交代での出場前、軽やかなジャンプを見せたイブラヒモビッチ。あまりに早い復帰で、怪我の再発を危ぶむ声もあるようだが、本人はまったく気にしていないようだ。 (C) REUTERS/AFLO

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 チャンピオンズ・リーグ(CL)グループステージ第5節で、マンチェスター・ユナイテッドはバーゼルに0-1で敗れた。

 勝点を1でも加えれば決勝トーナメント進出が決まるこのアウェーマッチで、マンチェスター・Uは前半にアントニー・マルシアルのシュート、マルコス・ロホのFKがポストやクロスバーを叩いた他、多くのチャンスを作ったものの決められなかった。
 
 後半に入ると、攻撃に力を入れたバーゼルに守備陣が攻略され、再三きわどいシュートを撃たれたものの、何とかこれをしのいで終盤を迎える。しかし終了間際の89分、右サイドから入れられたグラウンダーのクロスを、ミヒャエル・ランクに押し込まれ、土壇場で失点、今シーズンのCL初黒星を喫してしまった。
 
 試合後、モウリーニョ監督は「前半はパーフェクトだった。しかし、多くのチャンスを逸したことで、同時にフラストレーションが溜まる45分でもあった。後半は相手が戦い方を変えてきたことで、とても難しい試合になった。結果に関しては、何ともアンフェアだ」と振り返っている。
 
 グループステージ突破は先送りとなったマンチェスター・U。最終節(12月5日)ではCSKAモスクワをオールド・トラフォードに迎えるが、勝利、引き分けはもちろん、6点差以内の敗戦でも次ラウンド進出は決まる。
 
 こうして苦い思いを味わったバーゼル戦だが、ポジティブな出来事もあった。74分、マルシアルに代わり、背番号10がピッチに登場。昨年春に右膝靭帯を断裂し、長いリハビリを経て先週末のプレミアリーグ、ニューカッスル戦で復帰したばかりのズラタン・イブラヒモビッチが大舞台に帰ってきたのだ。
 
 やや重量が増した感があるスウェーデン人FWの投入は、CFのルカクがサイドに回されて怖さが半減し、守備面でも不具合を起こすなど、悪い部分が露わになる結果ともなったが、それは今後、時間とともに改善されていくだろう。何より、モウリーニョ監督にとっては攻撃のオプションが増えたことは大きいはずだ。
 
 そんなイブラヒモビッチについて『FIFA.com』は、バーゼル戦でのプレーにより、彼が7つのクラブでこの大会に出場した最初の選手となったと伝えている。
 
 初めてイブラヒモビッチが欧州最高峰のカップ戦に出場したのは、アヤックス在籍時の2001-02シーズンで、このクラブで19試合に出場した後、ユベントス(19試合)、インテル(22試合)、バルセロナ(10試合)、ミラン(16試合)、パリ・サンジェルマン(7試合)と、行く先々のクラブで欧州制覇を目指して戦ってきた。
 
 ちなみに彼は、6つのクラブにおいてCLでゴールを挙げた唯一(最多)の選手でもある。その内訳は、アヤックスで7点、ユーベで3点、インテルで6点、バルサで4点、ミランで9点、パリSGで20点となっている。こちらも「7」に伸ばせる可能性は十分にある。
 
 通算では、CL本選での総得点数は48で、これはアンドリー・シェフチェンコと並んで歴代8位の記録。また出場数はバーゼル戦で120試合に伸び、リオネル・メッシ、ロベルト・カルロスと並んで9位につけている。これらの数字がこの先、どこまで伸びるかが楽しみである。
 
 36歳にして、さらに選手として価値を高めているイブラヒモビッチ。しかし、彼はそれよりも自身初の欧州制覇を夢見ていることだろう。個人の記録を伸ばすことで、チームに勝利をもたらし、悲願を成就させられるだろうか。