エフゲニア・メドベージェワ【写真:Getty Images】

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右足中足骨にヒビが発覚、スポーツトレーナーが見る故障の詳細と今後の見通しは…

 女子フィギュアスケートの世界女王、エフゲニア・メドベージェワ(ロシア)を負傷が襲った。ロシアスケート連盟は現地時間21日、優勝を収めた日本でのグランプリ(GP)シリーズ第4戦・NHK杯後にMRI検査を受けた結果、右足中足骨のヒビが発覚したことを発表した。18歳の“妖精”は12月7日に開幕するGPファイナル(名古屋)のリンクに立ちたい意向を表明しているが、完全復帰までにどれほどの時間が必要なのだろうか。トップアスリートのトレーナーを務める新浦安しんもり整骨院入船院・新盛淳司院長に話を聞いた。

「ロシア連盟の発表によると、メドベージェワ選手が骨折したのは中足骨という足の甲の部分です。中足骨は、足の甲にある骨で第一中足骨(親指側)から第五中足骨(小指側)まであります。その中足骨のいずれかを疲労骨折したものと考えられます。中足骨の疲労骨折の場合、その骨折の箇所により、治療方法や治癒期間が大きく異なります」

 サッカーJ1ジュビロ磐田の元日本代表MF中村俊輔の専属トレーナーも務める新盛院長はこう語った。同じ中足骨の故障でも、指によってリハビリの内容や全治にも大きな差が生まれるという。最悪のケースは、日本代表MF柴崎岳(ヘタフェ)が手術を余儀なくされた小指部分の骨折だという。

「第5中足骨のかかと側に近い骨折は、“ジョーンズ骨折”と呼ばれます。バスケットボールやラグビー、サッカー選手などに多く見られます。ジャンプの着地や切り返し動作など、骨に繰り返しストレスがかかることなどが、疲労骨折の原因となります。骨癒合と呼ばれる骨がまたくっつく状態に戻るまで必要な血流が乏しい箇所であること、再びストレスを受けやすい場所であることなどから、骨が癒合しにくい。そして、再骨折も多い部分です。アスリートの場合、骨折の程度によりますが、手術を選択するケースもあります。一般的に完全にプレー復帰するまでに3か月以上かかるケースも多いですね」

小指骨折の場合は全治3か月以上の可能性も…それ以外の箇所なら早期復活の道もあり

 メドベージェワは10月のGPシリーズ第1戦・ロシア大会で2位に15点差をつける圧勝で優勝。初出場となった第4戦のNHK杯でも宮原知子(関大)、本郷理華(邦和スポーツランド)らを破って連勝を飾り、GPファイナル出場を決めた。しかし、初戦の2週間前から痛み止めを服用していたという。

 柴崎らのように手術で患部を固定する場合は全治3か月。来年2月の平昌五輪への影響は計り知れない。

 しかし、骨折箇所が小指でなければ、早期復活の道も出てくるという。

「ジョーンズ骨折以外の、中足骨の疲労骨折の場合、比較的予後は良好で、1か月程度でプレーに復帰できるケースもあります。一般的な治療は、数週間固定などして患部を安静にする。それと並行し、治癒促進を期待して低出力超音波パルス(LIPUS)を患部に照射します。痛みの度合いなどを慎重に見ながら、リハビリをスタートさせます」

 メドベージェワも故障箇所が小指でなければ、年内復帰は十分視野に入るだろう。すでにギプスで患部を固定していると報じられており、低出力超音波パルス療法などで平昌五輪に向けてリハビリを進めることになりそうだ。

来年2月の平昌五輪を見据えては、柔軟性や筋力向上、動作改善など再発防止が鍵に

 足首などに負担のかかるアスリートにとっては、“職業病”とも呼べる中足骨の骨折。最大の目標は平昌五輪だけに、再発のリスクは避けなければならない。新盛院長は再発防止策を提示するとともに、再び華麗に氷上を舞う姿を心待ちにした。

「再発防止のためには膝や股関節の柔軟性や、筋力の向上、動作の改善などに取り組む必要があります。メドベージュワ選手は来年2月に大事なオリンピックを控えています。いつまで患部を安静にするか、という判断も重要になると思います。しっかり、怪我を治して、オリンピックの舞台でぜひとも活躍していただきたいものです」