年末にかけ病院や老人ホームの倒産件数に要注意

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 高齢化社会問題が深刻化するなかで、今後、さらに注目を浴びることになるのが医療機関や老人福祉事業者の経営状況だ。

 2017年の医療機関(病院、診療所、歯科医院)の倒産は10月末時点で23件発生している。前年同期(25件)と大きな変化はなく、内訳は、病院2、診療所12、歯科医院9となっている。

 ただ、16年は11月、12月の2カ月間で18件(病院4、診療所10、歯科医院4)の倒産が発生した経緯があり、今年も年末に向けた動向に注意が必要だ。

 そうしたなか、断言するには早いかもしれないが、今年の医療機関倒産の最大の話題は、6月に民事再生法の適用を申請した医療法人社団誠広会で間違いないだろう。

 医療法人社団誠広会は、岐阜市で「岐阜中央病院」(372床)や「平野総合病院」(199床)の経営を手がけ、負債は87億円だった。大企業の倒産負債額と比較すると、さほど大きく感じないかも知れないが、この額は00年以降に発生した病院の倒産としては4番目の大きさで、03年以降では最大だった。

 ちなみに00年以降、負債額が50億円を超えた病院の倒産は誠広会を含めてわずか9件しかない。地方の病院ということで知名度は高くないが、近年まれに見る病院の大型倒産だったのだ。

 医療機関の倒産が横ばいで推移する一方で、訪問介護・通所介護サービス、各種老人ホーム、高齢者専用賃貸住宅サービスなどを主業とする「老人福祉事業者」の倒産がピークを迎えていることをご存じだろうか。

 老人福祉事業者の倒産件数は05年(4件)、10年(10件)、15年(58件)と推移し、16年は過去最多となる91件を記録した。近年、全業種において倒産件数が減少傾向にあるなか、このような急増の動きを見せている業種は他にはなく、零細事業者が大半を占めている。

 17年は10月までに69件の倒産が発生しており、設立後10年未満の倒産が全体の59・4%を占めている。昨年の水準とまではいかないものの、過去2番目の多さになることは確定となっている。人手不足の影響も大きく、高水準での推移が来年も続きそうだ。
(文=帝国データバンク情報部)