浦和ACL制覇へ不可欠な“10年前の経験” 決勝ホーム第2戦では「自分たちのサッカーをすべき」

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平川が語る2007年ACL決勝の記憶 「自分たちらしさを出しての勝利だった」

 今季のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)で優勝まであと一歩と迫っている浦和レッズだが、10年前の初優勝を知るメンバーは、チーム内で主将のMF阿部勇樹とMF平川忠亮のわずか二人になった。

 アジアの頂点に立った経験を持つ一人であるチーム最年長の平川は、ホーム&アウェーの駆け引きが決戦を勝ち抜くために必要な要素だと語っている。

 浦和は2007年にACLを制覇した。当時はFWワシントン、MFロブソン・ポンテといった強力ブラジル人助っ人だけでなく、DF田中マルクス闘莉王やMF鈴木啓太、MF長谷部誠など日本代表メンバーも多数在籍していた。そんな充実の陣容で臨んだセパハン(イラン)との決勝は、敵地初戦で1-1のドロー、ホームでの第2戦に2-0と勝利してアジアの頂点に立った。

 平川はその10年前の経験を踏まえて、アウェーでの戦いを乗り切った意義とそれがホームゲームにどのようにつながるのかを語っている。

「ホームでは、自分たちのサッカーをすべきなんです。10年前も自分たちらしさを出しての勝利だったのを、よく覚えています。アウェーでの目的は、相手をつかみ切ることも一つです。確かにウチは危ないシーンも多かったけど、いろいろな攻撃パターンを見て個性も感じられた。向こうも手ごたえをつかんだのかもしれないですけど、ホームのレッズはこうも違うというくらい、ガラッと違ったものを出すことができれば、(相手を)全く違うチームと対戦しているような気持ちにさせることができるはずです」

10年前の優勝が「レッズの基盤になった」

 百聞は一見に如かずとの言葉がある通り、いかにスカウティングをしていたとしても、対戦経験で得られる相手チームの情報はそれに勝る。アル・ヒラルの勝ちパターンの一つは、ホームゲームでリードを奪い、アウェーゲームを5バックで逃げ切るというもの。しかし、浦和がアウェーゴールも含む1-1の引き分けを手にしたことで、アル・ヒラルは浦和ホームの第2戦でも攻撃的に臨まなければいけない。

 しかし、その手のうちは第1戦でほとんど晒してしまっているはずだ。平川の語る「相手をつかみ切る」という要素を浦和がしっかり実現していることは、第2戦に向けてポジティブな要素だ。

 浦和にとって、07年のACL制覇はクラブとしても大きなプライドになっている。平川自身も「あの経験が個人的にも生きた」と話す。あれから10年が経ち、歓喜の瞬間を知るのは平川と阿部の二人だけになった。

 だからこそ平川は、このチャンスにこだわるべきだと話す。二人以外にアジア王者を経験している選手がいないからこそ、「優勝がレッズの基盤になったのは間違いないですし、またこういったチャンスをつかんだからこそ歴史を塗り替えるべき。これはクラブにとってもチャンスですから。やってきたことを信じて戦うだけです」と、レッズ一筋の38歳は語る。

数字には表れない平川の経験値と重要性

 今季の浦和は、シーズン中にミハイロ・ペトロヴィッチ監督から堀孝史監督にスイッチする苦しい時期を過ごした。平川はそうした状況にも「チームが難しいなかで、自分にやれることをやる。選手とスタッフをつなぐこともそう」と、最年長選手ならではの役割を果たしてきた。出場記録などの数字に表れる要素だけで測れる存在ではない。

 タイトルは近づいたが、まだ勝ち取ったわけではない。決戦が近づくからこそ、地に足をつけていなくてはいけない。そうした大一番において、勝ったことがあるという経験値は何よりも大きい。出場機会が訪れるかどうかは分からないが、浦和において平川の持つ経験はアジア王座奪還に向けて、欠かせない力になる。

【了】

轡田哲朗●文 text by Tetsuro Kutsuwada

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images