浦和FW武藤を突き動かす“先輩”の存在 ACL決勝で抱く野心「期待に応えたい」

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「背番号9」のFW永井からエースナンバーを受け継ぎ、ゴールへの意欲を見せる

 J1浦和レッズのFW武藤雄樹は、エースナンバーを背負う男として10年ぶりのアジア王者を目指す一戦でのゴールに野心を見せた。

 非公開でのトレーニングを終えた23日、2007年の優勝当時に決定的なゴールを決めた“先輩”の存在を胸に思いを語っている。

 浦和が前回に優勝を果たした時も、中東遠征した初戦のアウェーゲームを1-1の引き分けで乗り切っていた。そしてホームでの第2戦、相手の戦意を挫くような強烈な先制ゴールを決めたのが、当時の「背番号9」をつけたFW永井雄一郎だった。昨季からそのエースナンバーを受け継いだ武藤は、アル・ヒラル(サウジアラビア)を迎え撃つ25日の第2戦での勝利に向けて強い思いを語っている。

「0-0で終えようとは思っていないですよ。ホームですから積極的にゲームを運んで、勝利を目指すことで良い結果がついてくると信じています。常にゴールで勝利に貢献したい思いは強いです。なかなか今季は結果が出ずに苦しいですけど、ここでチームのために仕事をしたい。サポーターの皆さんも『9番』に期待してくれていると思う。ここでその期待に応えたい」

 武藤はこう語り、勝利を導くゴールへの強い意欲を見せた。初戦は押し込まれる展開が長かったが「相手の背後のスペースはカウンターで狙える。プレスを一つ、二つとはがせればチャンスは大きい」と、攻略にも手応えを得ている。

「9番らしくない9番」が“全開宣言”

 9番初年度となった昨季、武藤には大きな悔いが残った。リーグの年間タイトルを懸けた鹿島アントラーズとのチャンピオンシップ第2戦、1点を取れば浦和が優勝という後半アディショナルタイムにビッグチャンスが訪れた。DF槙野智章がゴール前に頭で落としたボールに飛び込んだ武藤はゴールに押し込むべくシュートを放ったが、無情にもボールはクロスバーを越えた。

 試合後の武藤は「結果的に最後の試合で勝たせるプレーヤーではなかったというのが、すごく残念だし、『9番』の仕事としては物足りない。最後の部分で成長できていないと思う」と、悔し涙をにじませながら取材に応じていた。それから約1年が経ち、大会こそ違うもののビッグゲームでチームを勝利に導くチャンスが訪れた。

 武藤は常に献身的にボールに絡みチーム全体に貢献する、ある意味では「9番らしくない9番」かもしれない。それでも、ここ一番で勝負を決め、チームを勝利に導く存在であることは自身に課してきた課題の一つだ。

「ホームで全開のところを見せたい」と話す献身的なストライカーは、チームの勝利を最優先にしつつも、ヒーローの座を虎視眈々と狙っている。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images