欧州組が主力をつとめてきた左右のサイドバックは予想が非常に難しく、優勝を目指すチームのアキレス腱になりうる。左は車屋が第一候補だが、最近台頭したばかりで経験は少ないため、もう1人は藤春のようにある程度、代表経験のある選手が優先されるかもしれない。右は実力を評価すれば西が頭1つ抜けた存在で、優勝を狙うには持ってこいの選手だ。ただ、ここから半年間で成長に期待を込めて人に強く持久力の高い室屋やJリーグのサイドバックでは一、二を争う俊足を誇る藤谷壮(ヴィッセル神戸)あたりが抜擢されると代表の活性化にもつながる。

▼MF
山口蛍(セレッソ大阪)
三竿健斗(鹿島アントラーズ)
大島僚太(川崎フロンターレ)
川辺駿(ジュビロ磐田)
倉田秋(ガンバ大阪)
井手口陽介(ガンバ大阪)

 欧州遠征に参加した山口、井手口、倉田秋、予選に何度か招集された高萩洋次郎(FC東京)、ケガから復調してきた大島、清武弘嗣(C大阪)など。これまでの実績を基準に考えれば代表経験のある選手で枠が埋まってしまってもおかしくないが、他にも興味深いタレントはいる。ボランチは21歳ながら鹿島で主力に定着した三竿が高さとボール奪取力の両方を加える存在だ。攻撃的MFは天野純(横浜F・マリノス)が面白い存在。速い攻撃の中で変化をもたらすことができ、左足のFKも非常に魅力だが、26歳ながら未だ国際経験が少ないことがどう評価されるか。

 筆者がイチ押ししたいのは川辺だ。持ち前のパスセンスに加え、中村俊輔(磐田)の相棒として状況判断に磨きをかけており、ハードワークでボールを奪うこともできる。欧州組の実力者がひしめく攻撃的MFのポジションで序列を崩せる数少ない国内組の1人と見ている。原川力(鳥栖)も万能型MFとしてハリルホジッチ監督の評価基準を満たすポテンシャルを備える。彼の場合は何と言っても直接FKという絶対的な武器がある。Jリーグに良質なキッカーは少なくないが、彼の右足FKはナンバーワンだろう。セットプレーのキックは国内組がアピールできる貴重な要素だけに、E−1で印象的なゴールを決めれば一気に定着してもおかしくない。実力的には中村憲剛(川崎)もいるが、本大会を見据えてどう判断されるか興味深い。

▼FW
杉本健勇(セレッソ大阪)
金崎夢生(鹿島アントラーズ)
清武弘嗣(セレッソ大阪)
柿谷曜一朗(セレッソ大阪)
小林悠(川崎フロンターレ)
伊東純也(柏レイソル)

 ハリルホジッチ監督は攻撃陣にも守備のハードワークとデュエルを求めるため、最低限そこをクリアし、かつオプションとしての武器を持つ選手が候補になるだろう。ただし、最後の1、2枠はそこにある程度目をつぶっても個で局面を打開できる選手、リズムを大きく変えられる選手、1、2回のチャンスで決められる選手など、一芸に秀でたタレントを抜擢する可能性もある。左右のウイングとセンターフォワードを合わせた6、7人の枠のうち、不参加が見込まれる浦和の興梠慎三をのぞき、欧州遠征に招集されたのは杉本のみ。その長身FWにJ1の得点数で迫る小林にも大きなアピールチャンスとなりそうだ。小林は代表では右サイドがメインのポジションになることが濃厚で、センターフォワード本職の選手がもう1人は入るだろう。これまでの実績と国際経験、勝負強さなどを考えれば金崎が有力だが、ゴール前での迫力を加える存在としては川又堅碁(磐田)も面白い存在。良くも悪くも粗削な選手だったが、磐田でビジョンに磨きがかかり、強気な姿勢はそのままに、ゴール前への入り方など大きく向上している。再び輝きを取り戻してきた柿谷も前回のW杯を経験した強みがあり、FW陣で全くタイプの異なるオプションとして違いを見せれば代表監督の目に留まるかもしれない。