国内自己ワーストとなる、5試合連続予選落ちを喫した石川。下部ツアーでは、無条件でPGAツアーの出場権が獲得できる、賞金獲得額25位以内を目指す。

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今シーズンの米ツアーでの戦いを終え、秋の「日本オープン」から日本ツアーに復帰した石川遼だが、テレビでその姿を見る機会はほとんどない。5試合連続で予選落ち(11月14日時点)を喫し、中継がある決勝ラウンドに進むことができないからだ。

石川が本格的に米ツアーに参戦したのは2013年のこと。21歳から世界最高峰のPGAツアーに出場し続けてきたことは、“それなりの成果”ではある。しかし、同年代の松山英樹が、14年に米ツアーで優勝したことで状況は一変した。

意識はしなくても、気持ちと体が前のめりになっていたのだろう。以前から悩まされていた腰痛が悪化し、去年は長期休養を余儀なくされた。今季は、ケガをした翌シーズンに一定数の試合出場を認められる「公傷制度」が適用され米ツアーに参戦したものの、結果を残せずに来季の出場権を失った。

そんな体の問題とは別に、不振の原因はここ数年で取り組んでいる「スイング改造にある」という指摘が多い。石川自身は「300ヤードを真っすぐに飛ばすためのスイングづくり。今後、米ツアーを戦っていく上で必要なこと」と公言している。

プロゴルファーがスイング改造をする場合、シーズンオフに集中して行なうことが多いが、米ツアーはその期間が短い。加えて、PGAツアー復帰を目指す石川は、来年の1月から下部ツアーに参戦する予定のため、試合の中でスイングを変えていかなければ間に合わないのだ。

米ツアー参戦前から石川を見ている先輩プロは、その変化についてこう語る。

「以前、『PGAツアーでは、5番アイアンで1ピン以内につける精度がないと通用しない』という石川のコメントを聞いて、『まずいな』と思いました。それほどの完璧さを求めるのは、鎧(よろい)を着てスイングをしているようなもの。彼が日本で勝っていたときは、失敗を恐れず、弾道をイメージしながらナチュラルに打てていました。

感覚が優れているのに、体やクラブの動きを考えすぎてナチュラルに振れなくなる。今はそういう状態だと思うんです。アメリカでレベルの差を感じて、そこから這(は)い上がろうとしている段階だとは思いますが、完璧を求めすぎないでほしいですね」

改造前のスイングを知るゴルフ雑誌編集者はこうも話す。「今や世界のトップ選手となった『ローリー・マキロイ』と『リッキー・ファウラー』ですが、一時は『リョウ・イシカワ』も含めて“3R”と呼ばれていたんです。当時、この3人の印象を聞かれたタイガー・ウッズは『僕はリョウのプレーを見るのが好きだ』と、石川にだけコメントを残しました。

感性豊かなスイング、超攻撃的なゴルフはタイガーさえも魅了していたんです。スイングに安定を求めるのは悪くありませんが、それを試合中にやることで結果が出ず、悩みを深めてしまう恐れもある。しかしそこを乗り越え、タイガーが評価した石川のポテンシャルが開花することを期待しています」

再び米ツアーでプレーするために。苦しんだ末に生まれ変わった石川を見られる日が待ち遠しい。

(取材・文/古屋雅章 写真/アフロ)