展開だったが、後半42分に1-1の同点に追いつき、ドロー規定により福岡がJ1昇格の切符をつかんだ。

2016年:前年の悔しさバネにC大阪が3連勝

 本命不在と目された大混戦のシーズンは、最終節まで優勝チーム、降格チーム、プレーオフチームが確定せずにもつれこむ。

 自動昇格を勝ち取ったのは札幌と清水エスパルス。2位清水と3位松本は前年同様、同一勝ち点で得失点差により命運を分けた。4位C大阪、5位京都、6位には初のプレーオフ進出となるファジアーノ岡山が入った。

 そしてプレーオフを制したのは、C大阪だった。ラスト3試合の成績は3戦3勝、4得点1失点で進出した4チーム中トップ。決勝で涙を呑んだ前年ラスト3試合の勝ち点が3だったことを考えれば、最後の詰めを欠いた反省をしっかりと生かしたことが、14年以来のJ1昇格をぎりぎりでつかむ要因になったと言えるかもしれない。

2017年:3連勝で得失点差5、千葉に“勢い”

 夏の段階ですでに1位湘南、2位福岡が頭一つ抜けるも、福岡が終盤戦で失速。代わって自動昇格をつかんだのは長崎だった。シーズン開幕当初には累積赤字が3億円を超え、事実上運営会社が倒産状態に陥っていたが、ジャパネットホールディングスが経営再建に乗り出したことでチーム状況が好転し、来季は初のJ1へ臨む。

 そして冒頭で記した通り、3位以下は最終節に順位が大きく変動。勝利した名古屋が3位、徐々に勢いを失った福岡が4位、大混戦となった残り2枠の争いは東京Vと千葉が制した。

 プレーオフ進出4チームのラスト3試合の成績を見ると、千葉が3戦3勝、7得点2失点と全22チームで2位の好成績でトップ。続いて勝ち点6で東京Vと名古屋が並び、福岡は勝ち点5となった。

 こうして振り返ると、プレーオフ初年度の12年を除き、13年以降は4シーズン連続で進出したチームの中で「ラスト3試合の成績が最も良かったチーム」がJ1昇格を決めている。一発勝負のプレーオフを制すには“勢い”こそが重要――過去5年のデータから導き出される“3番目”のJ1昇格チームは千葉となるが、果たしてどんな結末が待ち受けているのだろうか。

【了】

Evolving Data labo●文 text by Evolving Data labo

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images