専門誌では読めない雑学コラム
木村和久の「お気楽ゴルフ」連載●第131回

「ゴルフ人口が減った」と言われながらも、プロの試合は女子やシニアなどが増加傾向にあり、週末のゴルフ番組もBSやCS、ローカルも含めて、トーナメント中継をはじめ、プロや著名人が登場する対決ものにレッスンものなど、一定数の番組が盛んに放送されています。

 プロ野球の地上波放送が減っている昨今、見事ゴルフ番組は、視聴者の多様化に照準を合わせて、ニッチな商売としてしぶとく生き残っているのです。

 そこで今回は、ゴルフの番組において、いろいろな見方があるんだな、さまざまなファンがいるんだな、というお話をしていきたいと思います。

 どのようなタイプの視聴者、ファンがいるかというと、以下のような感じです。

(1)圧倒的なパフォーマンスに感動するタイプ
 基本、スポーツ観戦の魅力はこれです。アマチュアじゃあ考えられない”神がかった”プレーを見せてくれるから、我々は感動し、また人間の限りなき可能性を称賛するのです。

 例えば、スキージャンプの高梨沙羅選手。あんな小さな可愛い女の子が120mも飛ぶから、多くの人々が感嘆するのです。フィギュアスケートの羽生結弦選手にしても同様です。あんなイケメンが華麗な演技を披露し、何回転したか肉眼では確認できないようなジャンプを平気でこなすから、我々は恐れおののくのです。

 日本のゴルフ界で言えば、現在この領域に達しているのは、松山英樹選手のみでしょう。彼の、真上からドスンとベタピンでとらえるアイアンショットとか、逆目で寄せることさえ難しそうな位置からチップインを決めてしまうアプローチとか、あり得ないプレーの連続に、我々はただただひれ伏すのみです。

 こうしたプレーはアメリカのPGAツアーではよく見られます。ですから、このタイプのファンはNHKのBSやゴルフ専門チャンネルに集まるのかな、と。正直、こんなすごいプレーばかり見ていると、国内ツアーはちょっと生ぬるく感じてしまいますね……。

(2)プレーと選手の美しさを堪能し、愛でる喜びを味わうタイプ
 これは、女子のツアーなどに見られる現象です。古くはローラ・ボー選手ですか。今なら、イ・ボミ選手やアン・シネ選手などですかね。

 可愛い顔をして、オジさんのドライバーをはるかにしのぐ飛距離を見せられると、もうオヤジたちはメロメロ。M男になって、応援しまくりですよ。

 アン・シネ選手の高い身長から振り下ろされるドライバーは、まさに鞭(ムチ)みたいです。それを見て、ゾクゾクしているオヤジが意外といるんじゃないですか。

 以前、ビーチバレーで活躍した浅尾美和選手みたいに、ルックスのよさでビーチバレー全体の知名度を上げることも大事だと思います。

 その点、日本の女子ツアーは美女もいれば、愛らしい子もいるし、小技や飛距離自慢もいるし、と役者がそろっています。

「判官びいき」というのかどうか、か弱く、美しい子が優勝争いに加わってくると、つい応援したくなります。そういうことがたまにあって、通常は凄腕のゴルファーが勝っていく――これで、女子ツアーは人気のバランスが取れているんですね。

 もちろん、女性ファンも結構います。そういう人は、かつて松田聖子さんを見ていたように、自己実現をこれほどまで見事に達成しているプロの姿を見て、自分を奮い立たせている。そんな見方もできます。

(3)昔を懐かしみ応援するタイプ
 このタイプは、シニアツアーのファンですね。最近のシニアツアー人気は、男子のレギュラーツアーを凌駕するほどです。優勝賞金1500万円、観客動員2万人超えなど、スポンサーも増えて、会場にはたくさんのギャラリーが訪れています。

 バブル後のしょんぼりしたシニアツアーとは雲泥の差。信じられないくらいの活況です。

 なんで、こんなに人気があるのか?

