地上の目標を攻撃できる巡航ミサイル「日本版トマホーク」の開発について、中韓両国のメディアが敏感に反応。「性能上は敵基地の攻撃が可能」「軍国主義へ回帰」などと警戒し、神経をとがらしている。資料写真。

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2017年11月25日、地上の目標を攻撃できる巡航ミサイル「日本版トマホーク」の開発について、中国や韓国のメディアが敏感に反応している。日本政府は「敵基地攻撃を目的とするものではない」と説明しているが、「性能上は敵基地の攻撃が可能」「軍国主義へ回帰」などと警戒し、神経をとがらしている。

巡航ミサイルは搭載したレーダーなどによって攻撃目標に向かう精密誘導兵器。弾道ミサイルが放物線を描いて上空から飛来するのに対し、飛行機のように翼とジェットエンジンで水平飛行する。

日本メディアによると、防衛省は18年度予算案の概算要求に計上した「島しょ防衛用新対艦誘導弾」の研究費77億円を活用し、新型対艦ミサイルに対地攻撃能力を持たせることを検討。射程は300キロ以上とされ、専用車両や護衛艦、P1哨戒機、戦闘機などから発射可能にする予定で、22年の試作品完成を目指している。

これについて、中国網は日本メディアの記事を引用し、「日本政府は地上目標物への攻撃が可能な巡航ミサイルの開発を計画しており、すでにこの検討に入っている。日本の本格開発はこれが初めて」と報道。「性能上は敵基地の攻撃が可能だが、その主な目的は敵に占領された離島の奪還」と説明し、「米国の巡航ミサイル『トマホーク』と似ている点が多いため防衛省は『日本版トマホーク』と位置付けている」と伝えている。

さらに自民党の河井克行・総裁外交特別補佐が今年9月、核・ミサイル開発を進める北朝鮮を念頭に「自衛隊が中距離弾道ミサイル、巡航ミサイルを保有することを真剣に検討すべき時期」と発言したことや、過去に日本メディアが「日本政府が『トマホーク』導入を検討」と報じたことなどに言及。これとは別に「島奪還」をめぐる日本の動きとして、来年3月に陸上自衛隊が“日本版海兵隊”といえる離島奪還部隊「水陸機動団」を発足させることも取り上げている。

一方、韓国・中央日報は「敵に攻撃された離島を奪還する能力を備えるためという名分だが、北朝鮮に対するけん制を言い訳に軍国主義へ回帰しようとするのではないかとの懸念も出ている」「違憲議論も避けられない。敵の攻撃を受けた場合にだけ防衛力を行使するよう制限した既存の憲法解釈を全面的に否定することになるためだ」と指摘。朝鮮日報は「日本が対地攻撃機能を持つミサイルを開発するのは太平洋戦争敗戦後、初めて」と憂慮し、ハンギョレ新聞も「日本の専守防衛原則に反しかねない動きに見える」と問題視している。

周辺諸国の懸念が高まる中、安倍晋三首相は22日の参院本会議で敵基地攻撃能力について「米国に依存しており、今後とも日米間の基本的な役割分担を変更することは考えていない」と答弁。その一方で「国民の命と平和な暮らしを守るため何をすべきか、常に現実を踏まえたさまざまな検討を行っていく責任がある」と述べ、将来的な検討に含みを残した。(編集/日向)