親子をテーマにした感動映画は山ほどあるけれど、筆者はじめ、シングル女子からすれば「子どもを持つって大変だけど、感動することも多いんだねぇ」と、どこか他人事な感想で終わらせてしまいがち。でもちょっと待って!もし甥や姪を自分が育てることになったら、あなたはどうする?

そんなドギマギした感情を抱きながら見てもらいたいのが、『gifted/ギフテッド』です。

小生意気な7歳の姪が、数学の天才だった!

『gifted/ギフテッド』 監督:マーク・ウェブ 出演:クリス・エヴァンス、マッケナ・グレイス、リンゼイ・ダンカン、ジェニー・スレイト、オクタヴィア・スペンサー 11月23日(木・祝)全国ロードショー (C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

【あらすじ】
フロリダに暮らすメアリー(マッケナ・グレイス)と叔父のフランク(クリス・エヴァンス)。メアリーは生まれながらにして数学の天才的な才能(ギフテッド)があった。
フランクはメアリーの英才教育を頑なに拒むが、縁を切ったはずのフランクの母親が突如現れ、メアリーを奪おうとする。歴史を変える才能の開花か、愛する者と生きる人生か──
果たして、メアリーにとっての本当の幸せは? 
悩めるフランクには、メアリーの母である亡き姉から託された“ある秘密”があった──。

タイトルの『ギフテッド』とは、突出した才能という意味。実際にアメリカなど海外では、ギフテッドチルドレン(天才児)の能力を伸ばすアカデミーがあったり、大学を飛び級で通わせる親もいます。ジョディ・フォスターが監督出演をつとめた映画『リトルマン・テイト』も、7歳でモーツァルトを完ぺきに弾きこなす息子を大学に通わせる母の葛藤を描いていました。

メアリーは数学の才能がずば抜けています。それは亡くなった母親が数学者だったことが影響しているんですね。メアリーは数学のむずかしい数式を解くことが大好きで、祖母からもらった数学書をむさぼり読み、フランクが「良い天気だぞ、外へ行くぞ」と誘って「え〜、嫌だぁ」と断るほど。

普通、子どもが「外へ行きたい!」ってごねて、大人が渋々つきあうものですが、この2人は大人と子どもが逆転しているのがユニーク。

そんな天才児のメアリーですが、隣に住む世話焼きおばさんのロバータ(オクタヴィア・スペンサー)と歌マネをするのが大好き!ソファの上でジャンプしながら唄うシーンは、可愛くてほのぼのできますよ。

さらに、片目のネコ・フレッドともメアリーは大の仲良し。フレッドの歌を即興で作ったりと、いたって普通の7歳の女の子です。

ハンカチなしでは見られない名シーンが続出!

片目のネコ・フレッドもビーチへ連れて行きます。 (C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

無邪気なメアリーですが、とあることをきっかけに、自分はフランクにとって不要な存在なのかもしれないと落ち込みます。

メアリーをなぐさめるため、フランクはある作戦をとるのですが、これが本当に感動もの!

「ああ、人が生まれたときってこういう感動があるんだよね。自分が生まれた時もきっとそうだったはず!」と感じさせてくれる名シーンです。ここはぜひともハンカチを握りしめて見て下さい。

そんな優しい叔父・フランクですが、メアリーの才能を活かすべきか、普通に育てるべきか悩みます。才能を伸ばすには一緒に暮らすには、フランクの家は環境が悪い。

でもメアリーと一緒にいたい。悩んだ結果、フランクは、ある決意をします。その決意を告げるシーンも感涙ものなので、ここも絶対ハンカチ必須です!

自分の子どもであろうが、姪であろうが、やっぱり人と人とつなぐのは、2人だけで築いてきた時間。

シングルだから親の気持ちはわからない。そんな先入観をこの映画はきれいさっぱり捨てさせてくれます。

マーク・ウェブ監督の手腕が冴える!

パステルカラーが可愛い、フロリダのビーチハウス。 (C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

本作は『(500)日のサマー』でデビューを飾ったマーク・ウェブ監督が手がけた作品。
チャーミングなセリフと、役者の自然体な演技を引き出す力は、監督の得意とするところ。

メアリーがはしゃぐシーンは本当に楽しそうだし、フランクとメアリーがふざけ合っているシーンは本当の家族のようです。

そしてフランクを演じるクリス・エヴァンスにも注目!彼は『キャプテン・アメリカ』で有名になった、マッチョマン。でも、本作ではマッチョは封印し、ちょっと生活にくたびれた男・フランクを演じています。

個人的に世界を救うヒーローより、無精ヒゲで人生をなかば諦めたようなフランクのほうが
セクシーだと思うのですが、女子の皆さん、どうでしょう?

さらに、脇役のキャスティングもお見事!中でもお節介なお隣のおばさんロバータ役は、
『ドリーム』『ヘルプ』など、パワフルな女性を演じさせたらピカイチのオクタヴィア・スペンサー。彼女の肝っ玉な演技は、本作の大切なスパイスになっていますよ。

黄色をテーマカラーにした映画に外れなし!

ポスターは黄色い! そして切り抜き写真をコラージュするのも ハッピームービーの証! (C) 2017 Twentieth Century Fox Film Corporation

そして、この映画のポスターのキーカラーはイエロー。黄色をメインビジュアルに使う映画は、ミスコンに出場するためアメリカを横断する家族を描いた『リトル・ミスサンシャイン』のほか、お父さんがゲイであることを知った息子の葛藤を描いた『人生はビギナーズ』。そしてちょっと変わった恋人を描いた『世界にひとつのプレイブック』などがあります。

どれもテイストは違いますが、家族愛を描いた名作ばかり。感動とハッピーをわけてくれる映画です。

そういえば、高倉健の『幸せの黄色いハンカチ』もしかり、黄色って幸せを呼ぶ色なんでしょうか。

今後、ハッピーな映画をみたかったら、キーカラーに黄色を使っているかをチェックするといいかもしれません。

涙はストレスを発散させる効果がある〜なんて話もありますが、最近、心が疲れているな、と思ったら『gifted/ギフテッド』を見てください。見終わったら、気分すっきり! 親や親戚に電話したくなっちゃいますよ!