限界ぎりぎりまで耐えるタイプの臓器であることから、明らかな症状が出る頃には、もうかなり悪い状態になっているケースが多いという「肝臓」。“沈黙の臓器”とも呼ばれる肝臓の働きについて、アンチエイジングを専門とする上符正志先生と、漢方にも詳しい渡邉賀子先生が教えてくれました。

右のわき腹あたりにある肝臓は、体内でもっとも大きな臓器。肝細胞は再生能力が高く、一部切除をしても1か月ほどで再生するという。小腸で消化・吸収した栄養素を分解したり合成したりする働きから、体の化学工場ともいわれる。と同時に、体にとって有害なものを無害化=解毒する働きも。

「アルコール、食品添加物、薬などの多くはすべて肝臓で分解・解毒するので、摂りすぎは肝臓の負担になります」(渡邉先生)

しかし、肝臓そのものが痛むということはない。では、不調はどんな形で表れる? 「もしも体がだるくて仕方がないという状態が1週間以上も続くなら、肝機能が低下している可能性が考えられます」(上符先生)。朝起きるのが辛く、なんとか出社してもだるさが終日続き、仕事終わりに食事に行くのも億劫…という自覚症状があったら要注意。疲れからの回復が肝機能の一つの目安になる。また、お酒を飲まない若い女性にも増えているのがNASH(非アルコール性脂肪肝炎)。痩せていても油断は禁物。食事代わりにお菓子を食べたり、脂っこいものが好きな人は生活を見直そう。

ちなみに、血液検査の項目にあるγ‐GTPは、肝細胞で作られている酵素で、アルコールや薬剤による肝障害などの指標の一つ。GPTとGOTはタンパク質を分解する酵素で、いずれも血中に多い(=数値が高い)と肝細胞が壊れている可能性が。

【肝臓はこんなことをしている!】

栄養素を体に必要な形に変える

腸から門脈という血管を通って送られてきた、糖、アミノ酸、脂肪といった食べ物の栄養素を、体で使えるエネルギーに変える。例えばブドウ糖はグリコーゲンに変えて蓄えられ、アミノ酸からはタンパク質が合成されている。

血液中の成分を解毒

食べ物を分解するときに発生するアンモニアなどの有害物質や、食品添加物、アルコールといった体内に入ってきた異物を解毒して、排出するのも肝臓の大事な役目。薬も体にとっては異物なので、肝臓で解毒する。

エネルギーを貯蔵

肝臓で合成された栄養は、血管を通って脳や筋肉など必要なところへ届けられるが、すぐに使わない分はグリコーゲンや中性脂肪として溜めておき、必要なときに適宜使えるようにしておく。中性脂肪が多すぎると脂肪肝に。

脂肪を分解する胆汁を作る

胆汁は、脂肪やコレステロールを消化・吸収するための消化液。肝臓から分泌された胆汁は、胆のうという器官を通り、十二指腸へ届けられる。また、胆汁は肝臓の解毒作用にも関わっていて、老廃物を体外に排出する働きもある。

上符正志先生 銀座 上符メディカルクリニック院長。アンチエイジング医学と出合い、専門クリニックを開院。アメリカの最先端治療プログラムを日本に導入している。

渡邉賀子先生 麻布ミューズクリニック名誉院長。帯山中央病院理事長。西洋医学に漢方も取り入れ、「冷え症外来」「漢方女性抗加齢外来」などを開設した実績をもつ。

※『anan』2017年11月29日号より。イラスト・サヲリブラウン 取材、文・黒澤 彩

(by anan編集部)