ブラジル戦はプロと高校生くらい差がある試合だったと語るセルジオ越後氏

写真拡大

今の日本のレベル、戦い方では世界に通用しない。アジアと世界は全然違うということを、選手たちが肌で感じられたことが唯一の収穫だ。

日本代表の欧州遠征はブラジルに1−3、ベルギーに0−1と連敗で終わった。相手は共にロシアW杯で第1ポットに入る強豪国だけど、W杯のシミュレーションと考えれば、2試合終わって勝ち点0で、1試合を残してグループリーグ突破が絶望的という状況だ。

ブラジル戦は開始早々から力の差を見せつけられた。ボール回し、展開、正確さ、カウンターの質など、すべての面で圧倒された。後半になってブラジルがペースを落とし、セットプレーから1点を返したけど、まるでプロと高校生くらい差がある試合だった。

ベルギー戦は相手がパスをつないでくれたので、前線からのプレスがうまくハマった。でも、結局は個の力にやられた。攻撃面でも何回かチャンスはあったけど、狙ってつくった形というよりは、偶然チャンスになったという感じ。

実際、1点取られた時点で、もう追いつけないだろうなと思った人も多いはず。スコア以上に差があった。「善戦」「惜敗」と書くメディアもあったけど、なんの慰めにもならないね。

この2連戦でアピールできた選手はひとりもいない。特に攻撃陣は寂しかった。長澤と森岡、新戦力のふたりは大きな変化をもたらせなかったし、ほかにも同じタイプの選手はたくさんいる。原口、久保もいいときに比べれば、かなり落ちている。本田、香川、岡崎を完全に追い越したとも思わない。

大迫は前線で孤立し、浅野は簡単なミスが目立った。途中から出てきた乾が積極的な姿勢を見せたけど、流れを変えるまでには至らなかった。代表に絶対に必要な選手、苦しいときに救ってくれる選手が出てきていない。W杯本番のメンバー23人に誰を選ぶのか、ハリルホジッチ監督も頭が痛いだろう。

今から日本はどうすべきなのか。どんなサッカーをやればいいのか。思い浮かぶのは、2010年南アフリカW杯のときのサッカーだ。自分たちを弱いと認め、最終ラインを下げて守備のブロックをつくる。後ろに人数を割いて、どこまで我慢できるか。勝つサッカーではなく、負けないサッカーに徹して、あわよくばセットプレーなどから得点チャンスをうかがう。そういう現実的なサッカーしかない。

相手の守備をきれいに崩して得点を奪いたいと考えるのは当然だし、僕もそんなサッカーを見たい。でも、ブラジル戦、ベルギー戦を見れば、それが難しいということはハッキリした。そもそもアジアでもうまくいかないことが多かった。ずっと指摘され続けている課題だ。簡単に変わるとは思えない。

日本は準備、強化に力を入れた02年の日韓W杯では一定の成果を見せたけど、それ以降は同じことを繰り返してきた。世界の強豪と試合をする機会が少なすぎるんだ。もちろん、以前よりもマッチメイクが難しくなっているのは事実。でも、国内での親善試合を減らしてでも、せめて1年に一度は海外に打って出るべき。それができなければ、世界との差は縮まるどころか開くだけ。

来年3月に国内で行なわれる予定の親善試合2試合は、おそらく最後のW杯メンバー選考試合になる。ロシアW杯出場を逃したイタリア、オランダ、チリといった強豪と交渉するくらいの思い切った対策が必要だ。

(構成/渡辺達也)