米国臨床腫瘍学会が発表した、各がんとアルコールの関係図(同学会のプレスリリースより)

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適度のお酒は健康によいという研究が相次いでいるが、やはり飲みすぎは決定的によくないようだ。特にがんになるリスクが驚くほどアップする。

米国臨床腫瘍学会は2017年11月7日、機関誌「Journal of Clinical Oncology」に「酒を飲みすぎると、これだけがんになる人が増える」という緊急声明を発表、具体的に各がんの発症リスクを列挙し、米国民に飲酒を控えるよう訴えた。

1日に日本酒2合半以上が危険ライン

同学会のプレスリリースによると、今回の緊急声明は、学会が2017年10月に行なった「米国人のがんに関する意識調査」で、「アルコールががんの発症リスクを高めている」という事実を70%以上の人が知らないことがわかり、危機感を抱いたからだ。

そこで、声明ではまず「がんによる全死亡のうち5〜6%はアルコールが直接の原因になっている」と説明。これまでの膨大な研究により、飲酒が主要な原因の1つであることが明らかになっている次のがんについて、「飲みすぎるとどれだけ発症リスクが高まるか」具体的な数字を列挙した。

飲みすぎ(ヘビードランカー)のレベルは、1日にアルコールを50グラム以上摂取する人で、まったく飲まない人と比較した。ちなみにアルコール50グラムは、ビール中ビンなら2.5本、日本酒なら2.5合弱に相当する。「キビシー!」と思う人もいるだろうが、厚生労働省が「健康日本21」の中で推奨する「節度ある適度な飲酒」の量は、1日平均アルコール20グラム程度だ。これは「大体ビール中ビン1本、日本酒1合、ウィスキーダブル1杯」などに相当する。

学会が公表した主ながんの発症リスクは次のとおりだ。

(1)口腔がん・咽頭がん 5.13倍
(2)食道がん      4.95倍
(3)咽頭がん      2.65倍
(4)肝臓がん      2.07倍
(5)女性の乳がん    1.61倍
(6)大腸がん      1.44倍

このほか、すい臓がん、胃がん、頭頚部がんなども飲酒との関連が濃厚であるとして、「最善のがん予防法はアルコールを控えること」「男性は1日に2ドリンク以下(注:1ドリンクはアルコール30グラム弱)、女性は1日に1ドリンク以下に」と呼びかけている。