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 テスラモーターズは16日、電動の「セミ」トラックと「ロードスター」を発表した。しかし一方で、週次生産5000台と言っていた廉価セダン「モデル3」の生産が260台しかできていないというのだ。その原因はなんなのか?

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■ボトルネックは、電池工場「ギガファクトリー」?

 製造業においては、この「ボトルネック」をきちんと管理できていないと、持っているはずの生産能力を最大限に引き出せないこととなってしまう。2018年末までに年間50万台の生産体制を築くと言っているテスラの要となるパナソニックの電池工場「ギガファクトリー」がボトルネックとなってしまっては、あってはならないはずの在庫増大や経費によって大きな損害になることは必至である。

■問題山積?のテスラモーターズ、ボトルネックの原因

 「モデル3」の生産が260台に留まってしまっている理由は、バッテリー製造を巡る問題であるようだ。工場は自動生産にしているようだがそのソフトウェアに問題があるとも、バッテリー自体の複雑な設計に問題があるとも言われている。テスラモーターズと提携しているパナソニックは、そう遠くない時期に生産量を増やせるとの見通しを示している。このように、問題を事前に把握できていないところが問題点である。これは注意が必要で、致命傷になる可能性がある内容だ。

 しかし、その他にも問題がある。経営、組織運用には「ヒト、モノ、カネ」の三要素がかかせない。(最近はそれに「情報」「技術」も入るようだ)しかし、アメリカンファンド的考え、つまり投資やファイナンスのみで経営を考えていると「ヒト」をおろそかにしがちである。それは、資産としてバランスシートには載ってこないからだ。しかし、「ヒト」がいなければ「カネ」は生まれない。

 現在、テスラは「ヒト」の問題も抱えている。アフリカ系米国人労働者に会社側が嫌がらせをしているとして従業員からテスラが提訴されている。それは人種差別の問題を含んでいる。CEOイーロン・マスク氏は「態度がポジティブでない」として、その従業員を解雇したそうだが、テスラは、黒人従業員だけでなく、同性愛者や高齢労働者からも提訴されている。経営者が「ヒト」のマネジメントを間違うと、企業のモチベーションを落とす可能性があるだけでなく、企業の寿命にも関わってくる重要事項である。

 企業にとって「ヒト」は見えない資産である。しかし、工場が自動生産になるとはいえ、そのソフトを作っているのも、メンテナンスをしているのも、リチウムイオン電池の研究・設計をしているのも「ヒト」である。トヨタのカンバン方式も現場の「ヒト」がアイデアを出すから効率よいオペレーションが可能になるのだ。

 テスラモーターズのボトルネックは、もしかしたら経営者の「ヒト」に対する冷酷さかもしれない。それは、アシュリー・ヴァンスの著書『イーロン・マスク:テスラ、スペースX、素晴らしい未来を追い求めて』を読んでの記事『圧倒的な成功者は「無遠慮で嫌なヤツ」ばかり(東洋経済)』で推察できる。そして、それがテスラの命取りになるかどうかの分かれ目は、先だってのテスラ車の死亡事故のような自動運転の犠牲者の数なのかも…。