ガソリン価格にどう響く?(画像はイメージ)

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原油価格が2年4か月ぶりの高値となっている。主要産油国の協調減産への期待もさることながら、サウジアラビアの政情不安が背景にある。あおりで国内のガソリン価格が1リットル140円に迫るまでに上昇している。どこまで上がるのか。

ガソリン価格は上昇が続き、資源エネルギー庁が2017年11月22日に発表した20日時点の店頭価格は、全国平均で前週比1.8円高の140.1円となった。10週連続の上昇で、その間の上げ率は約7%。このまま140円台に乗せたのは2015年8月以来2年3か月ぶり。原油価格の急伸を受け、石油元売り各社が卸価格を断続的に引き上げ、給油所が店頭価格に転嫁しているのだ。灯油も同様で、北海道ではコープさっぽろの価格が1リットル82円と、前年同期の62円から約3割上昇している。

OPECの動向

もとになる原油相場はというと、10月初旬から本格的に上昇が始まり、国際指標となるニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物の期近物は11月6日には1バレル=57.35ドルと約2年4か月ぶりの高値をつけた。その後は伸び悩んではいるが、それでも、直近は55〜56ドル台となっている。42ドルまで下がった6月からは3割以上、上昇した計算だ。

上昇の第1の理由は、石油輸出国機構(OPEC)などが協調減産を再延長するとの期待。1月に、当初は半年間の予定で始めたOPECと、主要な非加盟国による協調減産は、2018年3月末まで延長済み。OPECは11月30日にジュネーブで開く予定の総会で協議するが、10月にOPECの盟主、サウジアラビアのムハンマド皇太子が「再延長の準備がある」と表明するなど減産延長は既定方針化しており、減産幅の拡大や減産に参加する非加盟国の拡大なども検討されていると伝えられる。非加盟国の石油大国ロシアは2018年いっぱいの減産継続に意欲的とされ、原油市場を強気にさせている。

加えて、ここにきて原油相場上昇に弾みをつけているのが中東最大の産油国サウジの政情不安だ。11月上旬にサウジ政府の汚職対策機関が王子や現職閣僚ら数十人拘束した。ムハンマド皇太子が政敵を排除して権力を一段と集める動きとされるが、内政混乱の連想からサウジの生産量が落ちるとの観測を呼んで原油を買う勢いが強まり、相場を押し上げる方向に作用した。

皇太子は脱石油依存を掲げて経済改革に取り組むほか、対外政策なども取り仕切っているとされ、サルマン国王からの早期譲位の観測さえ流れる。皇太子が権力を完全に掌握すれば、政情は落ち着きを取り戻すとの見方があり、そうなれば原油相場の下げ圧力になる。

シェールとのシーソーゲーム

半面、イエメンやレバノンを巡るイランとの対立激化など対外的な混乱が続く恐れもあり、それは原油相場押し上げ要因だが、サウジ・イランの対立がOPECの結束を乱して協調減産が崩壊すれば、原油価格は支えを失って急落する可能性も否定できない。

さらに、今後の動向をみるうえで目を離せないのがシェールオイルの動向だ。

技術革新で、従来は採掘困難だった頁岩(シェール)に含まれる石油を採れるようになったものがシェールオイルで、米国を中心に開発が進み、今や米国は世界最大の産油国に復活を遂げている。この「シェール革命」を受け、近年の原油相場は、価格が上がってくるとシェールオイルの生産が増えて需給が緩んで価格が値下がりに転じ、そうなるとシェールオイルは採算割れして生産が減少し、需給が締まり、そうなるとまた反転上昇に転じる......という動きが続いている。

この間、シェールオイルの生産コストが趨勢として低下を続けているが、大まかに言って、2014年末からの過去3年を見ると、概ね、1バレル=30ドル〜60ドル程度のボックス圏での動きになっている。50ドルの水準になってくるとシェールオイルの生産が増えて価格の頭を押さえ、40ドルを割り込むとシェールオイルの生産が落ち込んで相場が反転して上昇する、という構図だ。直近の動きでは、この間の原油相場上昇を受け、米国の石油掘削装置(リグ)の稼働数が増加していると伝えられる。

ただ、ここにきて原油相場が60ドルに近付いていることから、上値が重くなってきているのは事実。近年のシェールオイルをにらんだ需給の傾向に合わせた動きに加え、サウジを中心とする中東の地政学的なリスクがどこまで広がるかが、当面の相場に大きく影響しそうだ。