登録している女性を“レンタル”できる「Woman Rental(ウーマンレンタル)」というサービスがSNS上で話題となっています。その公式ホームページによると「とにかく話を聞いてほしい」「イベント・買い物・食事に付き合ってほしい」「とにかく今すぐ電話で話したい!」などの願望を持った利用者が、希望する「Woman」に連絡して日時や場所を決定し、Womanごとに異なる単価に基づくレンタル料や交通費などを支払うシステムで、性的行為などはNG。これについて「はやりそう」「第三者だからこそ話せる悩みとかあるよね」「女性に危険が及ぶ可能性はないのかな」といった声が上がっています。

 オトナンサー編集部では、Woman Rental代表の表参道ノハゲ(イケダシトム)さんに、サービスを始めたきっかけやその魅力、利用者やWomanの実態について聞きました。

「おっさんレンタル」1期生として活動

Q.このサービスを開始した理由やきっかけについて教えてください。

イケダさん「2016年11月にサービスインしましたが、実は2015年7月から、おっさんを1時間1000円でレンタルできる『おっさんレンタル』の1期生として『表参道ノハゲ』の名で活動していました。経歴や肩書などを抜きにした時、自分にどれだけ市場価値があるのか反応を楽しみたかったのです。約1年半で延べ500人の方からレンタルされましたが、そのうち95%が女性でした。あらゆる女性と話をする中で、おっさんよりも女性に強い価値を見いだすようになりました。女性にしかできないことや女性だからこそ説得力を発揮することが多々あることや、市場の潜在ニーズが高いことを肌で感じました。また『レンタルされたい』女性が非常に多く、何より『自分を売る』ことの面白さや刺激、感動を多くの女性と共有したい、との思いからWoman Rentalを立ち上げました」

Q.サービスの魅力とは何でしょうか。

イケダさん「ホームページのトップで『おばさん、奥さん、女子』に取り消し線を引いているのは、利用者にも登録者にも、年齢や立場に関係なく、純粋に一人の『女性(人間)』をレンタルする場としての印象を与えたかったからです。家事代行サービスや便利屋のような、誰でもできる依頼を受けるというよりは、在籍Woman一人一人の個性を吟味した上でWomanの時間をレンタルするというイメージです。また、おっさんレンタル活動で感じていたのが『変化』を求めている人が多いということ。変化の第一歩は、今までの枠を超えた新たな出会いだと思います。今までさまざまなタイプの女性とお会いしてきましたが、レンタル活動をしていなければ絶対にお会いすることのない人種とたくさん出会い『まだまだ知らないことはたくさんある』と現在でも感じています。今まで生きてきた環境(身内、学校、仕事、趣味)で築いた人間関係の中だけで仕事や恋愛をするのではなく、そこから突き出たところで新たな人間関係を作るきっかけがWoman Rentalなのです」

仕事や恋愛に関する「お悩み相談」が多い

Q.サービス利用者の数、年齢層、目的などについて教えてください。

イケダさん「サービス開始からちょうど1年たちますが、これまでに300件ほどご利用いただいております。登録Woman数が少なく、認知度が低いこともあって、立ち上げ当初は全然オーダーが入りませんでした。在籍Womanによってオーダー件数、利用者の属性、目的は大きく異なります。その大きな理由は『価格設定がWomanごとに違う』から。ただ、価格が安いからといってオーダーが多いとは限らず、逆に高額でもオーダーの入るWomanはたくさんいます。目的として圧倒的に多いのが、お茶や食事をしながらの『お悩み相談』。仕事や恋愛、結婚、子育て、自立などのご相談が多いのですが、各Womanの経験やスキルなどの専門性を求める利用者も多いです。特段突出した特徴がないWomanでも似たような境遇で共感を得たい女性からのオーダーもたくさんあります。利用者の男女比は半々で、平均レンタル時間は1件約2.5時間です」

Q.登録女性の数、年齢層、目的などについて教えてください。

イケダさん「2017年11月現在、登録しているWomanは約20人ですが年内には25名を超える勢いです。思った以上にアグレッシブな女性が多いことに驚いています。世代は20代から50代まで、プロフィールに書けないようなレベルで波乱万丈な人生を送ってきた方から、経営者の方、OLさんや主婦の方までタイプもさまざまです。Womanにほぼ共通しているのが、人生でさまざまな苦難を乗り越えていて、女性や人としての強さを持っていること。自分の経験や知恵が誰かの役に立つならとの思いや、人との出会いによって自分の人生を変化、活性化させようといった思いを抱いており、仕事というよりは、自分を試すフィールドとして楽しみながら取り組んでいる方が多いです。一つ言えるのは、Woman Rentalは安定的に稼げる『仕事』ではないということ。バイト感覚の方は基本的に登録をお断りしています。Woman Rentalは『女』や『役務』を取り除いた『人』としての自分を売り出す場であり、『自分の市場価値を知りたい』『承認欲求を満たしたい』『自分を試したい』女性には最適な場であると在籍Womanを見て感じます」

