前浦和監督のペトロヴィッチ氏や前神戸監督のネルシーニョ氏が再びJクラブに復帰する可能性が取り沙汰されている。(C) SOCCER DIGEST

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 今季のJ1では、過去最多となる7クラブがシーズン途中に監督交代へと踏み切っている。契約を切られた指揮官たちのなかには、確かな実績を誇る名将たちも含まれており、来季に向けてすでに動きを見せ始めているのだ。それゆえ、この冬の移籍マーケットでは、監督人事の動向からも目が離せない。
 
 なかでも注目は、ミハイロ・ペトロヴィッチ、ネルシーニョ両指揮官の動向だろう。成績不振により、それぞれ浦和、神戸の監督から今季途中に退いたが、Jリーグを熟知しているうえに、十分な実績を誇ることから、複数クラブから触手を伸ばされても不思議はない。
 
 特に積極的な動きを見せているのは前者のほうだ。代理人を通じて売り込みをかけているというペトロヴィッチ氏は、すでに複数クラブと接触している模様。ここにきてタイや中国リーグのクラブからも興味を示されているようで、選択肢の幅を広げている。条件面を吟味したうえで、Jクラブか、あるいは、海外クラブで指揮するのかの決断を下すことになる。
 
 一方、国内の主要3タイトル(J1リーグ、リーグカップ、天皇杯)獲得を経験しているネルシーニョ氏にも様々な噂が飛び交っているが、現時点では不透明だ。Jリーグ関係者の話では、エリク・モンバエルツ監督の退任が発表された横浜の新監督候補にリストアップされているようだが、事が上手く運ぶかは定かではない。というのも、監督人事の決定権は資本提携を結んでいる「シティ・フットボール・グループ」にあるからだ。つまり、横浜側の意向がすべて反映されるわけではないため、場合によっては別の候補者を選定する可能性もありうる。
 
 対照的に、来季の動向が早々と決まりそうなのが、今季限りでG大阪の指揮官を退く長谷川健太監督だ。14年に国内3冠を獲得した名将は当初、来季も続投すると見られていたが、攻撃サッカーへの回帰を目指したいクラブ側の意向もあり、9月初旬に退任を発表。一部報道によると、FC東京からのオファーを受け入れたようだ。
 
 その長谷川監督の後釜には、過去3度(97年、07〜11年、12〜13年)C大阪を指揮したレヴィー・クルピ氏が迎え入れられるという。長谷川体制下の5年間で、G大阪は4つのタイトルを獲得してきたものの、今季は中位に低迷。2季連続で無冠に終わったチームの復権を託す人物としてリストアップしていた。このブラジル人監督とは基本合意に達しているようで、シーズン終了後にも正式発表されそうだ。香川真司(ドルトムント)、乾貴士(エイバル)、清武弘嗣、柿谷曜一朗、山口蛍(すべてC大阪)らを育て上げたように、育成手腕にも定評がある指揮官の下、タイトルを奪還できるかは興味深い。
 
 新潟はシーズン途中に呂比須ワグナー監督を招聘したものの成績が伸び悩み、03年以来のJ2降格。呂比須監督は降格が決まった11月18日の甲府戦後の翌日、神田勝夫強化部長とともに退任が決まった。来季の新潟は強化部も刷新して、リスタートを切ることになりそうだ。
 
 その新潟と同じく、低迷を余儀なくされた広島の動向は、今季の結果次第。ヤン・ヨンソン監督の続投は、J1残留を果たした場合に限られそうで、代理人筋の情報によると、J2降格時にはFC東京や甲府で指揮経験がある城福浩氏に舵取りを任せるプランがあるという。
 
 前述した2クラブと同様に、神戸でもシーズン途中の政権交代が敢行されたが、こちらは「吉」と出た。ネルシーニョ氏からバトンを引き継いだ吉田孝行監督は“暫定監督”との肩書ながら、チームの成績を安定させただけでなく、ルーカス・ポドルスキを上手くハンドリング。チームを困難な状況から救った手腕への評価は高く、一部で噂が挙がったペトロヴィッチ前浦和監督の就任も立ち消えに。天皇杯ではベスト4に進出させたことから、立花陽三社長は、吉田体制の継続を示唆するコメントを残している。