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●腸内細菌の多様性を意識する

アンチエイジング医療を確立するために活動しているNPO法人アンチエイジングネットワークはこのほど、「アンチエイジングセミナー2017『カラダの中からアンチエイジング』」と題したセミナーを東京都内にて開催した。当日は女性ホルモンや腸内環境の専門家らを招いた講演が行われたので、その内容をお伝えする。

○腸内環境を整えて美しく健康に

最初に登壇した医療法人社団 順幸会 小林メディカルクリニック東京の理事長で院長の小林暁子氏は「腸内環境を整えることがアンチエイジングになる」との観点から講演した。

小林氏は便秘外来、内科、皮膚科、女性専門外来など全身の不調に対応するクリニックを開業。中でも便秘外来は、これまでに1万人以上もの患者の治療に携わっており、「近年になって、腸についてわかってきた部分が多くなってきました。多くの人がご自身の腸に自信を持っていないのが現状。腸内環境がどのように体に影響するのかを知っていただきたい」と切り出した。

腸内環境が乱れている「腸内環境不美人」になってしまうと、体のさまざまな面に悪影響が出てくる。具体的には「便秘」「太りやすくなる」「気分が落ち込みやすくなる」「肌荒れ」「冷え性」「肩こり」などがあげられる。小林氏は「食事の欧米化」「女性ホルモンバランスの影響」「偏ったダイエット」「自律神経のバランス」など、複数の要因が絡み合い腸内環境不美人に陥ってしまうと話す。

ただ、「脳と腸と自律神経は密接な関わりがある」とし、とりわけ自律神経を整えることが腸内環境にとって重要だと指摘。自律神経を整えるためには、朝食をしっかり摂(と)るなどして時計遺伝子を乱さない生活スタイルを維持することと、腸によい栄養を与えることが重要だと語った。

そのためのキーワードとなるのが「ダイバーシティ(多様性)」。とりわけ腸内細菌の多様性を保つことが大切だが、1つの食材にこだわったダイエットやメディアの先導による偏った情報により、それが妨げられてしまっているのが現状だという。

○食物繊維と発酵食品がカギ

では、具体的にどのようにして腸内細菌を多様にすればよいのだろうか。そのカギとなるのが、プレバイオティクスとプロバイオティクス。プレバイオティクスの役目は腸内細菌にエサを与えることで、食物繊維、特に水溶性の食物繊維を摂(と)ったり、オリゴ糖やラフィノースなどを摂取するとよい。プロバイオティクスは細菌を腸内に供給することを意味しており、ヨーグルトや漬物、納豆などの発酵食品を食べるとよい。ただし、どれか一つの食材に偏ってしまうと多様性は得られない。

「『あれがいい』『これがいい』といろいろな情報があるが、自分の体によいのかどうか、ちゃんと見極めることが大切。腸は一つの『社会』で、その環境もさまざまなので、誰かにとってはよいものでも、別の人によっては合わない場合もあります。(特定のものに)偏らずにいろいろと摂取することがいい環境を作るコツです」と、健やかで美しい腸づくりのためのアドバイスを送った。

●アンチエイジングに女性ホルモンが重要である理由

続いて登壇したのは、ウィメンズヘルスクリニック東京でホルモンバランスに着目した女性医療に携わる院長の浜中聡子氏。上手に年齢を重ねるためには、ホルモンを意識することが大切だと話した。

女性ホルモンにはエストロゲン(卵胞ホルモン)とプロゲステロン(黄体ホルモン)の2種類があり、美や健康に深い関わりを持っている。分泌量は生涯でわずかティースプーン1杯分ほどだが、女性らしさや身体のリズムをつくるなど、重要な役割を担っている。

エストロゲンは主に「女性らしさ」と結びついており、「豊かな髪」「肌つやの維持」「乳腺の発達」「女性らしい体型の維持」などに関わっている。一方のプロゲステロンは、主に母親となるための体づくりを担い、「子宮内膜や子宮内筋肉の調整」「抗うつ効果」「血栓予防」などの働きがある。

これらの女性ホルモンは20代後半をピークに下降し始め、40代後半で急激に分泌が少なくなる。この時期は更年期と呼ばれ、女性の体調が大きく変化する時期となっている。「性ホルモン」としてのイメージが先行しがちだが、女性の体を守るのも女性ホルモンの大切な役目なのだ。

○女性ホルモン不足に伴う症状

女性ホルモンが不足すると、イライラや不眠などの精神神経症状、発汗などの血管運動神経症状、肩こりや腰痛などの運動器系症状のほか、疲労感、めまい、胃もたれなどの不調につながる。それだけでなく、記憶力の低下や骨粗しょう症、メタボリックシンドローム、心血管系の病気などさまざまな悪影響が体に出てくるという。

更年期症状の体感は人それぞれではあるが、強くその影響が出るケースには性格傾向も関わっている印象があると浜中氏は解説する。

「人生のライフイベントの多さの影響ももちろんありますが、完璧主義で神経質でその反面、融通が利かない人は(ホルモンの)影響を受けやすいです。また、体の不調に対してマイナス思考になりがちな人も、症状を辛く感じやすい傾向があると思います」