Womanの安全のために考えた5つのこと

Q.レンタルされる女性がトラブルに巻き込まれる危険性はありませんか。

イケダさん「安全性を語る上でコンテンツのイメージが最重要だと考えました。おっさんレンタルのようなシュールな面白さも大切ですが、Woman Rentalの場合は個々のWomanの個性を生かし、華やかさやバリエーションでコンテンツそのものを面白くしたいという意図があったのと同時に、Womanが堂々と写真やプロフィールを公開でき、そこに籍を置くことに恥ずかしさを抱かせないようなコンセプト、コンテンツにすべきだと考えました。数十名の女性にヒアリングを重ね、主に5つの点について半年ほど熟考しました」

1.コンテンツのイメージ作り
2.レンタル現場の安全性の確保
3.類似サービスとの差別化
4.利用システムと登録システム
5.「どんなサービスか」より「誰がやっているか」

イケダさん「『1』については『レンタル』というキーワードは『借りる』という意味で分かりやすい半面、俗っぽく勘違いされやすいキーワードでもあります。女性となると、どうしてもセクシャルな視点でのアプローチが想像されやすいので『女性』というよりは『人』の印象を強くアピールするのが最適だと考えました。『2』については、カードによる事前決済にしたり、自身のレンタル経験で培った独自のノウハウをWomanにしっかりとレクチャーしたりして、リスク回避しています。また、利用者は男女比が半々ですが、男性が想像以上に紳士的な方が多くて驚いています。『3』については家事代行サービスやレンタル彼女、派遣型風俗等との差別化を図っています。Woman Rentalの面白さは『あいまいさ』です。『Woman借りて何すんの』というあいまいさは、分かりにくさにもつながりますが、利用者のニッチな要望や条件にうまく合致するWomanがいれば、それが魅力となります。『4』に関しては、Womanが価格や利用者を自由に設定できる仕組みにしました。Womanが需給バランスを価格で調整したり、それによって高いモチベーションでレンタル対応を継続したりできる仕組みは、サービスのクオリティー的にも重要だと考えています。『5』は、何と言っても利用者や登録者に安心感をどう伝えるか。うさん臭いサービスと勘違いされやすいので、どうせうさん臭いサービスと思われるなら、うさん臭い運営者をさらしてしまおうと(笑)。また、ビジネスでもボランティアでもない、グレーなサービスという分かりにくさがあるので、レンタル経験者が運営していることが安心感を与えると同時に、一つのアドバンテージにもなると考えました」

問題を未然に防ぐ“拠りどころ”となれるか

Q.サービスの意義と今後について教えてください。

イケダさん「絶えず想像だにしない多くの事件が世間をにぎわす昨今、それらの背景にあるのは『人の闇と病み』だと思っています。コミュニケーションのあり方が目まぐるしく変化し続ける現在、『もし一人でも親身に寄り添ってくれる人がいれば』など、ちょっとしたリアルな拠りどころがあるだけで、未然に防げる問題は非常に多いと思っています。全く関係のないアカの他人だからこそホンネで話せることはあります。というより今は、そういう機会を簡単に手に入れ、当たり前に利用できる時代なんです。その接点の一つがWoman Rentalであるとハゲしくお伝えしたいです。Woman(女性)にしかできないことはたくさんあります。誰にも話せない深刻な悩み相談だったり、一緒に楽しく会話しながらのお食事だったり、利用目的が定かでないWoman Rentalの面白さは、在籍Womanはもちろん、利用者や利用目的が多種多様であること。そこに、過去の経験値では計り知れない無限のポテンシャルを感じます。コンテンツを立ち上げる上で強く意識したのはビジネスというよりは『面白さ』でした。利用しなくても登録しなくても、見ているだけで面白いコンテンツ。今後もいかに面白いコンテンツにしていくかをテーマに取り組んでいくつもりです。在籍しているWomanが周りに胸を張って『Woman Rentalやってます』と言えたり、利用者が『この前Woman Rental利用したら…』と周りに堂々と言えるようなコンテンツになることを目標に、在籍Womanの皆さんと共に肩肘張ることなく頑張っていきたいと思います」

(オトナンサー編集部)