<自分を捨てた飼い主を鬱になるまで探し続けた――捨てていい理由なんてない>

寂しさのあまり死んでしまった犬がいる。

10月頃、コロンビア北部の都市ブカラマンガ近郊のパロネグロ国際空港で、飼い主に置き去りにされたメス犬がいた。どこからやって来たのか、もちろん名前も不明だが、飼い主が迎えに来る気配は一向になく捨てられたようだった。空港職員らはこの犬を、スペイン語で旅する雲という意味の「Nube Viajera(ヌベ・ビアヘロ)」と呼ぶことにした。

(来ることのない迎えを待ち続けたヌベ・ビアヘロ)


英テレグラフの報道によると、ヌベ・ビアヘロの推定年齢は2歳。見た目は成犬でも中身はまだ子供と言ってもいいくらいだ。ヌベ・ビアヘロに空港を去る様子はなく、コロンビア動物保護財団の獣医は「旅行者が捨てた犬だろう」と地元メディアに語った。

ヌベ・ビアヘロは空港ターミナル周辺を行き交う人々の臭いを嗅ぎまわり、現れることのない飼い主を探し続けた。様子を見かねた空港職員が餌を与えたりして世話するようになった。

しかしある時から誰も迎えに来ないことを悟ったのか、ヌベ・ビアヘロは飼い主を探すのを止め、餌も全く受け付けなくなった。飼い主に捨てられたことを理解し、そのショックで食べ物も喉を通らないほどだったのかもしれない。

(いくら餌を食べるよう促しても全く食べなかった)


このとき、ターミナルの一角に力なく横たわり日を追って衰弱していくヌベ・ビアヘロの姿が多く目撃されている。最終的には栄養失調で立つことさえできなくなり、通報を受けた動物愛護団体が駆けつけたと英ミラー紙が報じている。

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ニューズウィーク日本版ウェブ編集部