さる11月11日、中国のネット販売最大手「アリババ」は恒例の特価販売を行った。このニュースはすでに読者はご存じと思う。写真は筆者提供。

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さる11月11日、中国のネット販売最大手「アリババ」は恒例の特価販売を行った。このニュースはすでに読者はご存じと思う。

販売総額は1682億元(約2兆8600億円)を達成した。これに伴い当日は8.12億個の小包が発生。今年の「11・11」は昨年に比べやや不調であったものの、それでも今後15億個の小包が発送されると予想されている。

「11・11」当日の8.12億個の小包とは、地球を1200周する数量だ。2016年の中国で消費された小包は313億個を超える。実にサッカー場40万個分に相当する。中国軽量学院副教授の顧興全は「中国宅配便基準化」研究報告の中で、中国では毎年宅配便小包により段ボールの浪費が18.2万トンにおよび、これは年間1547ヘクタールの森林伐採に相当すると指摘している。

影響を受けるのは樹木だけではすまない。各種宅配便小包は埋め立てれば有害ゴミとして土壌に浸透し分解されるまで200年以上を要するとの研究結果もある。さらに汚染は地下水を脅かし、ビニール(プラスチック)ゴミを焼却すればダイオキシンを発生し、人体に甚大な危害と大気汚染を引き起こす。

現在中国の宅配便業界における段ボールとプラスチック(ビニール袋等を含む)の実質回収率は10%以下だ。中国の住宅建設部(日本の国土交通省に相当)の調査データでは、中国の3分の2以上の都市がゴミに囲まれているとし、4分の1の都市は適正なゴミ埋め立て施設がないと言う。

ゴミの堆積が占拠する土地は累計で5万3333へクタールにもなっている。中国にある4万の郷鎮と60万の行政村では毎年2.8億トンの生活ゴミが発生しその発生量はすでに都市部の発生量を超えている現実がある。

包装に凝るのは販売側にとって商品の評価と販売促進につながる一方、この消費心理が過剰な包装へと繋がっている。宅配便小包の包装はまさに玉ねぎに似ていて、消費者は一枚一枚皮を剥きながら包装が素晴らしい!と感嘆するのだ。

国家郵政局が昨年10月に発表した「中国宅配便の緑色包装発展現状とトレンド報告」では、中国の宅配便で消費された包装箱は99.2億個、ビニール袋は82.7億袋と報告している。現在従来の紙箱の回收率は20%以下で、粘着テープの濫用でテープと紙箱の分離を難しくしている。これに反して欧米等先進国では紙箱の回収・再利用率は90%以上だ。

回收と再利用が困難なのは、宅配便業者と消費者の環境保護に対する意識が高くないことにある。世界最大のビニール(プラチック)消費国である中国は、現在ゴミ分別と回收体制が未整備で、大量のビニールの有効な回収と処理方法がない状態だ。紙テープはビニールテープの3倍コストになる。ビニールテープを地下に埋めると100年は分解できないが、生物由来の原料であれば堆肥として有効活用ができ、およそ180日で水とCO2に分解し環境にも優しい一方コストは3倍近くなる。過剰梱包は環境保護を進める中国政府の頭痛の種となっている。

■筆者プロフィール:内藤康行
1950年生まれ。横浜在住。中学生時代、図書館で「西遊記」を読後、中国に興味を持ち、台湾で中国語を学ぶ。以来40年近く中国との関わりを持ち現在に至る。中国の環境全般とそれに関わるビジネスを専門とするコンサルタント、中国環境事情リサーチャーとして情報を発信している。