<記者コラム:オトゴト>

 ここ何年かでハイレゾという言葉もだいぶ定着してきたと感じる今日この頃。みなさんの中にもハイレゾで聴いている人も多いのではないだろうか。筆者はもちろんハイレゾでも聴くし、アナログレコード、CD、mp3と様々なフォーマットで音楽を楽しんでいる。なんだかんだでサブスクもやっぱり便利で、聴きたい音楽がすぐにチェックできるツール、筆者はカタログのような感覚で使用しています。

 そこで聴いて気に入った音楽を改めてCDやアナログレコード、ハイレゾ版があればそちらを購入したりしています。しかし、このハイレゾがまた曲者でどんな音楽ジャンルでもバッチリかといえばそうでもないと感じています。以前にも記事で書かせていただきましたが、やっぱり向き不向きがあると今も思います。

 クラシックやジャズなどの空気感を大いに含み、音の大小の幅が大きい、所謂ダイナミックレンジが広いと言われている音楽は恩恵が大きいと思うのですが、ロックやダンスミュージックのような常に一定の音圧感があるものは、CDやmp3のようなちょっとザラついた音質が意外とカッコよく聴こえたりします。

 特にロックのハイレゾをテレビで例えると、4Kのテレビで時代劇を見ているかのような、ちょっとミスマッチな感覚を覚えるのです。解像度が高いことが全てにおいて良いわけではないと思います。改めてレコーディングしたものには、その世界観があって、生に近づけば良いというわけでもないのかなと思います。

 アナログ盤に関しても当時のレコードを作ることを前提に録音されたものと、CDを前提にしたものでは趣が違います。個人的にいくつかレコードを買って聴いて、特に90年代の音源をアナログ盤でリリースしたものを聴くと、例外も勿論ありましたが「CDの方が良かったかな」と感じることがありました。

 要するに絶対的なものって存在しないんだなと、考えさせられています。ちょっとお金がかかるけれど気に入った音楽は違うフォーマットのものを購入し聴き比べてみると面白いですよ。ただ、アナログの針を落として聴くという行為は、先日の堀込泰行さんのインタビューでも語っていただきましたが、「音楽を聴くという行為をちょっと特別なものに変えてくれる」魔法のような効果があるので、オススメです。【村上順一】