採寸用ボディスーツ「ゾゾスーツ」の無料配布を開始したスタートトゥデイ。前澤友作社長が自身の42歳の誕生日に合わせて詳細を発表した(写真:スタートトゥデイ)

「圧倒的な速度で世界中に配りまくり、体重計や体温計のように一家に一台の存在にする。世界中のお客様の体型を最も知り尽くした企業となり、データを元にひとりひとりにピッタリの服を提供する」

スタートトゥデイの前澤友作社長は自身の誕生日に当たる11月22日、自身のツイッターでこう宣言した。

ファッションECサイト「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイのPB(プライベートブランド、自主企画商品)が、11月末にゾゾタウンで発売される。それに先立ち、体型を瞬時に採寸できるボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」の無料配布の予約受付を開始した。

体のサイズを瞬時に測る


「ゾゾスーツ」はニュージーランドのソフトセンサー開発企業と共同開発した(写真:スタートトゥデイ)

ゾゾスーツは、2016年6月に出資したニュージーランドのソフトセンサー開発企業と共同開発した。トップスとボトムスに分かれ、伸縮センサーを内蔵。ゾゾスーツを着用した状態でスマートフォンと通信接続すると、体のあらゆる箇所の寸法を瞬時に測ることができる。寸法データはゾゾタウンのアプリに保存され、自身のサイズを確認できるほか、ゾゾタウンで買い物する際にはサイズに合った商品が紹介されるようになる。

ゾゾタウンに会員登録をすれば予約可能で、1枚目は無料、2枚目以降の購入は3000円がかかる。11月末から順次配布する予定で、配布数の上限は設けていないという。

11月末から発売するスタートトゥデイのPBは「ZOZO(ゾゾ)」と名付けた。今回のゾゾスーツを活用し、購入者ひとりひとりのサイズに合わせた商品を展開するとみられる。具体的なラインナップはまだ明らかにされていないが、「誰もが1枚や2枚は持っているであろう、超ベーシックアイテム」(前澤社長)という。

その一方で、前澤社長は「もっとスタイリッシュに格好よく着こなしていただけるような商品を提供し、ファッションを好きだと思う人を増やしたい。サイズが合っていてフィットしている洋服は、シルエット的にもきれいに見える」と強調する。

ここまでフィット感を追求するのは、試着が出来ないファッションECで、「サイズ」の問題が最大の壁とされてきた点が大きい。ネットで購入した服を実際に着てみると、サイズが合わずに返品せざるを得ないケースは珍しくない。同じファッションECでも、アマゾンジャパンは、自宅で気軽に試着する感覚で購入できるよう、30日間は返品無料とするなどの対策を講じている。

初めてのPB事業に不安も


11月末から投入するPB「ZOZO(ゾゾ)」のロゴ(写真:スタートトゥデイ)

スタートトゥデイの柱は一定量の在庫を委託形式で預かり、オンラインショップの運営管理を行う受託事業。そのためスタートトゥデイが出店ブランドの売れ残った在庫を抱えることはない。

PBの場合、商品が売れ残れば在庫の処分につながり、収益を圧迫する可能性がある。ゾゾスーツで寸法したデータに基づき、オーダーに応じて生産する体制を取るとすれば、大量在庫を抱える事態はまぬがれるかもしれない。とはいえ、これまで踏み込んだことのないPBだけに、経費コントロールや在庫管理を徹底できるかは未知数だ。

フィット感を追求した商品が、どこまで消費者の需要と合致するかも現時点では見通せない。あるアパレル企業幹部は「若い世代はサイズ感に対する好みも多様で、体にピッタリの服を求める人はそこまで多くない。ボディスーツで採寸するインパクトと宣伝効果は大きいが、PBの人気が持続するかは不透明だ」と語る。

「数年以内に現在のゾゾタウン事業の規模を超えるスケールにしたい」と意気込む前澤社長。最新技術を投入し、究極のフィット感を追求したPBは、どのような船出を迎えるのだろうか。