 それは、オールドファンが支えてくれているからです。若い頃、同じ時代に輝いていたトッププロの活躍を見て、自らもゴルフや仕事に励んでいた方々ですね。自分はだいぶ老いてしまったけど、当時憧れていたプロはいまだ活力を維持し、シニア入りして新たな世界でがんばっている。そういう姿を見て、自分たちもまだまだがんばっていこうと思うわけです。

 また、飛ばなくなった選手の、飛ばないなりのゴルフを見て、人生の処世術を学ぶ。まるで生きた辞書みたいな、シニア選手のしぶとい生き様。シニア世代には、いいお手本となるのでしょう。

(4)本来の王道を好むタイプ
 男子のレギュラーツアーを楽しむファンですね。昔は最も多かったタイプですが、今や激減の一途をたどっています。

 ファンや視聴者が世界にも目を向けるようになった今、やはり小粒な陣容が不人気の原因だと思います。日本ツアーの上位陣が海外ツアーの試合に挑んでも、予選落ちになることが多いですしね。

 まあ、それだけ世界の壁が厚すぎるとも言えます。この壁を打破するには、根本的な部分から解決しなければいけない問題だと思います。

 中学生の頃からゴルフ合宿生活をして、365日ゴルフ漬けの毎日を送る。さらに、外国から一流のコーチを招いて、世界レベルの技術を叩き込み、世界で戦える選手を育て上げていく、といった感じでしょうか。

 立派な施設を持つ東北福祉大や日大三島高など、全寮制のゴルフ部を増やして、JGAナショナルチームのヘッドコーチを務めるガース・ジョーンズ氏(オーストラリア)のような有能なコーチもどんどん招聘する。男子ツアーのレベル向上には、これしかありません。

 そういう意味では、最近のヒットは日本オープンで優勝争いを演じた金谷拓実選手(東北福祉大1年)でしょうか。大いに期待ですね。

(5)等身大のゴルフに共感し、楽しむタイプ
 こちらは、週末や深夜にBSとかチャンネルのはしっこでオンエアされているゴルフ番組が好きな方々ですね。多くはプロとタレントとのマッチや、トップアマとの対決といったものですが、案外根強い人気を誇っています。

 要するに、プロアマを楽しむ感じでしょうか。ハンデが同じくらいのタレントさんのプレーを見て、「あいつ、オレと同じミスしてやがんの」と妙に安心したり、「こいつ、めちゃくちゃうまいな」とタレントさんのプレーに感心したりして、等身大の自分のゴルフと比べて楽しんでいるわけですね。

 うまいタレントさんといえば、やっぱり石田純一さんでしょうか。そういえば先日、沖縄で一緒にラウンドさせてもらいました。

 実はご一緒するのは2度目ですが、相変わらず上手で、とても勉強になりました。63歳ですが、いまだ250ヤードぐらい飛ばしていましたよ。以前は、名門コースのハンデ「8」の腕前でしたから、本物のシングルゴルファーです。

 一方、最近芸能界ゴルフでメキメキと頭角を現している武井壮さんですが、深夜のゴルフ番組『武井壮のゴルフコロッセオ』(BS日テレ、毎週金曜23時〜)では、時折見せるスーパーショットに唖然とさせられます。

 関係者に聞くと、実際”ここぞ”という場面での驚異的なショットには目を見張るものがあるそうです。でも逆に、簡単な場面でのミスショットが目立ち、同伴プレーヤーに結構助けてもらっているとのこと。お茶目なところもあっての、タレントゴルファーなんですよね。


みなさんはどんなゴルフ番組を楽しんでいますか?

 とまあ、ゴルフ番組を楽しむファンのタイプについて話してきましたが、ゴルフファンは他のスポーツと違って、自らもプレーヤーというのが圧倒的に多いです。つまり、ゴルフを見る人と、やる人の数はほぼ一緒なのです。

 だから、ゴルフ観戦やゴルフ番組を見ていると、あれやこれや口を挟んでくる人が多いんです。そういう目の肥えた”うるさい人”に支持されてのゴルフ番組ですから、細分化されて、いろいろなニーズに応えようとしているんですね。

 昔みたいに、ジャンボ尾崎選手がバシーンと打って、タイガー・ウッズがミラクルショットを連発する、誰もがその姿だけを見て楽しむ時代ではないのでしょう。

 みなさん、これからもお好みの選手や番組を選んで、多様性を認めながらゴルフを楽しんでください。

木村和久(きむら・かずひさ)
1959年6月19日生まれ。宮城県出身。株式をはじめ、恋愛や遊びなど、トレンドを読み解くコラムニストとして活躍。ゴルフ歴も長く、『週刊パーゴルフ』『月刊ゴルフダイジェスト』などの専門誌で連載を持つ。

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