2017年12月31日放送『第68回NHK紅白歌合戦』(NHK総合)の出場歌手が先日発表された。今年は「今年の活躍」「世論の支持」「番組の企画・演出」の3点を基準に、アンケートやCDの売り上げ、カラオケリクエストなどをもとに、出場歌手が選定されたという。

 総合司会には内村光良(ウッチャンナンチャン)と桑子真帆アナウンサーを抜擢し、白組の司会には二宮和也(嵐)、紅組の司会には有村架純を起用。初出場組は紅組が4組、白組が6組の計10組で、エレファントカシマシ・SHISHAMO・WANIMA・Little Glee Monster・TWICE・三浦大知・Hey! Say! JUMP・竹原ピストル・トータス松本・丘みどりと、幅広いラインナップが登場する予定だ。

(参考:嵐 二宮和也、『NHK紅白歌合戦』単独司会起用の理由は?

 今回の司会・出演者は、番組史においてどう位置づけられるのか。『社会は笑う・増補版』や『紅白歌合戦と日本人』の著者・太田省一氏はまず、総合司会の内村についてこう述べた。

「芸人の総合司会起用は、1983年のタモリさん以来という快挙です。内村さんは2000年の『内村プロデュース』(テレビ朝日系)以降、後輩芸人と絡むことが多くなり、常識もありつつ優しくて面白い、理想の上司のような芸人になってきました。NHKとの関係も、レギュラー番組の『LIFE!〜人生に捧げるコント〜』のほか、『内村五輪宣言!〜TOKYO 2020開幕1000日前スペシャル〜』と強固にしています。タモリさんの時も『ばらえてい テレビファソラシド』や『紅白』への応援ゲスト出演などを経た上での司会抜擢という流れがあり、そこも共通している点が多いですね」

 また、二宮と有村の司会起用についてもこう解説する。

「『紅白』において、嵐はここ何年か中心的なポジションを担っているため、二宮さんの起用は予想の範囲内ともいえるでしょう。NHK番組での単独MCは初めてですが、『ニノさん』(日本テレビ系)などで見せる器用さを、ここでも発揮して欲しいですね。有村さんは2年連続での起用となりましたが、『連続テレビ小説「ひよっこ」』での実績も大きいですし、昨年の安定した司会ぶりも認められてのことでしょう」

 一方で、出演者については、今年がNHKの掲げる“4か年計画”の2年目であることを踏まえつつ、昨年との明確なコンセプトの違いを指摘した。

「ここ数年顕著になってきた世代交代は、今年もさらに進んでいますし、出演者も副題の『夢を歌おう』に相応しく、歌の力が全面に押し出されている印象です。初出場歌手についても、Little Glee Monsterやトータス松本、エレファントカシマシ、竹原ピストルと歌を聴かせることを意識した人選のように思えますし、WANIMAやSHISHAMOもストレートに歌を聴かせるバンドたちです。昨年のような『企画演出』に比重を置いたものから一転、原点回帰したともいえるのではないでしょうか。Superflyや平井堅についても、このコンセプトに合うアーティストとして復活したように思えますし、阿久悠さんの没後10年&作詞家生活50周年や、今年逝去された平尾昌晃さんの追悼企画など、歌に焦点を当てた取り組みもありそうです」

 さらに、太田氏はラインナップから「歌と同じくらいダンスの比重が重要になってきている」と話す。

「初出場組でも、三浦大知やTWICEといったアーティストや、常連組でもE-girlsや三代目 J Soul Brothers、Perfumeと、“ダンスカルチャー×音楽”が紅白に占める比重が高くなってきました。荻野目洋子も今年、登美丘高校ダンス部のブレイクで再びスポットが当たりましたが、これも若い世代がけん引したムーブメントでした。今年は歌に加え、こうしたダンスカルチャーの浸透を背景にアーティスト本来のパフォーマンスをフィーチャーした年になるのではないでしょうか」

 最後に、NHKのほかの歌番組を踏まえ、『紅白』の今後についてこう予測した。

「これまでは『SONGS』が登竜門のような形でしたが、近年さらに『NAOMIの部屋』や『シブヤノオト』、『うたコン』とNHKのレギュラー音楽番組も多彩になってきました。日本のポップシーンのすべてをみせるのが紅白の存在意義だとすれば、多様化、細分化されたシーンを丁寧に掬い取っていこうというのがこれらのラインナップを整えるNHKの意図であると考えます。紅白過去最高の視聴率は1963年で、1964年の東京オリンピック前年にあたります。同様に2020年の東京オリンピック・パラリンピックにつながる“4か年計画”最終年の2019年に最高の盛り上がりを作るため、来年・再来年と続く同局の挑戦に期待したいです」

 歌とダンスに焦点を当てたものになるという、“4か年計画”の2年目。出場者たちのパフォーマンスに加え、大々的な演出がなされた昨年との比較も楽しむことができそうだ。(リアルサウンド編集部)