東福岡の最終ラインを統率する阿部。福岡予選を無失点制覇する原動力となった。写真:吉田太郎

写真拡大 (全3枚)

 恒例となっている福岡県予選優勝後の「勝ちロコ」。東福岡の岡山入団内定CB、阿部海大は一人前方に飛び出すと、ランニングマンのステップを“華麗に”踏んでスタンドを沸かせていた。骨太で、凄みがあり、負けん気強いU-18代表DFは、何よりもチームの勝利を第一に求める姿勢の持ち主。福岡県予選5連覇達成の喜びを仲間たちと共有していた。
 
 注目DFが再び選手権に挑む。前回大会で優秀選手に選出された阿部はその後、初のU-18代表入り。さらに日本高校選抜に選ばれて出場したデュッセルドルフ国際ユース大会(ドイツ)では優勝したザルツブルク(オーストリア)やクルゼイロ(ブラジル)のアタッカー陣をねじ伏せるように封じ込み、チームは5位ながらも大会のベストDF賞を獲得した。
 
 いまや実績も含めて高体連で最注目DFのひとりに。当初はその評価に慣れず、変に意識して集中しきれない部分もあったというが、現在は「自分がやるべきことを全うするということでやってきて、プレー自体も安定してきている」と実感している。福岡県予選決勝でも得意の空中戦で筑陽学園との差を生み出し、球際では相手の懐に深く入ってボールを奪取。相手の速攻に対応する形で幅広いカバーリングも発揮して無失点優勝に貢献した。
 
「守備の部分で前半は、自分でも、チームでもいいなと」感じたという決勝戦の守備。だが、後半半ばからは守備、攻撃の両面が噛み合わず、押し込まれた。「自分らでボールを持てなかったですし、セカンドボールの反応だったり、ちょっとしたポジションの修正は、(2点差を追う)相手にどんどん来られている中で自分たちはどんどん遅くなって後手を踏んでしまった」と立て直せなかったことを反省。森重潤也監督の「彼ならばもっとやれるんじゃないかな」という評価に対し、阿部も「まだまだやっていかないと、選手権やプロでついていけない」と気を引き締めていた。
 

 阿部がU-18代表に選出されていたことによって福岡県予選は20日の組み合わせ抽選会後の決勝戦(11月23日)開催に。個人としてはU-19アジア選手権予選(11月4日〜8日)で公式戦の緊迫した戦いを経験してくるはずだった。だが、開催地・モンゴルの零下14度の日もあるような寒さの中でコンディションを崩し、初戦当日に39.3度の発熱。出場時間は、予選3試合でわずか4分間に留まった。
 
「行く前から寒いことは分かっていたので予防はできたと思うんですけれども、自分の自己管理不足で試合に出ることができなかったのは悔しいです」
 
 その経験は本人の自覚を高め、一から代表チームの信頼を勝ち取りたいという意欲に繋がっている。「(日常から)世界のスタンダードに合わせてやっていかないと、代表に戻った時に自分がやれない」とトレーニング強度を向上。また「考え方が好きです」という元日本代表CBの岩政大樹氏の著書や記事を読んで、守備の方法論などを意欲的に学んでいるというDFは自身のため、チームのために選手権で「貪欲に狙って」日本一を勝ち取る。
 
取材・文●吉田太郎