大宮戦に向けて選手たちには「相手の気持ちを上回るメンタルを持っていなければダメだ」と伝えてあり、選手たちも感じ取って戦ってくれた。写真:山崎賢人(サッカーダイジェスト写真部)

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 仙台の渡邉晋監督による現役指揮官コラム「日晋月歩」の第31回。テーマは「セカンドボール」だ。今季取り組んできたサッカーを見事に体現して3-0と快勝した一戦となった。ではなぜ、ボールポゼッションで勝って押し込めたのか。
 
 大宮戦では仙台の選手はもとより、対戦相手からも「セカンドボールを拾われ続けた」という声も上がったが、その裏にはある秘密兵器の存在が……。ゲームを振り返ってもらうとともに、大きな役割を担った映像についても語ってもらった。
 
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[J1リーグ32節]仙台 3-0 大宮/11月18日(土)/ユアスタ
 
「自分たちがどういうサッカーをするのか」という面だけでなく、「対大宮で」という面でもやるべきことが明確なゲームだった。日本代表の欧州遠征によって、31節のG大阪戦から約3週間もの準備期間があったことも功を奏した。
 
 自分たちに矢印を向けてトレーニングを積む、または大宮対策を練って落とし込む。それを上手く使い分けられた。加えて、J1残留に向けて大宮が相当な覚悟でくることも想定して準備をしていた。選手たちには「相手の気持ちを上回るメンタルを持っていなければダメだ」と言っていたし、選手たちもそれを感じ取ってくれていた。
 
 ゲームを振り返ると、26分のマス(増嶋竜也)の先制ゴールは「とりあえず後ろに逸らした」って感じじゃないかな(笑)。むしろあの場面は、CKからの流れだったとはいえ、3バック全員がペナルティエリア内に入っていたことに注目したい。
 
 あまり起こり得ないシチュエーションだと思うが、最終ラインの選手でも「得点を奪おう」としてくれていた証でもある。そして、他の選手のリスク管理も素晴らしかった。
 
 エリア内に入り過ぎず、11人が自分と周囲の立ち位置をしっかりと確認して、「どこにいるべきか」「どの選択肢を選ぶべきか」を判断できていた。あのシーンに限らず、大宮戦は90分を通してバランスが良かったと思う。
 
 またセカンドボールをしっかりと拾えていたことも、締まった試合となった要因ではないか。タマ(三田啓貴)も試合後に話していたが、チームとしての狙いがあったからこその、必然的なボール回収。実はその一翼を担ってくれたのが、「ドローン」なのだ。
 10月27日の練習で初めてドローンを導入しており、それからは紅白戦やトレーニングマッチで定期的に飛ばして映像を撮影している。とにかく新鮮で刺激的だ。まず、ご好意で協力してくれている方々に御礼を申し上げたい。
 
 我々には「レーン」と呼んでいるスペースがある。ピッチを縦に区切って考えているのだが、その幅や距離感が真上からの映像ならばより分かりやすい。ここを走れば相手がどれくらい食い付き、最終的にどこが空くのかも一目瞭然だった。
 
 それは「セカンドボールがどこに落ちる確率が高いか」という予測も同様。相手ゴールに対する前向きなセカンドボール奪取も、仕込みと共通の狙いがあるからこそで、偶然ではない。それは自陣ゴール方向に戻りながら対処する場合も同じだ。
 
 例えば前線からプレスを掛けた場合、相手が苦し紛れにロングボールを放り込んでくる時がある。実はその瞬間、最終ラインと相手攻撃陣が数的同数になっていることも少なくない。でも選手たちの実感として「数的同数」をそこまで認識していない場合もある。
 
 だが、ドローンの映像を見せると、かなり分かりやすく「数的同数のシーンはこれくらいあるのか」と理解できる。理解すれば、ボールが自分の頭を越えている間にスプリントして戻る意識が生まれる。サボりがちだったものが、劇的に変化する。