佐藤駿、東日本ジュニア選手権でのショートプログラムの演技。表情が大人びてきた

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全日本ジュニアの展望、後編ではジュニア男子の東日本勢を取り上げる。こちらも最近は西日本勢の強い時代が続いていたが、今季は変動が見られる。誰が次世代のエースの座を掴み取ってもおかしくない。

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■ トリプルアクセルが急速に安定!佐藤駿

東北・北海道ブロックで初めてトリプルアクセルを成功させた佐藤駿。その折には「ショート、フリーで3本のトリプルアクセルを決めることが今季の目標です」と語っていた。それからわずか1か月、東日本選手権にて、早々とその目標を達成してしまったのだ。驚くばかりの成長振りだ。

「公式練習から調子が良かったんです。ウォームアップから試合への運び方がうまく行きました」

今年の5月、6月ぐらいからトリプルアクセルが安定し始めたとのことだ。以前取材した時には「トリプルアクセルにそれほど時間を割けない」と言っていたのだが、「今は毎日、絶対に1本は降りるようにしている」とのことだ。毎日、当たり前に跳べるジャンプになりつつあるようで、頼もしい限りだ。

今季の目標は、全日本ジュニアでの表彰台、そして全中での優勝だという。まだ4回転ジャンプは練習していないそうだが、「全日本ジュニアが終わったら練習したい」と力強く宣言してくれた。ジュニア初年度の選手だが、全日本ジュニアでもかなりの活躍を見せてくれそうだ。

■ 父譲りの才能が開花!鍵山優真

2度のオリンピック出場を誇る、鍵山正和コーチの息子として以前から知られた選手ではあったが、2シーズン前まではスピンが上手な選手、との印象が強く、ジャンプはあまり得意な選手ではなかった。それが昨シーズンから急にジャンプが跳べるようになったのだ。この点について鍵山コーチに伺ったことがあるのだが、「ようやく真面目に練習するようになりました」との答えだった。今回、この点を鍵山優真本人に聞いてみたところ、

「ジャンプ練習は好きじゃなかったんです。スピンの練習にばかり時間を使っていました」

との衝撃の答え。「ジャンプ練習で転ぶのが嫌だった」という、フィギュアスケート選手としてはなかなか珍しいコメントだ。それが何故変わったのか。同い年のライバルが凄い点数を出すのを見て、自分も負けていられない、という気持ちになって、ジャンプ練習も真面目にやるようになったのだそうだ。以前は軽井沢が本拠地だったのだが、中学1年生の春に神奈川に移籍した。そこで強い選手と多数出会い、負けていられない、という気持ちになったのだそうだ。神奈川の選手の中でも特に、三浦佳生を意識しているという。

「仲は良いんですけど、練習の時は“バチバチ”なんで」とのこと。お互い、ライバル心を持って練習しているようだ。今季の三浦佳生の躍進には、鍵山優真の存在も影響しているのだろう。

東日本選手権では、ショート、フリー共に自己ベストを更新する素晴らしい結果だった。一躍、全日本ジュニアでも表彰台争いの一角を占める立場となった。「全日本ジュニアでは、大人っぽい、格好いい火の鳥を演じたい」と抱負を語ってくれた。

ところで鍵山優真は昨年、新聞記事で取り上げられた時、「羽生結弦を超えたい」との発言が一部で話題となった。その時、父、鍵山正和のファンから「まずはお父さんを超えて下さい」とのツッコミがあったのだが、ここで選手としての父の存在はどういうものなのか、聞いてみた。

「日本で初めて4回転を跳んだ選手として、素晴らしいと思います。超えるのは難しいと思います。スケーティングも上手でした」

と、父の現役時代のことも良く知っていて、とても敬意を抱いているようだ。

「リンクでは先生と生徒という関係で、家に帰ったら親子に戻ります。切り替えは上手にできていると思います」

来季にはトリプルアクセルなどの大技を入れることも視野に入れているようだ。元よりスケーティング、スピンの上手な選手であり、ジャンプも跳べるようになったことで否が応でも期待が高まる。将来が楽しみな選手がまた現れた。

■ 地元開催の全日本出場が目標。國方勇樹

東京ローカルでは知られている選手だが、全国的な知名度はほぼないだろう。

「今まであまりショート、フリー、いい演技が揃うことがなかったんです」

と自身が語るように、これまでさほど脚光を浴びる機会がなかったのだが、東日本選手権では表彰台に乗ることができた。今季は全日本ジュニアで6位以内に入って、地元の東京で開催される全日本選手権に出たい、という明確な目標があり、それがモチベーションになっているとのこと。

「ルッツ+トウは全日本ジュニアまでに完成させたい。トリプルアクセルは来季には入れたいです」

と意欲的な目標を聞かせてくれた。とても真面目な選手で、スケートにもそれが表れている。

ところで國方選手は、幼稚園の頃には体操をやっていたのだそうだ。それが何故フィギュアスケートに転向したのかというと、

「体操のコーチがスケートのコーチの奥様だったんです」

という意外な縁でフィギュアスケートに転向することになったのだという。先週の都民体育大会ではノーミスの演技を披露。東日本選手権よりもスコアは低かったものの、本人も満足できる、いい調整ができているようだ。飛躍のチャンスを掴み取ってほしい。

【東海ウォーカー】(東海ウォーカー・中村康一(Image Works))