趣味などのストレスのはけ口を作り、少しずつ意識改革しておくことが大切とのこと。

○ホルモンマネジメントで生活改善

女性ホルモンを元気にするためには、生活習慣の改善が重要な要素となる。その一つとしてあげられるのが、運動だ。ウォーキングやジョギングなどの有酸素運動と腹筋やスクワットなどの無酸素運動をバランスよく行い、定期的な運動習慣を身につけるとよい。

とはいえ、そのための時間を確保するのも大変なのが、多忙な現代人だ。限られた時間でも体を動かせるよう、「朝起きたらストレッチ」「歯磨きしながらスクワット」「エスカレーターではなく階段を使う」など、自分なりに工夫して生活の中に運動習慣を取り入れられるようにしたい。

運動に続き、女性ホルモンのために改善したい要素として浜中氏が提唱したのが食事だ。たんぱく質、ミネラル、ビタミン、脂質、炭水化物(糖質)の5大栄養素をバランスよくしっかりと食べることが肝要だが、現代の食生活においては「高たんぱく・低脂肪食」を意識するとバランスがとりやすいという。

また、体を冷やさないよう、冷たい食べ物や飲み物の摂りすぎにも注意を払わねばならない。

「女性の中には、体温が35度台という人もよく聞かれます。体が冷えると血流が低下し、ホルモンの分泌にも影響があります。体温が36度以上になるように、温かくすることを意識しましょう」

お風呂につかったり、筋力をつけて代謝を上げたりして、体温を高く保つことも意識していくとよいだろう。

そして、睡眠もホルモンと重要な関わりがある。成長ホルモンは、入眠直後の90〜120分が最も分泌されるが、睡眠の質が悪くなるとホルモンの分泌も悪くなり体に不調をきたしてしまう。質の高い睡眠を得ることも、ホルモンマネジメントでは重要だ。

「ホルモンマネジメントのためには『食事』『運動』『睡眠』といろいろな要素がありますが、女性にとっては『いつでも穏やかに、前向きに』『自分のための時間を大切にする』という精神面も、重要な部分です。自分を客観視できるようになることが大切な一歩になると思います」と締めくくった。

●オードリー・ヘップバーンさんに学ぶ「自分らしく生きるヒント」

○影響を受けたオードリーさんと母の言葉

名女優として知られる故オードリー・ヘップバーンさんやソフィア・ローレンさんなど、多くの著名人のコーディネーターとして活躍をしてきた加藤タキさんは、「自分らしく、凛として輝いて生き切る」と題して講演。自分らしくすてきに生きるためのヒントを語ってくれたが、やはりオードリーさんから受けた影響は非常に大きかったと明かす。

「私はアクセサリーをたくさんつけるのが好きだけど、オードリーさんはとてもシンプル。シンプルが好きな人の中には、私に『外したほうがすてき』なんて言ってきますが、『だってあなたはそれが好きなんでしょう? 』と、オードリーさんは決して自分の価値観を人に押し付けなかった。」

「人と同じであるはずがない」という考えのもと、お互いを尊重し価値観を否定しない。それが、自分自身を生き生きとさせるという。

加藤さんは、この寛容の心を母からも教わった。加藤さんは母親が48歳、父親が53歳のときにこの世に生を享(う)けた。当時の平均寿命を考えると、両親は子供だった加藤さんをいち早く自立させる必要があったという。

「(両親は)自分の頭で考え、自分で踏ん張って立ち、自分の心で感じることができる人間に一日も早く育てようとしてくれた」と加藤さんは振り返る。「人と比べても何もならない。あなたがどう在りたいのか」と常々、言われていたとのこと。

また、挫折も大きなキーワードとして語られた。オードリーさんに好みの男性を聞いたとき、「Strong Man」と即答された。マッチョな男性をイメージしたそうだが、「タキ、そうじゃなくて挫折を味わったことのある男性よ。心の痛みがわかる強い人」と話していたという。

この考えは加藤さんの母親にも共通しており、加藤さんが子どもを産んだその日に「この子も早いうちに挫折を味わうといいわね」と話したそうだ。「挫折を怖がることはない。それを経てこの子の人格が作られていくんでしょ」と、何事にも好奇心旺盛に挑戦していくことが人間として大事だと、語っていたという。

加藤さんは今でも好奇心旺盛に何事にも取り組み、64歳で始めた社交ダンスは20代の先生とともに発表会にも出るほど。「背筋を伸ばして、失敗を恐れず、ポジティブシンキングで。そして、鏡を見ること。鏡はうそをつきません(笑)。シミとかシワとかじゃなく、あなたの心を映すもの。昨日までの酸いも甘いも明日に活かすように、いろんな人をロールモデルにして生きています」と、笑顔で語った。

○体の「内」と「外」、どちらの美も重要

アンチエイジングと聞くと、まずはシミやシワなど見た目のことを意識してしまうのではないだろうか。もちろん、外見を美しくすることもエイジングケアにはなるが、体の中から美しく健康になることもそれに負けず劣らず大切だ。体の「内」が良い状態になれば、自然と「外」にも好影響を与え、体全体のアンチエイジングへとつながる。今回の話をヒントに、今から始められるエイジングケアを心がけてみてはいかがだろうか。