「もちろん勝つためにやるんですけど、今年は3年後に向けていろいろと挑戦していこうというイメージでした。負けたらすごく悔しいんですけど、でも、例えば今年の1月に全日本で負けたこととかが、すごく自分にとっていいきっかけになっている。でも、この敗戦が2020年だったら『あー、どうしよう』となっていると思う。なんか勉強になりました(笑)」


2大会連続で準決勝進出。ドイツでファンにサインをする石川佳純

 11月13日から19日まで、ストックホルムで行なわれた卓球ワールドツアーレギュラー(国際卓球連盟が通年で主催するツアー全23試合のうち、「プラチナ」に次ぐ2番目のカテゴリー)スウェーデンオープンで、石川佳純はシングルスで準決勝に進出した。中国人選手2人に勝利した後、準決勝でリオ五輪、世界選手権(ドイツ)の金メダリスト、丁寧(中国)と対戦。ストレートで敗れたものの、9-11、9-11、8-11、6-11と、スコア的には善戦した。

 その1週間前に行なわれたワールドツアープラチナ最終戦ドイツオープンでも、石川は準決勝に進出している。準決勝で朱雨玲(中国)に敗れたが、「1回戦で勝つことが目標でした。今年は1回戦で中国人選手と当たって負けちゃうことが多かったので、まず1回戦を決勝戦だと思って、あとは1戦1戦って」と、この大会を振り返った。準々決勝では同じく中国の強敵、武楊に勝利しており「中国人選手にも勝ったし、まあ70点くらいかな」と、笑顔を見せる。

 そんな石川に、自らの2017年を振り返ってもらった。

「今年は変化の多い年でした。世界選手権のミックスダブルスで優勝することを目標に頑張っていて(結果は優勝)。シングルスでも、もうちょっと上に行きたかったですけど(準々決勝敗退)、いいことも悪いこともあったんですけど、いろいろなことに挑戦した1年でした」

 衝撃的だったのは1月、3連覇中の全日本選手権で平野美宇に敗れたことだ。

「それまで2、3年、日本人選手に負けてなかったので、ちょっと自分自身、油断じゃないですけど、気が緩んでいたとこもあるし。それとボールが変わったのが一番大きなところで、それに新しく対応しなきゃいけないというのがありました」 

 ボールが変わったことで技術的な変化を余儀なくされた。新しいボールはそれまでのものに比べて、回転がかかりづらくなる一方、強打が可能になったのだという。

「それまでドライブが10かかっていたのが、6とか7しかかからないんです。スピードが回転に勝つ。だから若い選手や格下の選手でも、それまでは(力を)調整しないと入らなかったのが、パワーやスピードで押し込んだら入るようになったので、勝てるようになりました。その差がすごく大きかった。もう打ったほうが勝ちみたいなところがあって、逆にうまい人からしたら、小技が効かない。でも、見てるほうは楽しいですよね、ラリーが続くし」

 石川は自らの技術や用具の見直しを行ない、結果を出してきた。ツアーで世界中を飛び回る日々が続き、休む暇もないなかで、気がつけば周囲は10代の選手ばかりになった。まだ24歳とはいえ、日本の選手の中ではベテランだ。

「最初は若い選手とすごい試合になって、1回でも負けると、『うわー、若いコが勝った!』みたいになるじゃないですか。でも、それは自分が若いときもそうだった。今は試合でもふだんの生活でも、年上も年下も関係なくやっていますね」

 一方で、五輪での2大会連続メダル獲得を始め、多くの経験を重ねていることの強みも感じている。

「怖いもの知らずというのは若い選手の特権ですが、逆にいろいろ知って学んだことを24歳で持っているのも特権だと思うので、いいバランスかなって。昔なかった経験だったり、技術だったりが今はあるので、前よりも違う自信がついていると思います」

 東京五輪までの道のりは、長いようで短い。

「自分自身は東京が集大成になると思っているので、3年、頑張らなきゃいけないんです。どうなるかはわからないですけど、ロンドンからのリオよりも、リオからの東京のほうが、自分自身のモチベーションは高いです。自分自身、ベストをつくせるように、今から準備したい、できることはしたいと思っています」

 来年は中国でのプレーを希望したが、それは叶わなかった。日本をベースに戦うしかないため、男子の合宿に参加するなどしてレベルアップを図っているという。貴重な敗戦を経験し、技術変更、環境作りに着手できた2017年。東京五輪まで残る2年半、まだまだ石川佳純は強くなる。

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