中国外務省の陸慷報道官は、21日に辞任を表明したジンバブエのムガベ大統領について、「ジンバブエの独立と解放の仕事で歴史的な貢献をした」「中国との関係の発展で重要な貢献をした」と高く評価した。

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中国外交部(中国外務省)の陸慷(ルー・カン)報道官は22日の定例記者会見で、21日に辞任を表明したジンバブエのムガベ大統領について、「ジンバブエの独立と解放の仕事で歴史的な貢献をした」「中国との関係の発展で重要な貢献をした」と高く評価した。

ジンバブエは19世紀後半から英国勢力に支配された。第二次世界大戦後には植民地支配を打倒する内戦が発生。1980年には英国の調停により、総選挙による現地人系のカナーン・バナナ氏を大統領、ロバート・ムガベ氏を首相とするジンバブエ共和国が発足。ムガベ氏は87年に議院内閣制を廃止し、みずからが元首である大統領に就任した。

白人支配からの脱却では大きな功績があったムガベ大統領だが、政権獲得後には反体制派に対する大量虐殺が発生したとされる。また、白人農場主の土地を、最高裁が違法と表明したにもかかわらず強制収容したことや一族の利権を守るためにコンゴ内戦に参戦したなどで2000年ごろからジンバブエ経済は極端に悪化。ムガベ大統領は反対派弾圧を続けたなどで、国際社会の批判を浴びることになった。

中国は、早い時期からアフリカにおける「植民地状態からの解放」を支持。ムガベ氏に対しても独立闘争の時期から武器供与などで支援を行っていたとされる。ジンバブエが独立してからは、インフラ建設などで同国に対する最大の投資国になった。

2008年には、ジンバブエの大統領選挙でムガベ政権からの圧力で対立候補が出馬を断念したとされる件では国連安保理がジンバブエに対する制裁を審議したが、常任理事国である中国やロシアが「内政問題だ」と主張して拒否権を発動したため実現しなかった。

中国外交部の陸報道官は22日の定例記者会見で、「ジンバブエの安定と発展はジンバブエ人民自らの利益にかなう。該当地区と国際社会に共通する願いでもある。ジンバブエのよき友として、中国もジンバブエ各方面が国家の長く根本的な利益に着目し、法律の枠組みのなかで関連する問題について、対話により平和的で妥当な解決を維持していることを、高く称賛する」などと表明。

ムガベ氏については「ジンバブエの民族独立と解放で歴史的な貢献をした。汎アフリカ主義運動の積極的な提唱者・推進者でもあった。長期にわたり中国・ジンバブエ、そして中国・アフリカの友好に尽力した」「中国はムガベ先生が辞職を決めたことを尊重する。彼は依然として、中国人民のよき友人である」と高く評価した。

中国は西側先進諸国から人権弾圧問題などで非難されている国とも、資源確保など経済面を含む関係維持が有利と判断すれば「内政不干渉」を理由に相手国政権を支持してきた。相手国の例としてはイランやカダフィ政権下のリビアがある。

問題は、相手国で政変が発生した時だ。新政権は旧政権への「怨念」を強く持つことが多いため、旧政権を支持・支援してきた中国は対応に苦慮する場合も出てくる。2011年にリビアのカダフィ政権が転覆した直後には、中国外交部の盧沙野(ルー・シャーイエ)アフリカ局長が、「カダフィ大佐は中国の友人ではなかった」と発言したことで、中国国内からも「事実に反する露骨なうそ」として非難の声が上がった。

中国外交部の陸報道官の発言からは、ムガベ氏への評価について、国内からの批判をかわそうとの意図も感じられる。ムガベ氏は軍が発動した事実上のクーデターにより辞任を余儀なくされた。日本時間23日午前7時半までの段階で、ジンバブエ政変はムガベ氏の名誉をあまり損ねない形で進行している。米メディアのCNNは、ジンバブエ軍のチウェンガ司令官が11月上旬に訪中して中国高官と会談していたことに注目。ジンバブエ政変について中国との「打ち合わせ」が成立していた可能性があるとの見方を示した。(翻訳・編集/如月隼人)